山口フィナンシャルグループは今期(2025年3月期)、純利益ベースで過去最高益を計画しています。達成すれば最高益の更新は7期ぶりとなり、15年ぶりの最終赤字だった2022年3月期からV字回復を果たす格好です。
山口FGは今期計画を「チャレンジングな目標」としつつも、資本コストの観点からより高い利益率が必要との認識を示しています。PBRが1倍を下回る同社ですが、利益率が高まるなら株価の見直しが進むかもしれません(出所:山口FG 会社説明会資料 主な質疑応答(2024年3月期))。
今回は山口FGに焦点を当ててみましょう。同社の概要と業績を紹介します。また山口FGは株主還元を積極化させていますが、その理由も探ってみましょう。
中国・四国で最大級の金融グループ 3県にまたがる広い地盤が特徴
山口FGは3つの銀行を持つ金融グループです。山口銀行を中核に、もみじ銀行と北九州銀行を傘下に持ちます。
もみじ銀行は広島県の第二地方銀行で、山口銀行と共同で2006年に山口FGを設立しました。北九州銀行は、山口FGが設立し2011年に開業した地方銀行です。地方銀行の新規開業は27年ぶりでした。なお、銀行業以外の子会社にはリース会社や証券会社などを持ちます。
【山口FG傘下行の総資産(単体、2024年3月期)】
・山口銀行:7兆2058億円
・もみじ銀行:3兆7430億円
・北九州銀行:1兆6694億円
3行体制のもと、山口FGは山口・広島・福岡の3県を主要に展開しています。いずれも製造業が盛んな地域で、県内総生産はそれぞれ全国25位、12位、9位です。広いエリアを地盤に持つ山口FGは中国・四国地方では最大級、全国でも有数の金融グループとなっています。
【山口FGの概要(連結、2024年3月期)】
・総資産:12兆5485億円(地銀グループ23社中9位)
・貸出金:8兆5899億円(同9位)
・預金:10兆0579億円(同9位)
・経常利益:372億円(同8位)
・純利益:252億円(同10位)