finasee Pro(フィナシープロ)
新規登録
ログイン
新着 人気 特集・連載 リテール&ウェルス 有価証券運用 金融機関経営 ビジネス動画 サーベイレポート

「黒田時代」最終盤、日銀事務方が巻き返し? 雨宮副総裁、ポスト黒田へ前進か 野村総研・木内氏(元日銀審議委員)に聞く

大規模緩和、年末に「一部修正」も1月は「維持」

finasee Pro 編集部
finasee Pro 編集部
2023.01.19
会員限定
「黒田時代」最終盤、日銀事務方が巻き返し? 雨宮副総裁、ポスト黒田へ前進か 野村総研・木内氏(元日銀審議委員)に聞く

日銀は1月17~18日の金融政策決定会合で、大規模金融緩和の維持を決めた。昨年12月の決定会合では緩和の「一部修正」を決めたが、新年最初の決定会合では緩和のさらなる縮小に踏み込まなかった。黒田東彦総裁の任期が満了する4月を控え、日銀内の力学はどのような状態にあるのだろうか。2012年から17年まで日銀の最高意思決定機関である審議委員を務め、質的・量的緩和への反対論を唱え続けてきた木内登英・野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストに聞いた。

――今回の決定会合をめぐっては、市場関係者の間で「年末に続き日銀が修正に踏み切る」との観測もありましたが、結局は「維持」でした。

決定会合で2回続けて政策を変更することは、普通はありません。長期金利の変動許容幅を再拡大する必要はないと黒田総裁が明言したのは、足元の金利上昇を力技で抑えていくというメッセージでしょう。黒田氏としても、これまで築いてきた金融緩和のしくみが退任前に崩壊するような事態は絶対に避けたいはずです。

――なぜ日銀は昨年末のタイミングで「一部修正」に動いたのでしょうか。

長期金利の変動許容幅を上限0.25%から0.5%に引き上げた12月の措置は黒田総裁が主導したわけではなく、次の総裁人事も視野に入れた事務方の主導で決めたと推察します。新体制は金融正常化を目指す方向でしょうし、ただでさえ日銀は円安への対応が後手に回ったことで、政府や国民の不信感を招いている状況です。次の体制に移る前に政府などとの関係を修復し、政策の温度差をなくしておきたいとの思惑が事務方にはあります。黒田氏自身がそのような配慮をするとは考えにくく、周りが黒田氏に言い含めたのだと思います。年明けだと総裁交代の直前になってしまうので、昨年末がギリギリのタイミングでした。

日銀は1月17~18日の金融政策決定会合で、大規模金融緩和の維持を決めた。昨年12月の決定会合では緩和の「一部修正」を決めたが、新年最初の決定会合では緩和のさらなる縮小に踏み込まなかった。黒田東彦総裁の任期が満了する4月を控え、日銀内の力学はどのような状態にあるのだろうか。2012年から17年まで日銀の最高意思決定機関である審議委員を務め、質的・量的緩和への反対論を唱え続けてきた木内登英・野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストに聞いた。

――今回の決定会合をめぐっては、市場関係者の間で「年末に続き日銀が修正に踏み切る」との観測もありましたが、結局は「維持」でした。

決定会合で2回続けて政策を変更することは、普通はありません。長期金利の変動許容幅を再拡大する必要はないと黒田総裁が明言したのは、足元の金利上昇を力技で抑えていくというメッセージでしょう。黒田氏としても、これまで築いてきた金融緩和のしくみが退任前に崩壊するような事態は絶対に避けたいはずです。

――なぜ日銀は昨年末のタイミングで「一部修正」に動いたのでしょうか。

長期金利の変動許容幅を上限0.25%から0.5%に引き上げた12月の措置は黒田総裁が主導したわけではなく、次の総裁人事も視野に入れた事務方の主導で決めたと推察します。新体制は金融正常化を目指す方向でしょうし、ただでさえ日銀は円安への対応が後手に回ったことで、政府や国民の不信感を招いている状況です。次の体制に移る前に政府などとの関係を修復し、政策の温度差をなくしておきたいとの思惑が事務方にはあります。黒田氏自身がそのような配慮をするとは考えにくく、周りが黒田氏に言い含めたのだと思います。年明けだと総裁交代の直前になってしまうので、昨年末がギリギリのタイミングでした。

続きを読むには…
この記事は会員限定です
会員登録がお済みの方ログイン
ご登録いただくと、オリジナルコンテンツを無料でご覧いただけます。
投資信託販売会社様(無料)はこちら
上記以外の企業様(有料)はこちら
※会員登録は、金融業界(銀行、証券、信金、IFA法人、保険代理店)にお勤めの方を対象にしております。
法人会員とは別に、個人で登録する読者モニター会員を募集しています。 読者モニター会員の登録はこちら
※投資信託の販売に携わる会社にお勤めの方に限定しております。
モニター会員は、投資信託の販売に携わる企業にお勤めで、以下にご協力いただける方を対象としております。
・モニター向けアンケートへの回答
・運用会社ブランドインテグレーション評価調査の回答
・その他各種アンケートへの回答協力
次のページ 黒田氏は「強い総裁」ではなかった?
1 2 3

