finasee Pro(フィナシープロ)
新規登録
ログイン
新着 人気 特集・連載 リテール&ウェルス 有価証券運用 金融機関経営 ビジネス動画 サーベイレポート

老後向け資産形成市場の成長に期待  ~日本にも世界にも良い影響を~
ICI(米国投資会社協会)エリック・パン最高経営責任者インタビュー

finasee Pro 編集部
finasee Pro 編集部
2024.12.23
会員限定
老後向け資産形成市場の成長に期待  ~日本にも世界にも良い影響を~<br />ICI(米国投資会社協会)エリック・パン最高経営責任者インタビュー

米国でミューチュアル・ファンド(オープンエンド型集団投信)が生まれてから、今年で100周年を迎える。長期投資家の活動を支援する世界的な資産運用業界団体、米国投資会社協会(ICI)のエリック・パン最高経営責任者に、来年1月に発足する米トランプ新政権が市場にもたらす影響や、日本のDC改革のあるべき方向性などについて聞いた。

――米大統領選で共和党のトランプ候補が勝利し、再びホワイトハウスへ返り咲きます。

トランプ氏が再任されても金融サービス業界に新たな規制が追加されることはなく、経済成長促進と金融サービス・商品の利用拡大に重点を置いた政策がすすめられる可能性が高いと考えています。第1次トランプ政権では、一般の個人投資家に新たな投資機会を提供することを重要視していました。第2次政権でも、仮想通貨やプライベートアセットといったオルタナティブ資産へのアクセスを容易にし、一般の投資家による投資が活発になれば、米国の経済成長を後押しすることになるでしょう。

同時に、トランプ氏が提案した一連の減税政策は、すでに拡大している連邦政府の予算赤字に影響を及ぼし、米国債市場に圧力をかける可能性もあります。

――米国でミューチュアルファンド(オープンエンド型投信)が1924年に誕生してから100年を迎えました。

ミューチュアルファンドは少額の資金で分散投資ができ、その運用を専門家に任せることができるため、「金融の民主化」の推進役となりました。いまや米国の中間層の資産形成、たとえば教育費やマイホーム購入、退職後の資金準備に欠かせません。米国経済が過去100年で大成長を遂げてきたのも、ミューチュアルファンドという形で個人投資家の資金が市場を通じて企業に流入し、資金調達コストが低く押さえられた側面があることは見逃せません。

――日本では2024年1月から新NISAがスタートし、また足元では確定拠出年金(DC)にまつわる制度の改革に向けた議論も進んでいます。期待することは。

確定給付型年金(DB)からDCへのシフトは、米国に限らず世界的にみられる傾向です。世界経済の変化に応じて産業の動向も変化するなか、同じ企業に一生勤め続ける選択が現実的でなくなっている以上、よりフレキシブルなDCプランへの移行は必然の流れといえます。制度の拡充とともに、その制度を有効に活用していただけるように啓発する必要も生じます。日本もDCプランを発展させる方向へと歩みを進めるのであれば、同時に資産形成層に対する金融教育の充実も欠かせません。

――日本は米国と異なり、公的年金への依存度が大きい点をどう考えますか。

欧州でも公的年金が依然として支配的であり、その結果、公的年金が退職後の主要な収入源となっており、個人が投資活動に踏み切る制約となっています。欧州の政策立案者は、個人による自発的な貯蓄を促るための改革を含め、経済成長を加速する方法について積極的に議論しています。しかし、規制の複雑さや意思決定の遅さが改革を妨げています。一部の人々は、欧州が公的年金に依存しすぎており、私的年金制度があまり活発でないことが、資本市場の弱さにつながり、それが過去15年間の米国との経済成長の差を生んだと指摘しています。

