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シリーズ「人的資本経営」実現に向けたファースト・ステップ
第3回  「人的資本経営」の実現に向けて

finasee Pro 編集部
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2023.05.31
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シリーズ「人的資本経営」実現に向けたファースト・ステップ<br />第3回  「人的資本経営」の実現に向けて

2023年3月期決算から義務化された「人的資本の情報開示」では、企業が保有する人材を資本とみなし、人的投資や人材戦略と経営戦略を統合した上で、投資家やマーケットに開示することを求めている。
今回の義務化に際しては、開示に向けたガイドラインや開示すべき項目等が公開されている一方で、バックボーンとなる「人的資本と経営戦略をいかに結びつけ企業価値向上につなげるか」、つまり「人的資本経営をどう進めるか」についてのヒントが少ない点が経営者の頭を悩ませている。
本シリーズでは、グローバルで組織・人事コンサルティングを手掛けるマーサージャパンの協力のもと、金融機関の人的資本経営実現に向けたさまざまな視点やアイデアを紹介していく。

――第3回は、人的資本経営をどのように進めていけばよいのかについて詳しく伺います。まずは「人的資本経営」に何が求められているのか、改めて整理をお願いします。

白井 これまでの繰り返しになりますが、人的資本経営に本質的に求められているのは、自分たちがやりたいのはどんなことで、実現するにはどんな人的資本が必要なのか、ということです。これが「ワークフォースプラン(要員計画)」の中核にもなります。次に、雇用の流動性をどのように高めていくかという観点があり、現時点でどこまでできるかは別として、テーマとしては①中途採用の強化、②健全なアウトプレースメント、③キャリア自律の促進などがあります。

阿久津 これは人材版伊藤レポートをリードされている伊藤邦雄先生もたびたび指摘されていることですが、政府の「人材資本可視化指針」の中でも経営方針と人的資本への投資や人材戦略との関係性(統合的なストーリー)を構築してください、と最初に言及されています。結局のところ人的資本経営の一丁目一番地はここです。

その上で、強いて言えば、第2回でも述べた通り人事部門が人材マネジメントのボールを中央集権的に持ち続けると、人的資本経営の実現は難しくなるでしょう。本社やホールディングスが持つべきボールと各事業部門が持つべきボールは本来かなり違っていて、特に複数事業を展開する企業やホールディングス、コングロマリットであるほど、この違いは大きくなっていきます。全社の人事部門がボールを過度に持つ限り、事業部門は地に足の付いた人材戦略は取りにくいと思います。

――第3回は、人的資本経営をどのように進めていけばよいのかについて詳しく伺います。まずは「人的資本経営」に何が求められているのか、改めて整理をお願いします。

白井 これまでの繰り返しになりますが、人的資本経営に本質的に求められているのは、自分たちがやりたいのはどんなことで、実現するにはどんな人的資本が必要なのか、ということです。これが「ワークフォースプラン(要員計画)」の中核にもなります。次に、雇用の流動性をどのように高めていくかという観点があり、現時点でどこまでできるかは別として、テーマとしては①中途採用の強化、②健全なアウトプレースメント、③キャリア自律の促進などがあります。

阿久津 これは人材版伊藤レポートをリードされている伊藤邦雄先生もたびたび指摘されていることですが、政府の「人材資本可視化指針」の中でも経営方針と人的資本への投資や人材戦略との関係性(統合的なストーリー)を構築してください、と最初に言及されています。結局のところ人的資本経営の一丁目一番地はここです。

その上で、強いて言えば、第2回でも述べた通り人事部門が人材マネジメントのボールを中央集権的に持ち続けると、人的資本経営の実現は難しくなるでしょう。本社やホールディングスが持つべきボールと各事業部門が持つべきボールは本来かなり違っていて、特に複数事業を展開する企業やホールディングス、コングロマリットであるほど、この違いは大きくなっていきます。全社の人事部門がボールを過度に持つ限り、事業部門は地に足の付いた人材戦略は取りにくいと思います。

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川辺 和将

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finasee Pro 編集部
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