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現場では何が起きている?
新NISA販売開始直後のリアル

ついに始動! 新NISA リテールビジネスの次の時代をどう切り拓くか?

finasee Pro 編集部
finasee Pro 編集部
2024.03.11
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現場では何が起きている?<br />新NISA販売開始直後のリアル

いよいよスタートした新NISA。各金融機関では、2023年から新NISA口座獲得のためにさまざまな施策を取ってきたが、制度がスタートした今年1月以降、どのような状況になっているのだろうか。「Ma-Do」読者にその感触を回答いただいた。
※Webアンケート実施期間:2024年1月25日~2月12日

「資産運用立国」を目指すべく、国からの指針が示され、各種メディアでも連日取り上げられている新NISA。資産形成層から富裕層まで、その関心は高い。そういった顧客と日々やり取りを重ねる各金融機関の販売現場はどのような状況なのだろうか。

【図1】各社新NISA利用者の獲得層属性

 

【図2】新NISA開始後の販売状況について

 

図2にある通り、全体の約半数が「つみたて投資枠・成長投資枠ともに想定通り・または上回っている」と回答している。理由としては、「NISAに対する関心度の高い顧客が増えた」「運用の必要性の機運の高まり、物価・相場の上昇、非課税枠の増加によるところが大きい」「ニュースや広告を見て、とりあえずやってみたいというニーズがある」という、国民全体の資産運用への興味関心度の向上と、非課税枠の大幅な増額という制度上の変更による結果だととらえる向きが多い。

これに加え、回答者の約8割を占める地銀・第二地銀ならではの意見として、「地方銀行の強みを生かし、日ごろから利用している地元の銀行を選択してもらえるよう、投資初心者にも分かりやすく情報発信を行った結果だ」という、地域に密着する金融機関としての矜持を示す回答者もいた。

一方、「つみたて投資枠・成長投資枠ともに想定より下回っている」と回答した読者も25%存在しており、その理由の筆頭には「ネット証券への顧客流れ」があげられる。「自行のラインアップが証券会社より劣るため」「新NISAに親和性の高い若年層がネットを好むため、ネットの使いやすさなどの面で魅力に欠けるのでは」など、商品ぞろえやネット環境の整備で、ネット証券や証券会社に劣後する状況を嘆く声が集まった。その他には、「投資未経験の顧客に資産運用の必要性と、運用資金の作り方をじっくりと浸透させていかなければならない」など、顧客がきちんと理解する前に投資に踏み出す危険性を懸念する回答もあった。

事前にさまざまな準備を重ねたとはいえ、実際に販売するなかで見えてくる課題もある。

「新NISAを実際に販売してみて、新たに浮かび上がってきた課題は?」という問いに対しては、次のような回答が目立った。「短期売買は推奨されないが、それを希望する顧客もいる。NISA本来の目的が達成されない可能性があり、どのように伝えれば理解してもらえるのか」「顧客の金融リテラシーのばらつきに対する販売手法の差別化」「顧客の好みに合わせたプランを納得できるように提案する力が求められている」。長期的な資産形成に対する顧客の理解や、ニーズに合わせたプラン提供をするための販売側のスキルなどに課題があることが浮き彫りになったと言えそうだ。加えて、「他社とのラインアップの差別化」「品ぞろえの充実」など取り扱う商品に対する課題も散見され、販売状況が芳しくない状況と課題に共通点が多くあることが分かった。

注目すべきは、各社の評価体制に対する意見だ。「新NISAは長期目線での販売が主だが、手数料収入も成績に加味されるため、推進活動においてどちらかに偏るとどちらか捨てなければならなくなる」など、顧客本位の業務運営と自身の評価の優先順位に悩む回答もあり、販売現場における葛藤が垣間見えた。

【図3】顧客に新NISAを長期活用してもらうために重要だと思うポイントは(複数回答)

 

「顧客に新NISAを長期活用してもらうために重要だと思うポイント」(図3)についての質問でも、前述の課題を反映する回答となっており、実際に新制度がスタートし、顧客と対するなかで、重要と思える点が課題と紐づいていることがうかがえた。

「資産運用立国」を目指すべく、国からの指針が示され、各種メディアでも連日取り上げられている新NISA。資産形成層から富裕層まで、その関心は高い。そういった顧客と日々やり取りを重ねる各金融機関の販売現場はどのような状況なのだろうか。

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