<前編のあらすじ>
教師の由美が担当するクラスの焼きそば屋台は予想以上の盛況となった。食材や割り箸が足りなくなり、生徒たちは買い出しや、調理などを臨機応変に分担。由美も注文取りや備品補充に追われながら、何とか販売を続けた。
片づけを始めたところで、会計担当の中村が売上金を入れた黒いポーチがなくなっていることに気づく。忙しい時間帯にいろんな人物の手に渡っており、最後に誰が持っていたのか分からない状態だった。焦った生徒たちは互いに責任を押しつけ始め、中村は泣き出してしまう。
由美は「今、誰かを責めてもポーチは出てこない」と制止し、クラス総出で捜索するよう指示。しかしポーチは見つからず、由美は生徒たちを帰宅させ、自ら対応する覚悟を決める。
●前編【「は? なんで逆ギレしてんの?」文化祭の売上金が消えた…クラスを一変させた“責任の押しつけ合い”】
手掛かりのない売上金紛失
職員室へ戻った途端、由美はどっと疲れを感じた。
朝からほとんど座る暇もなく動き回っていたのだから当然だった。それでも、まだ休むわけにはいかない。自分の席に着くと、生徒たちから聞いた話を思い出しながら、売上金を最後に確認できた時間帯やポーチが渡った順番を書き出していった。
「うーん……これだけじゃどうにもねえ……」
中村から佐藤へ、そのあと田中、山本たちへ。そこから先は曖昧なままだ。
おおよその売上額も書き添えたところで、由美はペンを止めた。クラス全員で、あれだけ探しても見つからなかったのだ。黒いポーチは、誰かが移動させたと考えていいだろう。もしも盗まれたのだとしたら、発見は絶望的だ。
「岡田先生、ちょっといいですか」
顔を上げると、学年主任が高齢の男性を連れて職員室へ入ってきた。男性は困ったような顔をしながら、手にしていた黒い物を差し出した。