関連キーワード

  • #金融政策
  • #マーケット情報
  • #債券
  • #NRI
  • #木内登英

おすすめの記事

福岡銀行で国内株「配当フォーカスオープン」が売れ筋トップ、「純金」「米国株」はランクダウン

finasee Pro 編集部

「支店長! 金利が上昇しているのだから預貯金や円保険で十分です! お客さまにリスクの高い投資商品を提案する必要なんてないですよね?」

森脇 ゆき

IBMから画商に転身して抱いた"違和感"の正体とアート市場の「リアル」

川辺 和将

成長と財源の両立に具体策はあるか?野党「NISA再強化提言」に見る多党制時代の“建設的議論”のあり方

文月つむぎ

2025年の新規設定額トップは伝統的な株式・債券のバランスファンド、新しい投資アイデアを提案する新ファンドも続々 =25年11月新規設定ファンド

finasee Pro 編集部

著者情報

finasee Pro 編集部
ふぃなしーぷろへんしゅうぶ
「Finasee」の姉妹メディア「Finasee PRO」は、銀行や証券会社といった金融機関でリテールビジネスに携わるプロフェッショナルに向けたオンライン・コミュニティメディアです。金融行政をめぐる最新動向をはじめ、金融機関のプロフェッショナルにとって役立つ多様なコンテンツを日々配信。投資家の皆さんにも有益な記事を選りすぐり、「Finasee」にも配信中です。
続きを読む
この著者の記事一覧はこちら

アクセスランキング

24時間
週間
月間
「支店長! 金利が上昇しているのだから預貯金や円保険で十分です! お客さまにリスクの高い投資商品を提案する必要なんてないですよね?」
IBMから画商に転身して抱いた"違和感"の正体とアート市場の「リアル」
福岡銀行で国内株「配当フォーカスオープン」が売れ筋トップ、「純金」「米国株」はランクダウン
投信ビジネスに携わる金融のプロに聞く!「自分が買いたい」ファンド【アクティブファンド編】
「AI以外はほぼリセッションに近い」米国経済はAIバブルか? ―強さと弱点から見通す2026年“変わりゆく”世界経済と投資環境
“霞が関文学”で読み解く金融界⑤ 表題は「FDレポート」なのにFDを突き放す当局
「投信のパレット」の進化形でコンサルティングのさらなる高度化へ case of ふくおかフィナンシャルグループ
経営、本部、販売現場が価値観を共有し「真のコンサルティング営業」の実践へ case of ちゅうぎんフィナンシャルグループ/中国銀行
2025年の新規設定額トップは伝統的な株式・債券のバランスファンド、新しい投資アイデアを提案する新ファンドも続々 =25年11月新規設定ファンド
三菱UFJ銀行の売れ筋は「日経225」に人気集中、「純金」に代わって「オルカン」人気が復調
“霞が関文学”で読み解く金融界⑤ 表題は「FDレポート」なのにFDを突き放す当局
投信ビジネスに携わる金融のプロに聞く!「自分が買いたい」ファンド【アクティブファンド編】
10年国債利回り2%接近でみずほ銀行の売れ筋に単位型ファンド、利回りニーズをとらえた人気ファンドとは?
「AI以外はほぼリセッションに近い」米国経済はAIバブルか? ―強さと弱点から見通す2026年“変わりゆく”世界経済と投資環境
利益相反リスクを内包する日本の「総合証券モデル」「顧客本位」の下で求められる「顧客は誰か」という定義
「遵守か説明か」から「遵守か合併か」に――2026年の地銀政策はどこへ?金融審「地域金融力WG報告書案」を深読み
【運用会社ランキングVol.5】IFA法人からは「キャピタル」、「フィデリティ」、「アライアンス・バーンスタイン」の米系3社が盤石の高評価/IFA法人編
2025年の新規設定額トップは伝統的な株式・債券のバランスファンド、新しい投資アイデアを提案する新ファンドも続々 =25年11月新規設定ファンド
三菱UFJ銀行の売れ筋は「日経225」に人気集中、「純金」に代わって「オルカン」人気が復調
経営、本部、販売現場が価値観を共有し「真のコンサルティング営業」の実践へ case of ちゅうぎんフィナンシャルグループ/中国銀行
経営、本部、販売現場が価値観を共有し「真のコンサルティング営業」の実践へ case of ちゅうぎんフィナンシャルグループ/中国銀行
【金融風土記】東日本大震災からまもなく15年、福島の金融勢力図を読む
「中途半端は許されない」不退転の覚悟で挑むリテール分野への新たなるチャレンジ case of 三菱UFJフィナンシャル・グループ
【運用会社ランキングVol.1】販売会社が運用会社に求めるものは、運用力か人的支援か? 2025年の評価を発表!
【プロはこう見る!投資信託の動向】
NISAに必要か?「毎月分配型」「債券メイン」ファンド、「特定の年齢層対象の制度」
新たな商品・制度の導入は、投資家のリスク許容度・理解度が鍵
“霞が関文学”で読み解く金融界⑤ 表題は「FDレポート」なのにFDを突き放す当局
投信ビジネスに携わる金融のプロに聞く!「自分が買いたい」ファンド【アクティブファンド編】
【運用会社ランキングVol.4】野村アセットマネジメントが2年連続トップ、3位に急浮上したのは大和アセットマネジメント/ゆうちょ銀行・郵便局編
10年国債利回り2%接近でみずほ銀行の売れ筋に単位型ファンド、利回りニーズをとらえた人気ファンドとは?
「遵守か説明か」から「遵守か合併か」に――2026年の地銀政策はどこへ?金融審「地域金融力WG報告書案」を深読み
ランキングをもっと見る
finasee Pro(フィナシープロ) | 法人契約プランのご案内
  • 著者・識者一覧
  • 本サイトについて
  • 個人情報の取扱いについて
  • 当社ウェブサイトのご利用にあたって
  • 運営会社
  • 個人情報保護方針
  • アクセスデータの取扱い
  • 特定商取引に関する法律に基づく表示
  • お問い合わせ
  • 資料請求
© 2025 finasee Pro
有料会員限定機能です
有料会員登録はこちら
会員登録がお済みの方ログイン
有料プランの詳細はこちら