finasee Pro(フィナシープロ)
新規登録
ログイン
新着 人気 特集・連載 リテール&ウェルス 有価証券運用 金融機関経営 ビジネス動画 サーベイレポート

「AIだけではない」、2026年の市場を左右するメガトレンドとは? 指数プロバイダーに聞く地政学、プライベートクレジットの新局面

finasee Pro 編集部
finasee Pro 編集部
2026.02.26
会員限定
「AIだけではない」、2026年の市場を左右するメガトレンドとは? 指数プロバイダーに聞く地政学、プライベートクレジットの新局面

2025年4月の米国関税措置が広げた混乱の収束への期待感とは裏腹に、年明け以降、地政学的な不確実性がいっそう高まっている。AI関連銘柄が米国市場、世界市場の成長を支える中、バブルを指摘する声もくすぶり続ける。激動の時代にどう立ち向かえばよいのか。国内の個人投資家の間で知名度を高めている株式指数「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)」などを算出する世界的な指数プロバイダー、MSCIのチーフ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・オフィサーであるアシュリー・レスター氏に考えを聞いた。

従来の“安定的な枠組み”に変化

――2025年から2026年の始めにかけ、世界市場の状況は複雑さを増しています。個人投資家は足元の変化をどのように理解すればよいのでしょうか。

まずMSCIは投資のアドバイザーではなく、私たちの見解は、私たちが気づいた事実と市場参加者の認識に焦点を当ててお伝えします。その観点から言えば、2025年に続き2026年の市場にも強大な影響力を及ぼしうるテーマとして、地政学上の役割、AI、そしてプライベートクレジットの重要性の高まり――この3つを挙げることができるでしょう。

まず地政学に関しては、2025年は単なる情勢の変動ではなく、構造的枠組みそのものが変わってきたと言えます。

これまで市場参加者は政治的な取り決めが安定的に守られる世界に順応しきっていました。しかし現在では、非常に急速かつ構造的な政策シフトが起こる可能性を常に気にかける必要があります。

地政学的な構造変化が市場に与えた影響の一例が欧州の防衛セクターで2025年に見受けられた突出して高いパフォーマンスです。背景には、北大西洋条約機構(NATO)の役割に関する認識の変化があります。欧州各国政府は防衛費を増額し、結果として欧州企業への資本流入が増加しました。

もちろん、その影響範囲は特定のセクターに限りません。無視できないもう一つのトレンドとして、米ドルおよび米国株式のパフォーマンスの相対的な低さが挙げられます。2025年4月の(米トランプ大統領が大規模関税措置を打ち出した)「解放の日」以降、相対的に新興国株式のパフォーマンスが向上する状況は、グローバル投資における最適な資産配分や米国資産へのエクスポージャーの程度に関する投資家の姿勢が問われる局面でした。

AIバブルか否か、2026年が試金石となる可能性

――2025年から続く株高基調について、AI産業への行きすぎた成長期待が生み出したバブルではないかと懸念する声もあります。

「AI分野に投資をするのであれば米国株式を持たざるを得ない」という事情が、2025年後半にかけて米国株式市場が持ち直した際の強力なドライバーになったことは明らかです。AI関連企業のバリュエーションが他の企業と比較して割高であるというのは事実でしょう。とはいえ、成長見通しが強い企業に対し、市場がより高い対価を支払うのは一般的には当然とも言えます。

AI分野がバブルの状況にあるかを見極める材料となる多くの情報は、2026年以降に明らかになっていくと考えられます。これまで、AI向けクラウドサービスへの支出の相当部分はAI企業自身によるものでした。この事実は、AIをバブルだと捉える人々にとって、「AI企業は成長しているのではなく、互いに養い合っているだけではないか」と考える根拠となっています。AI企業以外によるクラウドやAIサービスへの需要が拡大する程度やそのスピードこそが、バブルか否かを見分ける重要なポイントとなるでしょう。

――AIの成長を支えるデータセンターやインフラ関連への投資が活発化している状況については、どのように見ていますか。

私たちが手掛ける指標を基に分析すると、クリーンエネルギー関連株は2025年の1年間で30%以上上昇した一方、石油・ガスは約10%の上昇にとどまっています。これは、AI導入に伴う電力需要の増加分を、限界的にはクリーンエネルギーが担うとの市場予想を反映しています。

