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シリーズ「人的資本経営」実現に向けたファースト・ステップ
第1回 日本企業の「人的資本経営」を阻む課題

finasee Pro 編集部
finasee Pro 編集部
2023.05.11
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シリーズ「人的資本経営」実現に向けたファースト・ステップ<br />第1回 日本企業の「人的資本経営」を阻む課題

2023年3月期決算から義務化された「人的資本の情報開示」では、企業が保有する人材を資本とみなし、人的投資や人材戦略と経営戦略を統合した上で、投資家やマーケットに開示することを求めている。
今回の義務化に際しては、開示に向けたガイドラインや開示すべき項目等が公開されている一方で、バックボーンとなる「人的資本と経営戦略をいかに結びつけ企業価値向上につなげるか」、つまり「人的資本経営をどう進めるか」についてのヒントが少ない点が経営者の頭を悩ませている。
本シリーズでは、グローバルで組織・人事コンサルティングを手掛けるマーサージャパンの協力のもと、金融機関の人的資本経営実現に向けたさまざまな視点やアイデアを紹介していく。

マーサージャパン 取締役執行役員 組織・人事変革部門 日本代表 パートナー 白井正人氏(左)
組織・人事変革コンサルティング部門 シニアマネージャー 阿久津純一氏(右)

――人的資本経営の話に入る前に、そもそも「人的資本」とはどういったものなのでしょうか。

白井 諸説あるものの、基本となる考え方は「人」そのものであり、現実的には個人に内在する知識・スキル・能力、加えて仕事へのモチベーションや組織に対するエンゲージメントの強さなどメンタルの要素も包んだ「組織に貢献していく力」が、人的資本として定義づけられると考えています。

阿久津 海外では人的資本、いわゆる「ヒューマンキャピタル」という概念は、ノーベル賞経済学者のゲーリー・ベッカー氏の提唱などを契機に、1960年代から使われています。ヒューマンキャピタルの考え方としては、個人に内在する要素をKnowledge(知識)、Skill(技術)、Abilities(能力)、Other characteristics(その他の特性)の4つとみて、頭文字をとったKSAOsと要約されることが多いです。

さらに近年ではKSAOsを「個人」と「組織」の軸で議論する動きも出てきました。当初は個人のKSAOsが注目されていましたが、近年は「組織」の人的資本が重要ではないかという議論もあります。

マーサージャパン 取締役執行役員 組織・人事変革部門 日本代表 パートナー 白井正人氏(左)
組織・人事変革コンサルティング部門 シニアマネージャー 阿久津純一氏(右)

――人的資本経営の話に入る前に、そもそも「人的資本」とはどういったものなのでしょうか。

白井 諸説あるものの、基本となる考え方は「人」そのものであり、現実的には個人に内在する知識・スキル・能力、加えて仕事へのモチベーションや組織に対するエンゲージメントの強さなどメンタルの要素も包んだ「組織に貢献していく力」が、人的資本として定義づけられると考えています。

阿久津 海外では人的資本、いわゆる「ヒューマンキャピタル」という概念は、ノーベル賞経済学者のゲーリー・ベッカー氏の提唱などを契機に、1960年代から使われています。ヒューマンキャピタルの考え方としては、個人に内在する要素をKnowledge(知識)、Skill(技術)、Abilities(能力)、Other characteristics(その他の特性)の4つとみて、頭文字をとったKSAOsと要約されることが多いです。

さらに近年ではKSAOsを「個人」と「組織」の軸で議論する動きも出てきました。当初は個人のKSAOsが注目されていましたが、近年は「組織」の人的資本が重要ではないかという議論もあります。

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