「遺産500万円」が入っても返済しない
母親の相続人となったのは伸弥さんと早矢香さんの兄妹のみ。
相続手続きを進めた結果、2人にはそれぞれ約500万円の現金が入ることになった。
伸弥さんは私に、このときの心境をこう話す。
「正直、それだけ入るなら少しくらい借金を返してくれてもいいんじゃないかと思いました」
私も同感だ。そもそも、伸弥さんが600万円の返済を免除したのは、早矢香さんに返済する力がないと思ったからだ。
だがしかし、今回相続によって500万円という大金が入ったことで、前提条件が崩れた。
そう思った伸弥さんは、早矢香さんに対し、「600万円全額とは言わないから、100万円でも200万円でも返してほしい」と頼んだという。
しかし、早矢香さんは返済に応じなかった。
「もう返さなくていいって言ったじゃない」
と、むしろ開き直ったという。
早矢香さんからすれば、返済の必要はないと聞いており、もう終わった話だと思っていた。何をいまさらと思ったことだろう。
だが伸弥さんとしては、そうは思えなかった。
「500万円も入ると分かっていたら、600万円全部の返済を免除するなんて言わなかった」
伸弥さんはそう反論する。
思わぬ反論に感情が高ぶったのか、早矢香さんも、「後から事情が変わったからといって、そんなにコロコロ言うことを変えられても困る」と反発したという。
兄妹の関係はここから急速に悪化していった。
●妹に返済させることはできるのでしょうか? 後編【「600万円のことはもうどうでもいい」妹に借金を踏み倒された兄が泥沼トラブルを乗り越え最終的にたどり着いた「結論」】では、事前の遺産分割協議についてくわしく解説します。
※プライバシー保護のため、事例内容に一部変更を加えています。