 
MSCIチーフ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・オフィサー アシュリー・レスター氏
 

プライベートクレジットの注目点とリスク

――AIは引き続き2026年も主要なテーマですが、プライベートクレジット市場との関連性はあるのでしょうか。

プライベートクレジットがアセットクラスとして成長を続けていることは、AIという領域への市場の成長期待と密接に関係していると見られます。例えば米国でのデータセンターの成長は保険会社が投資するプライベートクレジットによって支えられています。

ただし今年、金利が再び上昇することになれば、プライベートクレジットに関しては信用力の面でストレスが生じるかもしれません。留意すべきは、多額の債務を抱えた政府が自らの運営資金を賄うために金融政策をコントロールしようとし始めるフィスカル・ドミナンスの問題です。米連邦準備制度理事会(FRB)の独立性が試される状況が続くようであれば、例えば米国の長期金利に大きな変化をもたらし、経済サイクルと、より広範な金融市場の両方に深刻な問題を引き起こす可能性があります。

中長期的な目線と分散の意義

――そのような環境下において日本の個人投資家は幅広い視野を持つ必要がありそうです。

個人投資家にとって、市場のスピードを捉える上では「戦略的な時間感覚」と「戦術的な時間感覚」の二つが重要だと考えています。

昨今のように変化の速い時代状況において、個人投資家が損をしたり、他の誰もがパニックに陥っている時に売却のタイミングを逃したり、その後の反発を逃したりするのは非常に容易です。個人投資家にとっての第一のメッセージは「戦略的であり続け、自分の計画を堅持すること」です。

その上で、個人投資家がより戦術的なアプローチを取りたいのであれば、まさに今日取り上げたトレンドを念頭に置くことが大切でしょう。時価総額ベースで世界の株式の約3分の2が米国に集中しています。したがって、グローバル株式に投資する投資家は、自身のエクスポージャーが米国に集中している度合いを認識し、欧州やアジア太平洋地域を含む各地域の相対的な魅力を検討する必要があります。

続きを読むには…
この記事は会員限定です
会員登録がお済みの方ログイン
ご登録いただくと、オリジナルコンテンツを無料でご覧いただけます。
投資信託販売会社様(無料)はこちら
上記以外の企業様(有料)はこちら
※会員登録は、金融業界(銀行、証券、信金、IFA法人、保険代理店)にお勤めの方を対象にしております。
法人会員とは別に、個人で登録する読者モニター会員を募集しています。 読者モニター会員の登録はこちら
※投資信託の販売に携わる会社にお勤めの方に限定しております。
モニター会員は、投資信託の販売に携わる企業にお勤めで、以下にご協力いただける方を対象としております。
・モニター向けアンケートへの回答
・運用会社ブランドインテグレーション評価調査の回答
・その他各種アンケートへの回答協力
1

関連キーワード

  • #ESG・SDGs
  • #マーケット情報
  • #プライベートアセット

おすすめの記事

広島銀行の売れ筋2トップの「ポラリス」と「世界経済インデックス」に変調、数十年ぶりの高金利で株高にも暗雲

finasee Pro 編集部

前金融庁企画市場局長の油布氏が日証協常任理事に、「治療終盤」の日比野会長は続投へ

川辺 和将

NISAの次に問われる本丸--企業型DC・iDeCo、個人向け国債、そして資産形成助言の再設計

文月つむぎ

SBI証券の売れ筋で「WCM」がランクイン、「FANG+」を押しのけて高い順位に進んだ理由は?

finasee Pro 編集部

浜銀TT証券の売れ筋トップ10 は焦点なき混沌、トップが「ゴールド」で債券ファンドもランクイン

finasee Pro 編集部

著者情報

finasee Pro 編集部
ふぃなしーぷろへんしゅうぶ
「Finasee」の姉妹メディア「Finasee PRO」は、銀行や証券会社といった金融機関でリテールビジネスに携わるプロフェッショナルに向けたオンライン・コミュニティメディアです。金融行政をめぐる最新動向をはじめ、金融機関のプロフェッショナルにとって役立つ多様なコンテンツを日々配信。投資家の皆さんにも有益な記事を選りすぐり、「Finasee」にも配信中です。
続きを読む
この著者の記事一覧はこちら

