千葉銀行の改革が進んでいます。仕組債の販売を巡る行政指導をきっかけに、同行はガバナンスの強化に乗り出しました。内部および証券子会社の管理を強化し、販売体制の改善に着手しています。
改革は経営陣にも及びます。頭取を監査部門および経営改善室の担当役員とし関与を深めたほか、取締役会の議長を社外取締役へ変更しました。また取締役の任期は2年から1年へ短縮されています。代表取締役には、同行として初めて女性が選任されたことも話題です。
販売方針を転換する千葉銀行ですが、収益力は健在です。銀行本来の業務の利益を示す業務純益は、2023年度も全国の地銀で首位となりました。首位は2023年度で3期連続です。
【地方銀行の業務純益 上位3行(単体、2023年度)】
・千葉銀行:831億円
・横浜銀行:738億円
・福岡銀行:681億円
千葉銀行は株式市場でも人気です。時価総額は地銀トップクラス、PBRも銀行株としては高水準です。
なぜ千葉銀行は投資家に人気があるのでしょうか。理由を探ってみましょう。
千葉県でシェア圧倒的 規模は地銀で首位級
まずは千葉銀行の概要を紹介します。
千葉銀行は1943年に設立された地方銀行です。店舗は千葉県が中心ですが、東京都に15店舗を持つほか、埼玉県や茨城県、また大阪府にも店舗を構えます。海外の支店および駐在員事務所は香港やニューヨークなど6拠点を持ちます(2024年3月)。
千葉銀行の強みは、地盤である千葉県の良好な経済状況にあります。
千葉県の人口は全国6位の628万人(2022年10月)、県内総生産は全国7位の21兆円(2020年、名目)です。県内総生産は、産業項目別のすべてで全国10位以内にランクインしています。多くの製造業が拠点を持つ工業地帯であり、農業や水産業も盛んです(出所:千葉県 千葉県の財政状況と県債について)。
そんな千葉県において、千葉銀行のシェアは圧倒的です。預金は28%、貸出金は40%のシェアを握っています。近年は他行が法人融資も扱う総合店舗を減少させた影響から、千葉県における総合店舗シェアは6割に高まりました(出所:千葉銀行 決算説明会資料)。
強固な営業基盤を持つ千葉銀行は、地方銀行の中でトップクラスの規模を持っています。
【千葉銀行のバランスシート(単体、2024年3月期)】
・総資産:21兆2272億円(地銀2位)
・貸出金:12兆7680億円(同2位)
・有価証券:2兆8768億円(同7位)
・預金:15兆9516億円(同2位)