9月18日、金融経済教育推進機構(J-FLEC)から「家計の見える化検討会議」の報告書が公表された。家計を把握するために必要となる情報を74項目に整理し、それぞれの重要度や取得の難しさまで示した内容は、国民の安定的な資産形成を支える環境作りを考えるうえで、示唆に富むものである。
家計を「見える化」するという言葉は、一見すると単純である。しかし、実際には、金融資産の残高を単に一覧化することとは意味合いが大きく異なる。将来受け取る年金や退職給付、住宅ローンなどの負債、万一の際の公的保障まで含めて、初めてその人の経済生活の輪郭が見えてくる。報告書の意義は、家計を部分ではなく全体として捉える視点を、具体的な情報項目に落とし込んだことにある。
ただし、この精緻なリストを前にして、実務家がまず心に留めたいことがある。それは、「74項目を漏れなく集めること」自体を目的にしてはならない、ということだ。

