finasee Pro(フィナシープロ)
新規登録
ログイン
新着 人気 特集・連載 リテール&ウェルス 有価証券運用 金融機関経営 ビジネス動画 サーベイレポート
コンサルタント・オピニオン

景気サイクル終盤のクレジットファンド選定

三吉康雄
三吉康雄
大和ファンド・コンサルティング 年金運用コンサルティング部 シニアコンサルタント 
2023.12.11
会員限定
景気サイクル終盤のクレジットファンド選定

激変する市場環境や金融規制への対応など、地域金融機関の運用部門がクリアすべき課題は多い。そうした中、外部の運用コンサルタントの知見を意思決定に役立てる動きが徐々に広がってきている。そこで、主要な運用コンサルティングファームの関係者に、運用のヒントとなる情報を寄稿いただいた。

ヘッジコストが6%近傍となる中、為替ヘッジ後でインカム収益を確保するためには、実物資産のエクイティやCATボンドを別とすれば、相応のクレジットリスクを取ることが必要になると考えられる。

足元では米国経済の先行きに楽観的な見方が主流との印象を受けるが、将来的な景気後退を示唆するとされる米国長短金利差(10年-3カ月)はマイナス化して久しい。

図1は、米国の長短金利差(10年-3カ月)のマイナスが3カ月連続で続いた時点の翌月から利下げが完了した月までの期間を景気警戒局面(青色)、利下げ完了月の翌月から12カ月間を回復期待局面(赤色)として示した。直近では、2022年12月末以降、「青色」が点灯している。

図1 米国金利と景気警戒局面、回復期待局面

出所:Bloombergより大和ファンド・コンサルティング作成

図2では、代表的な米国クレジットファンド(投資適格社債、ハイイールド社債、バンクローン)のパフォーマンスを局面別に示した。前回の景気警戒局面は2020年3月のコロナショックと重なり、クレジットファンドは大きく調整した。

図2 景気局面別パフォーマンス

出所:各種データベースより大和ファンド・コンサルティング作成

しかし、その後の回復期待局面ではFRBの社債買入プログラムの追い風を受けた投資適格社債やハイイールド社債はもとより、バンクローンファンドも下落幅を上回る回復を見せている。米国の大規模な金融財政政策に後押しされた面はあるが、優れた運用者を選定すれば景気後退局面の下方リスクを上回る回復を中期的に期待できることを示唆している。

このように景気サイクル局面によるダウンサイドとアップサイドを可視化することにより、中長期的に収益を追求することが可能となるだろう。この点は、プライベート・デットファンドも同様と考える。コロナショックが発生した2020年3月に一部のプライベートデット・デットファンドでは監査法人から市場変動要因を織り込んだ評価方法の構築を求められ、ドローダウンが発生した。ファンドレベルのレバレッジがマイナス要因となったが、保有銘柄のファンダメンタルズが比較的良好であったため、その後は緩やかに回復した。

景気サイクルの終盤でのクレジットファンド選定に際して特に重要な点は、①ポートフォリオの財務健全性やファンドレベルのレバレッジの水準を考慮し、リスクに見合う収益性が中長期的に期待できること、②十分に分散されたポートフォリオにより信用収縮局面に十分耐えられること、③優れた運用力と説明力を有する運用会社を採用することの3点と筆者は考える。

続きを読むには…
この記事は会員限定です
会員登録がお済みの方ログイン
ご登録いただくと、オリジナルコンテンツを無料でご覧いただけます。
投資信託販売会社様(無料)はこちら
上記以外の企業様(有料)はこちら
※会員登録は、金融業界(銀行、証券、信金、IFA法人、保険代理店)にお勤めの方を対象にしております。
法人会員とは別に、個人で登録する読者モニター会員を募集しています。 読者モニター会員の登録はこちら
※投資信託の販売に携わる会社にお勤めの方に限定しております。
モニター会員は、投資信託の販売に携わる企業にお勤めで、以下にご協力いただける方を対象としております。
・モニター向けアンケートへの回答
・運用会社ブランドインテグレーション評価調査の回答
・その他各種アンケートへの回答協力
1
前の記事
国内債券投資の再考
2023.12.08
次の記事
上場REIT投資を通じた”次世代”の海外不動産投資
2023.12.13

