finasee Pro(フィナシープロ)
新規登録
ログイン
新着 人気 特集・連載 リテール&ウェルス 有価証券運用 金融機関経営 ビジネス動画 サーベイレポート

金融庁の大規模改編案は、下火気味の”プラチナNISA構想”の二の舞になるのか?【オフ座談会vol.7:かやば太郎×本石次郎×財研ナオコ】

finasee Pro 編集部
finasee Pro 編集部
2025.08.28
会員限定
金融庁の大規模改編案は、下火気味の”プラチナNISA構想”の二の舞になるのか?【オフ座談会vol.7:かやば太郎×本石次郎×財研ナオコ】

かやば太郎氏 総合政策局、企画市場局、監督局に分かれている金融庁の今の組織体制を見直して、保険と資産運用に特化した新たな局を設置する案が浮上していますね。

財研ナオコ氏 寝耳に水というわけでもない。岸田文雄前首相が率いる資産運用立国議員連盟は、4月に公表した提言の中で既に、金融庁の抜本的な体制拡充を打ち出していた。

本石次郎氏 提言を読み返すと、金融庁で「課」だけでなく「局」も不足していると指摘していますね。「既存の省庁内の機構のスクラップ&ビルドに固執した硬直的な考え方を踏襲することなく、抜本的な組織拡充を行うべきである」との記述も、伏線だったようです。

かやば氏 議連の提言は、政府が6月に取りまとめた「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」の2025年改定版にも反映されています。資産運用立国に向けた改革を実現していくため、「金融庁の体制について、抜本的な組織拡充を検討する」というくだりです。

本石氏 資産運用課を1つ増やすのさえ大変だったのに、大がかりな組織改編にどれだけ現実味があるのか疑問です。同じように大手紙のスクープ報道で注目を集めたものの、今ではトーンダウン気味になっている「プラチナNISA構想」と、同じ匂いがしませんか?

財研氏 たしかに組織拡充もNISA再拡充と同じように、岸田氏周辺がどれだけ影響力を維持・発揮できるかにかかっている。要するに今後の政治の風向き次第という側面が大きく、現時点で実現可能性を見積もるには不確定要素が多すぎる。

本石氏 一方で、組織拡充案が、金融庁と立国議連との連携をいっそう強めることは間違いないでしょう。

財研氏 幹部ポストが増えることは官僚たちにとって悪い話ではないからね。金融庁の利害と、新資本主義実現会議を通じて内閣官房に影響力を維持したい立国議連と利害が一致し、「一蓮托生」のような関係性が出来上がりつつある。

本石氏 銀証ファイアウォール規制の完全撤廃をめぐる攻防を続けてきた独立系証券会社にとっては、組織改編によって風当りが厳しくなることへの警戒感が強まりそうです。

かやば氏 保険の監督強化に向けては、既に外堀を埋める作業が始まっています。たとえば、8月6日の生損保代理店に対する業務改善命令の同時発出です。

本石氏 損保の不正請求・保険料調整問題は今も終わっていないし、生保業界も他人事で済ますことなく対応を求めるという考えを、”ダブル処分”で改めて明確化させたわけですよね。

財研氏 これまで代理店の分野は本丸の保険会社と違って、政治家たちにとって票田とは見なされていなかった。しかし代理店の統廃合や大手の集中化が進むなか、永田町では超党派の新たな議員連盟を立ち上げる動きもある。影響力の拡大を狙う政官の思惑は、いっそう複雑化している。

かやば氏 今泉宣親氏が「暗号資産・ブロックチェーン・イノベーション参事官」という新ポストに就いたことも話題を集めていますね。ビットコインETFの解禁やステーブルコインの制度整備を含め、フィンテック分野の動向は既存の伝統的な金融業界にとっても無視できなくなってきています。

財研氏 これまで金融庁が旗振り役を担ってきた「貯蓄から投資へ」「資産運用立国」のストーリーと、暗号資産の発展は、食い合わせが良くないところがある。当局としては、オルタナティブの一種という位置づけで、「分散投資の1ピースとして投資効率の改善に貢献しうる」という言い回しを用いることになりそうだ。

