ついに開始した新NISA。国民からの注目度も高い本制度がスタートした今、各金融機関はどのような状況になっているのでしょうか。
金融プロフェッショナル向けの投信マーケティング情報誌「Ma-Do」では、モニター読者である地方銀行をはじめ、第二地銀、証券会社、IFAなどの投信販売チャネルの皆さまに対し、緊急アンケートを実施。販売開始から約1カ月後に行われた同アンケートの時点での販売状況や、新たに見えてきた課題などについて回答いただきました。
さらに、これからより重視されていくであろう金融リテラシーの向上について、「職域」というシーンでの今後についても意見を伺いました。
新NISAスタート! 現在の販売状況は?
アンケート回収時点での新NISAの販売状況は、「つみたて投資枠・成長投資枠ともに想定通り・または上回っている」との回答が半数以上を占めた。「CMやメディアの報道などにより、関心の高い顧客が増えた」「非課税枠の拡大」「去年からのキャンペーンや声掛けなど、現場の営業努力の結果」など、国民全体の資産運用に対する意識の向上と制度の充実、そして現場職員によるアプローチの成果と捉える意見が集まった。一方「つみたて投資枠・成長投資枠ともに想定より下回っている」(25%)の理由として最も多かったのは、「ネット証券への顧客流れ」だった。
新NISAの長期活用で重要なのは? 本部と支店で視点の違いが明らかに
新NISAを顧客に長期活用してもらうために重要だと思うのは、「個々の顧客のポートフォリオ(リスク許容度を含む)を踏まえたアドバイスと、商品提案の高度化(システム化)」が全体および支店で最多を獲得。本部の1位は「顧客の長期資産を成功に導くコーチング能力の向上」だった。全体・本部で3位となった「預かり資産ビジネスに長期目線で取り組む経営陣のコミットメント」は、本部=58%に対して支店=34%(5位)と、20ポイントの開きがある結果に。経営陣の姿勢を間近で見る機会の多い本部職員と、現場で顧客と直に接する支店職員の意識の違いが見られる結果となった。
今後の課題は「差別化」「制度理解の促進」「職員のレベルアップ」
実際に販売して見えてきた課題としては、「商品ラインアップで自社が劣後するネット証券を含む証券会社等との差別化」「職員のレベルアップ」「制度理解のためのツールの拡充」「顧客の金融リテラシー向上」などが多く見られた。回答者の約8割を占める地銀・第二地銀の利用者の中には毎月分配型商品を好む顧客が一定数いることから、「新NISAの制度を理解・納得してもらうのに時間がかかることが課題」との声もあった。
資産形成を当たり前にするには
「職場の制度や環境」と「経営層の意識」が必要
職域現場における課題は、地域や所属金融機関によってさまざまであることがうかがえる意見が集まった。その中でも多忙な従業員に日中セミナー等を実施することに難しさを感じている声は多く、「新入社員研修の一環で資産形成セミナーを組み込む」など、投資の必要性に自然と触れられる制度や環境づくりを望む意見もあった。少数ではあるが、「職域先の経営層の理解や意識変化が大切」という、資産形成を当たり前にするためには企業(経営)としての姿勢が重要だとの興味深いコメントも寄せられた。
レポートでは、上記以外の設問や、販売会社からのフリーコメントなども報告しています。
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