アクセスランキング

24時間
週間
月間
NISAの次に問われる本丸--企業型DC・iDeCo、個人向け国債、そして資産形成助言の再設計
広島銀行の売れ筋2トップの「ポラリス」と「世界経済インデックス」に変調、数十年ぶりの高金利で株高にも暗雲
前金融庁企画市場局長の油布氏が日証協常任理事に、「治療終盤」の日比野会長は続投へ
SBI証券の売れ筋で「WCM」がランクイン、「FANG+」を押しのけて高い順位に進んだ理由は?
「支店長! 研修は受けたのですが、投信をセールスできる気がしません。慣れるしかないのでしょうか?」
データが映すインデックス時代のアクティブ再考ーー「安さ」だけでは、人は持ち続けない
浜銀TT証券の売れ筋トップ10 は焦点なき混沌、トップが「ゴールド」で債券ファンドもランクイン
三井住友銀行で新ファンド「フューチャーガイド」がトップ、「世界のベスト」も根強い人気
こどもNISAと「NISA貧乏」――「投資枠」ではなく「初動率」をいかに上げるか
「支店長! 正直なところ顧客本位と顧客満足の違いが分かりません」
「支店長! 研修は受けたのですが、投信をセールスできる気がしません。慣れるしかないのでしょうか?」
三井住友銀行で新ファンド「フューチャーガイド」がトップ、「世界のベスト」も根強い人気
浜銀TT証券の売れ筋トップ10 は焦点なき混沌、トップが「ゴールド」で債券ファンドもランクイン
みずほ銀行の販売額上位に「インフレガード&オポチュニティ」がランクイン、インフレに負けない運用への強い期待
SBI証券の売れ筋で「WCM」がランクイン、「FANG+」を押しのけて高い順位に進んだ理由は?
さりげないにも程がある!見落としがちな最近の金融庁重要資料3選
“インプリンティング効果”とこどもNISA--ヒナは最初に見たものを親と思い、ヒトは最初の販社と一生付き合う?

三菱UFJ銀行の売れ筋で長期コアの「MUFGウェルス・インサイト・ファンド」が浮上、好成績ファンドに「利益確定」売りも
資金流入額ランキング上位に4月の新設ファンドが2本、「ノムラ・エマージング」と「MS フィジカルAI」 =資金流入額上位20ファンド
SMBC日興証券の売れ筋で人気化する「革命」3ファンド、SpaceXやByteDanceなど未上場株に投資するファンドも浮上
【金融風土記】地元愛「日本一」、愛知の金融動向を深掘りする
解約高止まりのプルデンシャル生命が打ち出した「構造改革」の3つの注目点
さりげないにも程がある!見落としがちな最近の金融庁重要資料3選
「支店長は投信販売の経験がありませんよね? 契約を取れと簡単に言わないでください!」
“インプリンティング効果”とこどもNISA--ヒナは最初に見たものを親と思い、ヒトは最初の販社と一生付き合う?

「支店長! 研修は受けたのですが、投信をセールスできる気がしません。慣れるしかないのでしょうか?」
資金流入額ランキング上位に4月の新設ファンドが2本、「ノムラ・エマージング」と「MS フィジカルAI」 =資金流入額上位20ファンド
三井住友銀行で新ファンド「フューチャーガイド」がトップ、「世界のベスト」も根強い人気
こどもNISAと「NISA貧乏」――「投資枠」ではなく「初動率」をいかに上げるか
【連載】藤原延介のアセマネインサイト㉛
1-3月に過去最高の資金流入! 背景にある日本株と金(ゴールド)への強気スタンス
ランキングをもっと見る
finasee Pro(フィナシープロ) | 法人契約プランのご案内
  • 著者・識者一覧
  • 本サイトについて
  • 個人情報の取扱いについて
  • 当社ウェブサイトのご利用にあたって
  • 運営会社
  • 個人情報保護方針
  • アクセスデータの取扱い
  • 特定商取引に関する法律に基づく表示
  • お問い合わせ
  • 資料請求
© 2026 finasee Pro
有料会員限定機能です
有料会員登録はこちら
会員登録がお済みの方ログイン
有料プランの詳細はこちら