本石氏 これまで資産運用立国の文脈で、オルタナティブ投資といえばVC・PEなどスタートアップ分野にフォーカスしてきたはずです。暗号資産はそうした典型的なオルタナティブ投資の代替、いわば「オルタナティブ・オルタナティブ投資」といった不思議な位置づけになるわけですね。

かやば氏 今泉氏の着任後には、円建てステーブルコインの初承認が注目を集めましたね。

財研氏 単に時流に乗ったというだけでなく、国債の買い手の確保という国全体の問題意識も透けて見える。NISAで債券投資を後押しする案も水面下で検討が進んでいるし、政治サイドからふりかかる難題への対応に追われ続ける金融庁の立場は、当面変わることがなさそうだ。

続きを読むには…
この記事は会員限定です
会員登録がお済みの方ログイン
ご登録いただくと、オリジナルコンテンツを無料でご覧いただけます。
投資信託販売会社様(無料)はこちら
上記以外の企業様(有料)はこちら
※会員登録は、金融業界(銀行、証券、信金、IFA法人、保険代理店)にお勤めの方を対象にしております。
法人会員とは別に、個人で登録する読者モニター会員を募集しています。 読者モニター会員の登録はこちら
※投資信託の販売に携わる会社にお勤めの方に限定しております。
モニター会員は、投資信託の販売に携わる企業にお勤めで、以下にご協力いただける方を対象としております。
・モニター向けアンケートへの回答
・運用会社ブランドインテグレーション評価調査の回答
・その他各種アンケートへの回答協力
1

関連キーワード

  • #金融庁

おすすめの記事

こんな議論してたっけ!?資金交付制度だけじゃなかった、地域金融力WG報告書案で飛び出した注目ポイント3選

川辺 和将

マネックス証券の売れ筋で国内株は「ブル型」で強気、「純金ファンド」がトップ10から消える

finasee Pro 編集部

「誰も取り残さない」を理念に企業型確定拠出年金を運営―電通総研ITがアプリを活用して実践した効果的な施策とは?

finasee Pro 編集部

【運用会社ランキングVol.4】野村アセットマネジメントが2年連続トップ、3位に急浮上したのは大和アセットマネジメント/ゆうちょ銀行・郵便局編

finasee Pro 編集部

楽天証券の売れ筋で「オルカン」がトップに。米国市場への警戒感を背景に「世界のベスト」もランクイン

finasee Pro 編集部

著者情報

finasee Pro 編集部
ふぃなしーぷろへんしゅうぶ
「Finasee」の姉妹メディア「Finasee PRO」は、銀行や証券会社といった金融機関でリテールビジネスに携わるプロフェッショナルに向けたオンライン・コミュニティメディアです。金融行政をめぐる最新動向をはじめ、金融機関のプロフェッショナルにとって役立つ多様なコンテンツを日々配信。投資家の皆さんにも有益な記事を選りすぐり、「Finasee」にも配信中です。
続きを読む
この著者の記事一覧はこちら

