finasee Pro(フィナシープロ)
新規登録
ログイン
新着 人気 特集・連載 リテール&ウェルス 有価証券運用 金融機関経営 ビジネス動画 サーベイレポート

「金利のある時代」にどう適応するか
地域金融機関と運用会社等がタッグを組み、コア預金モデルおよびALM高度化のためのコンソーシアムを立ち上げへ

finasee Pro 編集部
finasee Pro 編集部
2024.07.31
会員限定
「金利のある時代」にどう適応するか<br />地域金融機関と運用会社等がタッグを組み、コア預金モデルおよびALM高度化のためのコンソーシアムを立ち上げへ

大手保険会社アリアンツ・グループの資産運用会社、アリアンツ・グローバル・インベスターズ・ジャパン(アリアンツGI)は、静岡銀行をはじめとした複数の地域金融機関や周南公立大学の木島教授、NSフィナンシャルマネジメントコンサルティングなどと共同し、地域金融機関のコア預金モデルおよびALM高度化を目指すコンソーシアムを立ち上げようとしている。当記事では当コンソーシアムの概要や設立の背景に加えて、7月に開催された「コア預金モデル研究部会」での議論の一部を紹介する。

日本銀行のマイナス金利政策解除による「金利のある世界」への移行や、デジタル化の進展によるキャッシュレス決済の浸透などにより、預金者の意識や行動にも変化の兆しが見え始めている。これに加えて、人口減少に伴って将来的には銀行の預金量も減少に転じる可能性があり、従来のコア預金モデルの高度化、さらにはそれを使用したALM(資産・負債の総合管理)の高度化が求められている。

 

こうした中、「銀行経営の根幹をなすALMにおいて、定量および定性の両面から多角的に研究を行い、業界全体で知見を共有しながらALMの高度化を図ることを目的」としてコンソーシアムを立ち上げられようとしている。当コンソーシアムでは、共同研究を通じてコア預金モデルの高度化やモデルの運用面での課題解決、ALM戦略の定量分析を用いた収益性強化策などが模索されている(図)。

 
 

コンソーシアムのメンバーは静岡銀行を中心に複数の国内地域金融機関と資産運用会社でありながら学術的ネットワークも豊富なアリアンツGIに加えて、コア預金モデルの原型の開発者である周南公立大学の木島正明教授、モデル構築のシステム開発やコンサルティングを担う日鉄ソリューションズグループのNSフィナンシャルマネジメントコンサルティングといった専門家で構成されている。

コア預金モデルの高度化にあたっては短期的および長期的な視点に分けて取り組み、7月の会合では、預金動向の予測やコア預金モデルの導入・運用に関する地域金融機関の課題認識、欧米の銀行預金動向調査、そして金利上昇が先行している米国の預金データを用いた分析事例についての考察などが共有された。

 

 

会合での議論として、向こう10年以内に預金全体が減少に転じると考えている地域金融機関が少なくないとの指摘もあった。これまでのように右肩上がりを続けてきた預金の推移の転換を示唆しているのだろう。

このほか、コア預金モデルの運用における地域金融機関側の主な課題として「専門性が高く理解が難しい」「行員の教育や知識の承継」などもあげられており、モデルの浸透や理解に対する課題も浮き彫りになった。

AA-Kijimaモデルの開発者である木島教授を交えた踏み込んだ議論がなされ、預金量変化を検知することが重要であることや、将来の金利シナリオを踏まえた預金量予測の精緻化の可能性が示唆された。

金融環境の変化が加速する中、このコンソーシアムの成果によって銀行経営がどう変化するのか、ひいては各地域経済の発展にどのように貢献するか、業界内外から注目が集まっている。コンソーシアムでの議論や研究成果について今後も継続的にウォッチしていきたい。

続きを読むには…
この記事は会員限定です
会員登録がお済みの方ログイン
ご登録いただくと、オリジナルコンテンツを無料でご覧いただけます。
投資信託販売会社様(無料)はこちら
上記以外の企業様(有料)はこちら
※会員登録は、金融業界(銀行、証券、信金、IFA法人、保険代理店)にお勤めの方を対象にしております。
法人会員とは別に、個人で登録する読者モニター会員を募集しています。 読者モニター会員の登録はこちら
※投資信託の販売に携わる会社にお勤めの方に限定しております。
モニター会員は、投資信託の販売に携わる企業にお勤めで、以下にご協力いただける方を対象としております。
・モニター向けアンケートへの回答
・運用会社ブランドインテグレーション評価調査の回答
・その他各種アンケートへの回答協力
1

おすすめの記事

「遵守か説明か」から「遵守か合併か」に――2026年の地銀政策はどこへ?金融審「地域金融力WG報告書案」を深読み

川辺 和将

国内株は高値一服で押し目買いの資金流入が拡大、高パフォーマンスはヘルスケア関連株ファンド=25年11月投信概況

finasee Pro 編集部

マン・グループの洞察シリーズ⑬
AIバブルのタイミングを計ることはできないものの備えることはできる

大和証券の売れ筋で「ピクテ・ゴールド」はトップ堅持、株式アクティブファンドを人気や運用成績で上回るバランスファンドは?

