妻の訴えを軽く受け止める夫

しかし、数日が経っても翔子のだるさは消えず、むしろどんどん悪くなっているように感じていた。

朝はなかなか布団から出られず、仕事から帰ってくる頃には何をするにも面倒に感じてしまう。以前なら帰宅してから夕食を作り、食後には栄司とテレビを見ながらたわいのない話をしていた。ところが最近は夕食を済ませると、すぐにソファに横になることが増えた。

その日も夕食の後、翔子はソファにもたれかかり、大きく息を吐いた。隣に座っていた栄司が翔子を見る。

「まだだるいの?」

「うん。なんか全然良くなんないんだよね」

「やっぱ夏バテだよ。最近ご飯もあんまり食べれてないでしょ?」

栄司の指摘通り、ここ最近は食欲もなくなっていた。

「そうなのかなぁ。もう結構この状態が続いててさ。朝起きるのもずっとしんどいし、仕事しててもなんか気分が乗らないんだよね」

「疲れもたまってるんでしょ。お盆明けは仕事もだるいし」

栄司は軽い口調で笑顔を向けた。

「俺も休み明けは仕事に行きたくなかったよ」

「そういうのとはちょっと違う気がするんだよね……」

「まあ、ちゃんと食べて寝ればそのうち戻るって」

栄司はそう言うと、翔子の肩をぽんぽんと叩いた。

「……利香子にも相談してみたんだけど、同じようなことを言われたわ」

翔子は同じ会社の友人にも話していた。

「そりゃそうだ。それ以外の方法はないよ。それと、あんまりそんな話を会社の人にするなよ。甘ったれてるって陰で笑われるぞ」

「……そうね。とりあえず早寝早起きと栄養バランスの取れた食事をしてみるわ」

どことなくざらついた感じのする栄司の物言いにうんざりしながら、翔子はそう答えて肩をすくめた。