アクセスランキング

24時間
週間
月間
【運用会社ランキングVol.4】野村アセットマネジメントが2年連続トップ、3位に急浮上したのは大和アセットマネジメント/ゆうちょ銀行・郵便局編
経営、本部、販売現場が価値観を共有し「真のコンサルティング営業」の実践へ case of ちゅうぎんフィナンシャルグループ/中国銀行
マネックス証券の売れ筋で国内株は「ブル型」で強気、「純金ファンド」がトップ10から消える
【金融風土記】東日本大震災からまもなく15年、福島の金融勢力図を読む
「中途半端は許されない」不退転の覚悟で挑むリテール分野への新たなるチャレンジ case of 三菱UFJフィナンシャル・グループ
こんな議論してたっけ!?資金交付制度だけじゃなかった、地域金融力WG報告書案で飛び出した注目ポイント3選
「支店長! お客さまへ良い提案をするためのコンサルティング能力はどうやって向上させればいいですか。何に関心を持つべきでしょう」
【プロはこう見る!投資信託の動向】
NISAに必要か?「毎月分配型」「債券メイン」ファンド、「特定の年齢層対象の制度」
新たな商品・制度の導入は、投資家のリスク許容度・理解度が鍵
【運用会社ランキングVol.3/販売会社一般編②】販社からの評価を高める「野村」の底力と「フィデリティ」の運用力、2年連続で総合トップの「アモーヴァ」は安泰か
【連載】藤原延介のアセマネインサイト㉖
~米国投資信託最新事情
ミューチュアルファンド初の30兆ドル突破も、米国株ファンドから過去最大の資金流出
経営、本部、販売現場が価値観を共有し「真のコンサルティング営業」の実践へ case of ちゅうぎんフィナンシャルグループ/中国銀行
「中途半端は許されない」不退転の覚悟で挑むリテール分野への新たなるチャレンジ case of 三菱UFJフィナンシャル・グループ
【プロはこう見る!投資信託の動向】
NISAに必要か?「毎月分配型」「債券メイン」ファンド、「特定の年齢層対象の制度」
新たな商品・制度の導入は、投資家のリスク許容度・理解度が鍵
【金融風土記】東日本大震災からまもなく15年、福島の金融勢力図を読む
J. フロント リテイリングに聞く企業型確定拠出年金制度運営の秘訣―継続投資教育の参加率が驚異の80%超えの理由とは?
「支店長! お客さまへ良い提案をするためのコンサルティング能力はどうやって向上させればいいですか。何に関心を持つべきでしょう」
第16回 資産運用にまつわるさまざまな常識を疑え!【総集編】
「資産運用において疑うべき常識」を振り返る
【連載】藤原延介のアセマネインサイト㉖
~米国投資信託最新事情
ミューチュアルファンド初の30兆ドル突破も、米国株ファンドから過去最大の資金流出
【運用会社ランキングVol.3/販売会社一般編②】販社からの評価を高める「野村」の底力と「フィデリティ」の運用力、2年連続で総合トップの「アモーヴァ」は安泰か
【運用会社ランキングVol.1】販売会社が運用会社に求めるものは、運用力か人的支援か? 2025年の評価を発表!
【金融風土記】東日本大震災からまもなく15年、福島の金融勢力図を読む
経営、本部、販売現場が価値観を共有し「真のコンサルティング営業」の実践へ case of ちゅうぎんフィナンシャルグループ/中国銀行
【プロはこう見る!投資信託の動向】
NISAに必要か?「毎月分配型」「債券メイン」ファンド、「特定の年齢層対象の制度」
新たな商品・制度の導入は、投資家のリスク許容度・理解度が鍵
【運用会社ランキングVol.1】販売会社が運用会社に求めるものは、運用力か人的支援か? 2025年の評価を発表!
【連載】こたえてください森脇さん
⑪預かり資産業務に対するマネジメント層の理解が低い
「中途半端は許されない」不退転の覚悟で挑むリテール分野への新たなるチャレンジ case of 三菱UFJフィナンシャル・グループ
【連載】こたえてください森脇さん
⑫元本保証でない商品の販売を嫌がる職員への働きかけ
長野市vs松本市"不仲説"を乗り越え統合の八十二銀・長野銀が、「もう取引しない」と立腹の取引先と雪解けに至るまで
【みさき透】高市内閣で「運用立国」から「投資立国」へのシフトが加速へ
三井住友銀行の売れ筋でランクアップしたファンドは? ランクインした「ライフ・ジャーニー」は期待以上のリターン
ランキングをもっと見る
finasee Pro(フィナシープロ) | 法人契約プランのご案内
  • 著者・識者一覧
  • 本サイトについて
  • 個人情報の取扱いについて
  • 当社ウェブサイトのご利用にあたって
  • 運営会社
  • 個人情報保護方針
  • アクセスデータの取扱い
  • 特定商取引に関する法律に基づく表示
  • お問い合わせ
  • 資料請求
© 2025 finasee Pro
有料会員限定機能です
有料会員登録はこちら
会員登録がお済みの方ログイン
有料プランの詳細はこちら