この連載の記事一覧

コンサルタント・オピニオン

上場REIT投資を通じた”次世代”の海外不動産投資

2023.12.13

景気サイクル終盤のクレジットファンド選定

2023.12.11

国内債券投資の再考

2023.12.08

おすすめの記事

楽天証券の売れ筋で「オルカン」がトップに。米国市場への警戒感を背景に「世界のベスト」もランクイン

finasee Pro 編集部

企業型確定拠出年金の制度運営に中小企業ならではの距離感を活かす―新宮運送が構築した“一人ひとりに寄り添う”サポートの形

finasee Pro 編集部

経営、本部、販売現場が価値観を共有し「真のコンサルティング営業」の実践へ case of ちゅうぎんフィナンシャルグループ/中国銀行

Ma-Do編集部

【文月つむぎ】運用立国議連の新「緊急提言」を読み解く!NISA、税制の見直しで対応が求められる3つのポイント

文月つむぎ

SBI証券で再び米国大型テック株への関心高まる、新設「メガ10インデックス」もランクイン

finasee Pro 編集部

著者情報

三吉康雄
みよしやすお
大和ファンド・コンサルティング 年金運用コンサルティング部 シニアコンサルタント 
この著者の記事一覧はこちら

アクセスランキング

24時間
週間
月間
経営、本部、販売現場が価値観を共有し「真のコンサルティング営業」の実践へ case of ちゅうぎんフィナンシャルグループ/中国銀行
【金融風土記】東日本大震災からまもなく15年、福島の金融勢力図を読む
「中途半端は許されない」不退転の覚悟で挑むリテール分野への新たなるチャレンジ case of 三菱UFJフィナンシャル・グループ
J. フロント リテイリングに聞く企業型確定拠出年金制度運営の秘訣―継続投資教育の参加率が驚異の80%超えの理由とは?
楽天証券の売れ筋で「オルカン」がトップに。米国市場への警戒感を背景に「世界のベスト」もランクイン
企業型確定拠出年金の制度運営に中小企業ならではの距離感を活かす―新宮運送が構築した“一人ひとりに寄り添う”サポートの形
【運用会社ランキングVol.2/販売会社一般編①】銀行・証券会社からの評価トップは2年連続でアモーヴァ・アセットマネジメント、新NISA2年目で変転期の投信市場が求める運用会社は?
【プロはこう見る!投資信託の動向】
NISAに必要か?「毎月分配型」「債券メイン」ファンド、「特定の年齢層対象の制度」
新たな商品・制度の導入は、投資家のリスク許容度・理解度が鍵
【運用会社ランキングVol.1】販売会社が運用会社に求めるものは、運用力か人的支援か? 2025年の評価を発表!
第16回 資産運用にまつわるさまざまな常識を疑え!【総集編】
「資産運用において疑うべき常識」を振り返る
「中途半端は許されない」不退転の覚悟で挑むリテール分野への新たなるチャレンジ case of 三菱UFJフィナンシャル・グループ
【金融風土記】東日本大震災からまもなく15年、福島の金融勢力図を読む
【プロはこう見る!投資信託の動向】
NISAに必要か?「毎月分配型」「債券メイン」ファンド、「特定の年齢層対象の制度」
新たな商品・制度の導入は、投資家のリスク許容度・理解度が鍵
J. フロント リテイリングに聞く企業型確定拠出年金制度運営の秘訣―継続投資教育の参加率が驚異の80%超えの理由とは?
第16回 資産運用にまつわるさまざまな常識を疑え!【総集編】
「資産運用において疑うべき常識」を振り返る
【連載】藤原延介のアセマネインサイト㉖
~米国投資信託最新事情
ミューチュアルファンド初の30兆ドル突破も、米国株ファンドから過去最大の資金流出
「支店長! お客さまへ良い提案をするためのコンサルティング能力はどうやって向上させればいいですか。何に関心を持つべきでしょう」
【運用会社ランキングVol.3/販売会社一般編②】販社からの評価を高める「野村」の底力と「フィデリティ」の運用力、2年連続で総合トップの「アモーヴァ」は安泰か
【運用会社ランキングVol.1】販売会社が運用会社に求めるものは、運用力か人的支援か? 2025年の評価を発表!
毎月分配型解禁見送りと運用立国の「親離れ」――地銀は新強化プラン+口座付番義務化で”地域金融出先機関”に?
【オフ座談会vol.10:かやば太郎×本石次郎×財研ナオコ】
【金融風土記】東日本大震災からまもなく15年、福島の金融勢力図を読む
【新連載】プロダクトガバナンス実践ガイド~製販情報連携の背景と事例
①プロダクトガバナンスが注目される背景と製販情報連携の重要性
【プロはこう見る!投資信託の動向】
NISAに必要か?「毎月分配型」「債券メイン」ファンド、「特定の年齢層対象の制度」
新たな商品・制度の導入は、投資家のリスク許容度・理解度が鍵
【連載】こたえてください森脇さん
⑪預かり資産業務に対するマネジメント層の理解が低い
【運用会社ランキングVol.1】販売会社が運用会社に求めるものは、運用力か人的支援か? 2025年の評価を発表!
「中途半端は許されない」不退転の覚悟で挑むリテール分野への新たなるチャレンジ case of 三菱UFJフィナンシャル・グループ
【みさき透】高市内閣で「運用立国」から「投資立国」へのシフトが加速へ
【連載】こたえてください森脇さん
⑫元本保証でない商品の販売を嫌がる職員への働きかけ
長野市vs松本市"不仲説"を乗り越え統合の八十二銀・長野銀が、「もう取引しない」と立腹の取引先と雪解けに至るまで
【文月つむぎ】証券口座乗っ取り被害ゼロへ 金融庁の新監督指針を読み解く
ランキングをもっと見る
finasee Pro(フィナシープロ) | 法人契約プランのご案内
  • 著者・識者一覧
  • 本サイトについて
  • 個人情報の取扱いについて
  • 当社ウェブサイトのご利用にあたって
  • 運営会社
  • 個人情報保護方針
  • アクセスデータの取扱い
  • 特定商取引に関する法律に基づく表示
  • お問い合わせ
  • 資料請求
© 2025 finasee Pro
有料会員限定機能です
有料会員登録はこちら
会員登録がお済みの方ログイン
有料プランの詳細はこちら