「確実に儲かるという投資を紹介され、リスクがないなら安全だと思って始めた。〇か×か。どちらだと思いますか?」
10月18日に、茨城県立水戸第一高等学校で行われた金融講座での一幕だ。本講座では、常陽銀行 リスク統括部の中島 伸彰氏と常陽産業研究所 チーフエコノミスト 兼 常陽銀行 営業企画部(金融教育担当)尾家 啓之氏が講師に立った。
7月29日に「茨城県内における金融教育のさらなる充実を通じて、地域経済を担う青少年の育成ならびに地域の持続的な成長の実現に寄与する」ことを目的に、「茨城県教育委員会と県内5金融機関による金融教育にかかる包括連携協定」が締結された。この協定には、茨城県教育委員会と、常陽銀行、筑波銀行、水戸信用金庫、結城信用金庫、茨城県信用組合の5金融機関が参加し、それぞれが手を結びながら県内の子どもたちの金融リテラシー向上に尽力する。
今回の水戸第一高等学校での金融講座は、協定締結後初めての取り組み。常陽銀行が講師を務める形で実現した。
高校生が「自分事」と捉える「金融犯罪」の知識と
将来をイメージできる「資産形成」の基本を伝授
講座の内容は第一部が「金融犯罪について」。昨今社会的な問題にもなっている「闇バイト」や「SNSを悪用した詐欺」「特殊詐欺」など、若者が陥りやすい金融犯罪を軸に、その危険性や詐欺の見分け方、犯罪に巻き込まれないためのポイントや関わってしまった場合のリスクなどについて、中島氏が解説。実際に関わってしまった若者の声なども交えるなど、受講している生徒にとって自分事となるような講義内容となっていた。
第二部は「資産形成のリターンとリスク(投資とギャンブルの違い)」。日銀出身の尾家氏が講師に立ち、「利子と金利について」「単利と複利」などに始まり、「預金と投資」についてや「さまざまな資産の年間の値動き」などを分かりやすく解説した。
高校生にとっては初めて耳にする単語も多かったと思うが、その後の質疑応答で「中学時代に学校の先生から授業で投資の話があり、若いころから運用した方が良いと言われたがそれは本当か」「今は情報が多いが、本当に信頼できる情報はどこからとればよいのか」など、すでに一定の知識を持っていたり、真剣に講義を聞いて吸収し、自身のこれからにいかそうとする姿が見られた。
講座終了後に生徒2人に話を聞くと、2人とも
「投資に興味があって、情報収集や勉強を始めていた」
「両親と投資について話す機会があり、興味を持っていた」
と言うから驚いた。
身近な話題として、闇バイトなどの「金融犯罪」は自分事として捉えながら、自己防衛のためにすでに自身でも対策しているということも話してくれた。
資産運用については、講義の内容が「初めて聞く言葉もあり、100%理解できたわけではない」と言いつつも、
「投資信託や株式など、言葉としては知っていても詳しくは分かっていなかった。ローリスク・ローリターン、ハイリスク・ハイリターンなど、知らなかったことを知ることができ、興味深かった」
「中学時代に株のシミュレーションをしたことがあったが、その時は大損をした。今回さまざまな資産の想定値動きなどをグラフで見ることができ、将来どのような投資をすればよいのかイメージできた気がする」
など、より関心を持つ機会となったようだ。
現在高校1年生の2人は、現時点では自分で収入を得てはいないのですぐに投資…とはならないが、近い将来大学生になりアルバイトをするようになったら始めてみたい、と話してくれた。
現代の高校生は、時代や環境の変化に加え、金融教育という機会を得て、資産運用に対する知識を深めている。今回の常陽銀行を含む茨城県での金融教育の取り組みが、これから社会に出ていく子どもたちにとって有意義なものになることは間違いないだろう。
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