finasee Pro(フィナシープロ)
新規登録
ログイン
新着 人気 特集・連載 リテール&ウェルス 有価証券運用 金融機関経営 ビジネス動画 サーベイレポート

楽天証券・愛宕チーフエコノミストが解説 
まもなく始まる? 日銀のマイナス金利解除 踏み切るために残された「5つの課題」

オルイン編集部
オルイン編集部
2024.02.19
会員限定
楽天証券・愛宕チーフエコノミストが解説 <br />まもなく始まる? 日銀のマイナス金利解除 踏み切るために残された「5つの課題」

大胆な金融緩和から脱却する「金融政策正常化」に現実味が帯びてきた。日本銀行はこれまで経済全体への影響を懸念して慎重姿勢をとってきたが、足元の物価上昇や景気回復を受けて正常化への出口を本格的に模索し始めている。果たして正常化は実現するのか。日銀の動向や世界の経済状況を踏まえ、日本銀行在籍時には政策委員会審議委員スタッフも務めた楽天証券経済研究所の愛宕伸康チーフエコノミストが解説した。 ※本記事は2024年1月19日開催の「オルイン新春セミナーin名古屋」での基調講演「『巧遅は拙速に如かず』が示す日銀の宿痾~金融政策と政治、揺れ動く2024年を展望する~」の内容をもとに採録しました。

金融緩和の出口を模索中

日本銀行はいよいよマイナス金利解除を始めとする金融政策正常化を本格化させる見通しです。2023年11月ごろからマイナス金利解除を念頭においた情報発信を繰り返しており、「出口をいい結果につなげることは十分可能」(氷見野副総裁、12月6日)、「年末から来年にかけて一段とチャレンジングになる」(植田総裁、12月7日)と正常化に向かう可能性を正面から語っています。さらに12月の金融政策決定会合における主な意見では、一連の政策修正について「巧遅は拙速に如かず」、つまり「早急に着手すべき」という趣旨の記述があり、すでに正常化の具体的な出口を模索していることがうかがえます。

元日に発生した能登半島地震により今は政策修正に動けない状況ですが、私は3月か4月にも日銀はマイナス金利政策を解除すると見ています。そして、2~3年かけて長期金利は上昇していくでしょう。その際日銀は、1998年12月の「運用部ショック」や2003年6月の「VARショック」のような金利ショックが発生しないよう注意を払うと思います。

正常化の第1段階 YCC無効化はすでに完了

もっとも、すでに正常化は始まりつつあります。正常化には、➀長期金利を一定の水準に抑える「イールドカーブ・コントロール(YCC)」の無効化、②マイナス金利政策の解除、と大きく分けて2つのステップがありますが、➀YCCの無効化については昨年10月に実質的に完了しました。10年国債利回りの目標値0%からの変動幅を従来の「±0.5%」から「原則±1.0%」に引き上げ、実際のレートは上限を下回る0.6%程度で変動しながら推移しています。すでにYCCは形骸化し、マーケットメカニズムによってレート形成がなされていると言えます。

次のステップであるマイナス金利政策の解除は着手のタイミングが難しいですが、物価上昇や景気回復により条件は整いつつあります。例えば日銀短観の業況判断DIを見ると業種を問わず改善が目立ち、とりわけコロナ禍で深刻なダメージを受けていた宿泊・飲食サービスの回復は目覚ましいものがあります。小売売上高や自動車販売といった消費も着実に回復してきましたし、インバウンドもかつてのピーク近くまで復活しました。

金融緩和の出口を模索中

日本銀行はいよいよマイナス金利解除を始めとする金融政策正常化を本格化させる見通しです。2023年11月ごろからマイナス金利解除を念頭においた情報発信を繰り返しており、「出口をいい結果につなげることは十分可能」(氷見野副総裁、12月6日)、「年末から来年にかけて一段とチャレンジングになる」(植田総裁、12月7日)と正常化に向かう可能性を正面から語っています。さらに12月の金融政策決定会合における主な意見では、一連の政策修正について「巧遅は拙速に如かず」、つまり「早急に着手すべき」という趣旨の記述があり、すでに正常化の具体的な出口を模索していることがうかがえます。