日本は、欧州が歩んできた道をたどるべきではありません。日本の家庭がより確かで豊かな未来を確保するためには、個人がより多くの責任を持って退職後の資産形成を行うシステムに移行することが重要です。運用商品についても、元本確保型商品で安心だけを得られるようにするだけでは不十分です。日本政府は、株式投資を促進する投資機会を提供し、個人が株式のリターンを享受できるようにすべきです。この変革は不可欠であり、それ以外に道が開けるとも考えにくいのです。岸田文雄前内閣は新NISAを実現させましたが、石破茂政権でもDC改革などを通じて投資促進に向けた取り組みが引き続き前進することを強く期待します。

――米大統領選で共和党のトランプ候補が勝利し、再びホワイトハウスへ返り咲きます。

トランプ氏が再任されても金融サービス業界に新たな規制が追加されることはなく、経済成長促進と金融サービス・商品の利用拡大に重点を置いた政策がすすめられる可能性が高いと考えています。第1次トランプ政権では、一般の個人投資家に新たな投資機会を提供することを重要視していました。第2次政権でも、仮想通貨やプライベートアセットといったオルタナティブ資産へのアクセスを容易にし、一般の投資家による投資が活発になれば、米国の経済成長を後押しすることになるでしょう。

続きを読むには…
この記事は会員限定です
会員登録がお済みの方ログイン
ご登録いただくと、オリジナルコンテンツを無料でご覧いただけます。
投資信託販売会社様(無料)はこちら
上記以外の企業様(有料)はこちら
※会員登録は、金融業界(銀行、証券、信金、IFA法人、保険代理店)にお勤めの方を対象にしております。
法人会員とは別に、個人で登録する読者モニター会員を募集しています。 読者モニター会員の登録はこちら
※投資信託の販売に携わる会社にお勤めの方に限定しております。
モニター会員は、投資信託の販売に携わる企業にお勤めで、以下にご協力いただける方を対象としております。
・モニター向けアンケートへの回答
・運用会社ブランドインテグレーション評価調査の回答
・その他各種アンケートへの回答協力
1

関連キーワード

  • #法律・制度

おすすめの記事

SBI証券で「ゴールドファンド」を上回る運用成績の株式ファンドがランクイン、高分配の「WCM」もランクアップ

finasee Pro 編集部

資産運用ビジネスの本気度が問われる時代へ、変わる監督行政と業界
7月に発足した金融庁「資産運用課」の課題は  永山玲奈課長に聞く

finasee Pro 編集部

【連載】藤原延介のアセマネインサイト㉔
過去最大となった個人マネーで広がる物価高対策

藤原 延介

【プロが解説】自然界から調達可能な次世代エネルギー技術「核融合発電」と、リサイクル技術に見る”ビジネスチャンス”とは

古川 輝之

運用成績で目を引く「宇宙」と「モノポリー」、ワイエム証券の売れ筋国内株ファンドでは「好配当株」が浮上

finasee Pro 編集部

著者情報

finasee Pro 編集部
ふぃなしーぷろへんしゅうぶ
「Finasee」の姉妹メディア「Finasee PRO」は、銀行や証券会社といった金融機関でリテールビジネスに携わるプロフェッショナルに向けたオンライン・コミュニティメディアです。金融行政をめぐる最新動向をはじめ、金融機関のプロフェッショナルにとって役立つ多様なコンテンツを日々配信。投資家の皆さんにも有益な記事を選りすぐり、「Finasee」にも配信中です。
続きを読む
この著者の記事一覧はこちら

