※当記事は2025年7月4日(金)に行われた「アセマネOne 商品戦略フォーラム」内のセッション「トランプ政権の関税政策を受けた相場変動の振り返りと今後のマーケット見通し」を採録したものです。
保護主義的政策が揺るがす「米国一強」
投資家たちに地域・通貨を分散させる動き
村松 トランプ政権の誕生を理解する上で、無視できないのが経済のグローバル化の影響でしょう。産業革命や輸送革命に続く1990年代の通信革命に加え、1948年のGATT(関税及び貿易に関する一般協定)の設立や1995年のWTO(世界貿易機関)の発足、そして2001年の中国のWTO加盟を契機にグローバル化は一気に進展しました。この過程で各国のGDPは大きく成長し、特に1990年代から2024年にかけては新興国の経済成長が顕著となりましたが、その副作用として米国では製造業などの衰退が進み国民の不満が蓄積されました。この不満が保護主義的なトランプ政権の誕生、そして足元の関税政策へとつながったと考えられます。