――フィデリティは、株式のアクティブファンドの運用者として世界で高い評価を得ていますが、マルチ・アセットの運用の分野での評価は高いのですか?
高橋氏 マルチ・アセット運用チームは30年以上の歴史があり、約7兆円(約480億ドル)の資産を運用しています。「フィデリティ・ロイヤル・コア・ファンド」を運用するチームは、運用主担当をロンドンに在籍するサラ・ジェーン・コースレイが務め、共同運用担当者としてシンガポールのイアン・サムソンと東京の白井匡が就きます。主担当のサラは2000年からマルチ・アセットの運用経験があり、白井は約15年、イアンは約10年の経験があります。この3人の運用担当が、フィデリティ・インターナショナルのマルチ・アセット運用チーム100人超のサポートを受けて運用にあたります。マルチ・アセット運用チームの旗艦ファンドは残高が約9,000億円のインカム収益重視で安定運用を行うファンドですが、10年以上のトラックレコードがあって、この間の年率平均リターンはコスト控除後で2.1%になっています。
マルチ・アセットのポートフォリオは、株式のポートフォリオの中に、先進国株式、新興国株式、業種別株式、また、グロース株式、バリュー株式、大型株式、小型株式、最小分散株式など様々な資産クラスに分散し、債券の他、コモディティ(金、銀、プラチナ、先進国リートなど)も投資対象として、環境の変化にきめ細かく対応してリスクを抑えた運用を行います。これらの資産には運用コストと流動性を考えてETFを使って投資します。リスクを抑えたマルチ・アセット運用ではコストを抑えることが重要だと考えています。ETFを使うことによって機動的で柔軟なポートフォリオの変更に対応でき、当ファンドの信託報酬率を年率0.8525%(税込み)に抑えることができました。
――非課税期間が無期限の「新NISA」が2024年1月に始まる予定です。このファンドを資産形成においてどのように使っていくことを想定していますか?
高橋氏 当ファンドの基本的な資産配分で、月次にリバランスして運用したシミュレーションでは、2003年4月末を100とすると、20年後の2023年4月末に200超の成績になります。20年で資産価値が2倍になりました。この期間に年率2%のインフレ率で物価が上昇すると100が150に50%の上昇になります。もし、この間をゼロ%金利の預貯金に資金を置いていたら、資産の価値は50%目減りしたということになります。インフレの時代を迎えた今、資金を預貯金で寝かせておくだけでは資産の価値を守れません。しっかりとリスクを抑制したマルチ・アセットのファンドで運用することが重要になると思います。
新村 積立投資で「S&P500」のインデックスファンドを毎月数万円の積み立てる場合、そのお金は「当面は使う予定のない資金」ということだと思います。預貯金の大半が相当する「いつかは使う資金」は、リスクを抑えた運用をするマルチ・アセットを使って「インフレに負けない運用」を目指した方が良いと思います。お金の性質によって、利用するファンドを使い分けるということが、これからの資産形成では非常に重要になってくると思います。
マルチ・アセットのファンドを紹介する際の1つのポイントは、「誰が運用している?」ということです。たとえば、「フィデリティ・日本成長株・ファンド」や「フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド」などへの投資ご経験があって、フィデリティの運用に信頼をいただいているお客様には、「フィデリティが運用するバランスファンドです」ということで、ファンドに対する信頼感を得ていただけると思います。
また、米国の401kでまとまった資産を作った方々の多くが株式への投資比率を20%程度にしたマルチ・アセット型バランスファンドを使っているという現実に合わせ、それと同じ考え方のファンドに投資するということも重要です。特別な考え方ではなく、普通の資産管理の方法を実行するということです。そして、資産を守ることに重点を置きますので、変化が予想できない為替は基本的にフルヘッジで運用します。資金の性格に合わせた運用を忠実に行うファンドであるということもポイントになります。
私どもでは「フィデリティ・ロイヤル・コア・ファンド」のメリットを広く理解していただくため、販売会社の方々と一緒になって時間をかけてマルチ・アセット・ファンドの価値を伝えていきたいと考えています。当ファンドはみずほフィナンシャルグループ様でお取り扱いいただきますが、販売会社様によっては、もう少しリスク水準の大きな「株式40%、債券60%」の基本比率のファンドの方が望ましいなど、ご要望もあると思います。そのようなニーズに対応したカスタマイズも可能です。「新NISA」で大きく動き出すであろう「貯蓄から投資へ」というムーブメントの中核をなすであろう安定的な運用商品を、ぜひ、実績のある私どもと一緒にご提供いただくことをご検討ください。