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金融緩和、インフレ、インバウンドで日本の近代美術作品に熱視線?――アート市場の最新動向を銀座画廊界キーパーソンに聞いた

川辺 和将
川辺 和将
金融ジャーナリスト
2025.11.15
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金融緩和、インフレ、インバウンドで日本の近代美術作品に熱視線?――アート市場の最新動向を銀座画廊界キーパーソンに聞いた

一見すると縁遠いようで切っても切れない関係にある、アートとお金――物価上昇や金利変動など経済状況が変化する中、美術作品は鑑賞の対象としてだけでなく資産保全、投資の手段として、その立ち位置を変えてきているようです。長年にわたり作品の取引に関わり市場の変化を見つづけてきた、銀座の老舗画廊「ぎゃらりい秋華洞」の田中千秋社長(全国美術商連合会理事)に、市場の動向やアートを資産として捉える上での基本的な考え方、そして作品売買をめぐる税制の現状と課題について話を聞きました。

――まず、最近の市場の動向について教えてください。

アート市場の動きは、経済状況や中央銀行の金融政策から大きな影響を受けます。たとえば金融緩和で市場にお金が余ると、物価上昇で価値が目減りするため、現物で持っていることが資産保全につながるという発想で、不動産ほどではなくともその何%かはアート市場に流れこむことになります。

加えて近年、日本国内の著名な実業家が相当規模の現代アート作品を購入して注目を集めたことで、誰でもある程度の資産を持つとアートを保有することが当たり前といった認識が確実に定着してきたと感じています。自身の会社で売上高が億単位になると、人生の過程として「そろそろアートにも関心を持つべきだ」といった意識を、投資的な意味でも教養的な意味でも抱くようになってきているようです。文化庁が今年公表したレポートで946億円とされる日本のアートの市場規模は、今後いっそう拡大していくと見ています。

 

――資産保全や投資の手段として、アート作品はどのような性質があるのでしょうか。

前提として、作品が取引される際の価格は変動していくものですが、私自身は精神を豊かにする力、すなわちアートの持つ「真の価値」は、決して変わることがないと思っています。

その上で、資産価値の変動という意味ではアートも株式と同様に、短期的、中期的、長期的な動きがあります。

――まず、最近の市場の動向について教えてください。

アート市場の動きは、経済状況や中央銀行の金融政策から大きな影響を受けます。たとえば金融緩和で市場にお金が余ると、物価上昇で価値が目減りするため、現物で持っていることが資産保全につながるという発想で、不動産ほどではなくともその何%かはアート市場に流れこむことになります。

加えて近年、日本国内の著名な実業家が相当規模の現代アート作品を購入して注目を集めたことで、誰でもある程度の資産を持つとアートを保有することが当たり前といった認識が確実に定着してきたと感じています。自身の会社で売上高が億単位になると、人生の過程として「そろそろアートにも関心を持つべきだ」といった意識を、投資的な意味でも教養的な意味でも抱くようになってきているようです。文化庁が今年公表したレポートで946億円とされる日本のアートの市場規模は、今後いっそう拡大していくと見ています。

 

――資産保全や投資の手段として、アート作品はどのような性質があるのでしょうか。

前提として、作品が取引される際の価格は変動していくものですが、私自身は精神を豊かにする力、すなわちアートの持つ「真の価値」は、決して変わることがないと思っています。

その上で、資産価値の変動という意味ではアートも株式と同様に、短期的、中期的、長期的な動きがあります。

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著者情報

川辺 和将
かわべ かずまさ
金融ジャーナリスト
金融ジャーナリスト、「霞が関文学」評論家。毎日新聞社に入社後、長野支局で警察、経済、政治取材を、東京本社政治部で首相官邸番を担当。金融専門誌の当局取材担当を経て2022年1月に独立し、主に金融業界の「顧客本位」定着に向けた政策動向を追いつつ官民双方の取材を続けている。株式会社ブルーベル代表。東京大院(比較文学比較文化研究室)修了。
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