アクセスランキング

24時間
週間
月間
SBI証券で「ゴールドファンド」を上回る運用成績の株式ファンドがランクイン、高分配の「WCM」もランクアップ
資産運用ビジネスの本気度が問われる時代へ、変わる監督行政と業界
7月に発足した金融庁「資産運用課」の課題は  永山玲奈課長に聞く
「満期保有宣言を行えば減損回避可能」という謎のロジック
日証協会長が財政規律のバランスに言及。業界が次期政権に求めるものはやっぱり…?
「支店長!融資が第一とおっしゃいますが、投信販売は重要ではないのでしょうか。担当する私たちの仕事が軽視されているように感じます」
佐々木城夛の「バタフライ・エフェクト」
第16回 米価高騰の実態は? 飲食・製造・不動産…多セクターに広がる負担
【連載】藤原延介のアセマネインサイト㉔
過去最大となった個人マネーで広がる物価高対策
第14回 運用資産に関わる常識を疑え!(その3)
債券は本当に低リスク資産?
⑨自社株評価の考え方②(税法)【動画つき】
ファンドモニタリングは、どの指標を参照すればいいか
(2)アクティブファンドのモニタリング① シャープレシオについて考える
資産運用ビジネスの本気度が問われる時代へ、変わる監督行政と業界
7月に発足した金融庁「資産運用課」の課題は  永山玲奈課長に聞く
八十二銀行で「セゾン・グローバルバランス」が4カ月連続トップ、ランクを落とした「好配当株投信」の行方は?
「外国人受け入れが年金問題を救う」は本当か? 厚生労働省が踏み込んだ”センシティブな議論”の中身とは
「支店長!融資が第一とおっしゃいますが、投信販売は重要ではないのでしょうか。担当する私たちの仕事が軽視されているように感じます」
【連載】藤原延介のアセマネインサイト㉔
過去最大となった個人マネーで広がる物価高対策
日証協会長が財政規律のバランスに言及。業界が次期政権に求めるものはやっぱり…?
第14回 運用資産に関わる常識を疑え!(その3)
債券は本当に低リスク資産?
ファンドモニタリングは、どの指標を参照すればいいか
(2)アクティブファンドのモニタリング① シャープレシオについて考える
佐々木城夛の「バタフライ・エフェクト」
第16回 米価高騰の実態は? 飲食・製造・不動産…多セクターに広がる負担
足利銀行の売れ筋にみる世界的な株式アクティブファンドを引き離す成績のファンドとは? 
金融庁「地域金融力」強調の狙いは地銀再編の再ブーストか?金融審WG初会合の注目点
「ゴールベース資産管理」の実践を通じストックビジネスへの転換を加速させていく case of 足利銀行
「支店長!融資が第一とおっしゃいますが、投信販売は重要ではないのでしょうか。担当する私たちの仕事が軽視されているように感じます」
佐々木城夛の「バタフライ・エフェクト」
第16回 米価高騰の実態は? 飲食・製造・不動産…多セクターに広がる負担
地域金融機関44行が参加 バランスシート経営の強化へ向けたコンソーシアムが始動
暗号資産の"金商法適用"が既定路線に!有識者からは「正気の沙汰か」「ギャンブルだ」と批判も…金融審WG第2回会合で何が起きたのか
資産運用ビジネスの本気度が問われる時代へ、変わる監督行政と業界
7月に発足した金融庁「資産運用課」の課題は  永山玲奈課長に聞く
【文月つむぎ】NISA拡充策の議論が本格化、押さえておきたい3つのポイント
【プロはこう見る!投資信託の動向】
2025年4月の株価急落は変化のトリガー、米国株式への強烈な資金フローの向かう先とは?
特別対談/みずほ証券 浜本吉郎代表取締役社長×楽天証券 楠雄治代表取締役社長
提携から3年、価値観の相違に衝突する場面も
顧客が心地よく使えるシームレスなサービスを
ランキングをもっと見る
finasee Pro(フィナシープロ) | 法人契約プランのご案内
  • 著者・識者一覧
  • 本サイトについて
  • 個人情報の取扱いについて
  • 当社ウェブサイトのご利用にあたって
  • 運営会社
  • 個人情報保護方針
  • アクセスデータの取扱い
  • 特定商取引に関する法律に基づく表示
  • お問い合わせ
  • 資料請求
© 2025 finasee Pro
有料会員限定機能です
有料会員登録はこちら
会員登録がお済みの方ログイン
有料プランの詳細はこちら