finasee Pro 編集部

「顔の見える関係」づくりに注力、より良い企業型確定拠出年金制度の実現に大和ハウス工業がコミュニケーションを重視する理由

finasee Pro 編集部

著者情報

finasee Pro 編集部
ふぃなしーぷろへんしゅうぶ
「Finasee」の姉妹メディア「Finasee PRO」は、銀行や証券会社といった金融機関でリテールビジネスに携わるプロフェッショナルに向けたオンライン・コミュニティメディアです。金融行政をめぐる最新動向をはじめ、金融機関のプロフェッショナルにとって役立つ多様なコンテンツを日々配信。投資家の皆さんにも有益な記事を選りすぐり、「Finasee」にも配信中です。
続きを読む
この著者の記事一覧はこちら

アクセスランキング

24時間
週間
月間
【金融風土記】東日本大震災からまもなく15年、福島の金融勢力図を読む
マン・グループの洞察シリーズ⑬
AIバブルのタイミングを計ることはできないものの備えることはできる
「遵守か説明か」から「遵守か合併か」に――2026年の地銀政策はどこへ?金融審「地域金融力WG報告書案」を深読み
マン・グループの洞察シリーズ⑫
金に投資する意味とは何か
経営、本部、販売現場が価値観を共有し「真のコンサルティング営業」の実践へ case of ちゅうぎんフィナンシャルグループ/中国銀行
「顔の見える関係」づくりに注力、より良い企業型確定拠出年金制度の実現に大和ハウス工業がコミュニケーションを重視する理由
第6回 アクティブファンド投資の常識を疑え!(その4)
アクティブファンドに投資する理由はない?
企業型確定拠出年金の運用商品を見直し、継続投資教育を刷新したヤマト運輸が加入者の反響を得た手応えとは
SBI証券で再び米国大型テック株への関心高まる、新設「メガ10インデックス」もランクイン
野村證券の売れ筋トップ10入りした「野村日本バリュー厳選投資」は国内株ファンドを左右するバロメーター
【運用会社ランキングVol.4】野村アセットマネジメントが2年連続トップ、3位に急浮上したのは大和アセットマネジメント/ゆうちょ銀行・郵便局編
経営、本部、販売現場が価値観を共有し「真のコンサルティング営業」の実践へ case of ちゅうぎんフィナンシャルグループ/中国銀行
企業型確定拠出年金の運用商品を見直し、継続投資教育を刷新したヤマト運輸が加入者の反響を得た手応えとは
富士通/富士通企業年金基金の企業型確定拠出年金の取り組み-加入者の関心を高めるセミナー、動画配信の工夫に迫る
マン・グループの洞察シリーズ⑬
AIバブルのタイミングを計ることはできないものの備えることはできる
ファンドモニタリングは、どの指標を参照すればいいか
(4)バランスファンドのモニタリング① ベンチマークの課題とその解決法
こんな議論してたっけ!?資金交付制度だけじゃなかった、地域金融力WG報告書案で飛び出した注目ポイント3選
【金融風土記】東日本大震災からまもなく15年、福島の金融勢力図を読む
「顔の見える関係」づくりに注力、より良い企業型確定拠出年金制度の実現に大和ハウス工業がコミュニケーションを重視する理由
「中途半端は許されない」不退転の覚悟で挑むリテール分野への新たなるチャレンジ case of 三菱UFJフィナンシャル・グループ
【金融風土記】東日本大震災からまもなく15年、福島の金融勢力図を読む
経営、本部、販売現場が価値観を共有し「真のコンサルティング営業」の実践へ case of ちゅうぎんフィナンシャルグループ/中国銀行
「中途半端は許されない」不退転の覚悟で挑むリテール分野への新たなるチャレンジ case of 三菱UFJフィナンシャル・グループ
【プロはこう見る!投資信託の動向】
NISAに必要か?「毎月分配型」「債券メイン」ファンド、「特定の年齢層対象の制度」
新たな商品・制度の導入は、投資家のリスク許容度・理解度が鍵
【運用会社ランキングVol.1】販売会社が運用会社に求めるものは、運用力か人的支援か? 2025年の評価を発表!
【連載】こたえてください森脇さん
⑫元本保証でない商品の販売を嫌がる職員への働きかけ
長野市vs松本市"不仲説"を乗り越え統合の八十二銀・長野銀が、「もう取引しない」と立腹の取引先と雪解けに至るまで
三井住友銀行の売れ筋でランクアップしたファンドは? ランクインした「ライフ・ジャーニー」は期待以上のリターン
【運用会社ランキングVol.4】野村アセットマネジメントが2年連続トップ、3位に急浮上したのは大和アセットマネジメント/ゆうちょ銀行・郵便局編
いわき信組処分の余波……金融庁は刑事告訴を検討も、地域金融機関を救う「資本参加制度の延長論」に落とす影
ランキングをもっと見る
finasee Pro(フィナシープロ) | 法人契約プランのご案内
  • 著者・識者一覧
  • 本サイトについて
  • 個人情報の取扱いについて
  • 当社ウェブサイトのご利用にあたって
  • 運営会社
  • 個人情報保護方針
  • アクセスデータの取扱い
  • 特定商取引に関する法律に基づく表示
  • お問い合わせ
  • 資料請求
© 2025 finasee Pro
有料会員限定機能です
有料会員登録はこちら
会員登録がお済みの方ログイン
有料プランの詳細はこちら