続きを読むには…
この記事は会員限定です
会員登録がお済みの方ログイン
ご登録いただくと、オリジナルコンテンツを無料でご覧いただけます。
投資信託販売会社様(無料)はこちら
上記以外の企業様(有料)はこちら
※会員登録は、金融業界(銀行、証券、信金、IFA法人、保険代理店)にお勤めの方を対象にしております。
法人会員とは別に、個人で登録する読者モニター会員を募集しています。 読者モニター会員の登録はこちら
※投資信託の販売に携わる会社にお勤めの方に限定しております。
モニター会員は、投資信託の販売に携わる企業にお勤めで、以下にご協力いただける方を対象としております。
・モニター向けアンケートへの回答
・運用会社ブランドインテグレーション評価調査の回答
・その他各種アンケートへの回答協力
次のページ マイナス金利解除に踏み切るために超えるべき課題は…
1 2 3

関連キーワード

  • #金融政策

おすすめの記事

みずほ銀行でリスクテイクに慎重姿勢? 売れ筋トップは限定追加型の債券ファンド(為替ヘッジあり)

finasee Pro 編集部

「支店長! 高齢者にリスク性商品を販売することは顧客本位から外れませんか?」

森脇 ゆき

【地域金融力の現在地-後編】再開発に販路支援、山口FG、愛媛銀行の地域活性化策とは

川辺 和将

【地域金融力の現在地-前編】横浜銀行、ひろぎんの目指す地域金融力の形とは?

川辺 和将

【連載】こたえてください森脇さん
⑧ゴールベースアプローチを実践するための具体的な会話例は?

森脇 ゆき

著者情報

オルイン編集部
おるいんへんしゅうぶ
「オルイン」は、企業や金融機関で業務として資産運用に携わるプロフェッショナル向けの専門誌です。株式・債券といった伝統資産はもちろん、ヘッジファンドやプライベートエクイティ、不動産といったオルタナティブもカバーする、国内随一の年金・機関投資家向け「運用情報誌」として2006年に創刊。以来、日本の年金基金や金融法人、公益法人といった機関投資家の運用プロフェッショナルに対し、その時々のタイムリーな話題を客観的かつ独自の視点でわかりやすくお伝えしています。
続きを読む
この著者の記事一覧はこちら

アクセスランキング

24時間
週間
月間
「支店長! 高齢者にリスク性商品を販売することは顧客本位から外れませんか?」
みずほ銀行でリスクテイクに慎重姿勢? 売れ筋トップは限定追加型の債券ファンド(為替ヘッジあり)
【地域金融力の現在地-前編】横浜銀行、ひろぎんの目指す地域金融力の形とは?
【地域金融力の現在地-後編】再開発に販路支援、山口FG、愛媛銀行の地域活性化策とは
野村證券の売れ筋で首位に定着する「グロース・オポチュニティ・ファンド」、さらに「半導体」「ゴールド」も追い上げ
三菱UFJMS証券の売れ筋にランクインした新ファンドと「ゴールド」のインパクト
【連載】こたえてください森脇さん
⑧ゴールベースアプローチを実践するための具体的な会話例は?
資産運用ビジネスの本気度が問われる時代へ、変わる監督行政と業界
7月に発足した金融庁「資産運用課」の課題は  永山玲奈課長に聞く
「支店長!融資が第一とおっしゃいますが、投信販売は重要ではないのでしょうか。担当する私たちの仕事が軽視されているように感じます」
【文月つむぎ】日証協の「個人投資家意識調査」を熟読すべし 新規投資家層の早期失望に備えよ
【地域金融力の現在地-前編】横浜銀行、ひろぎんの目指す地域金融力の形とは?
【連載】こたえてください森脇さん
⑧ゴールベースアプローチを実践するための具体的な会話例は?
【地域金融力の現在地-後編】再開発に販路支援、山口FG、愛媛銀行の地域活性化策とは
「支店長! 高齢者にリスク性商品を販売することは顧客本位から外れませんか?」
資金流入額は5カ月ぶりに1兆円の大台回復、パフォーマンスは「暗号資産関連株」と「純金」=25年9月投信概況
資産運用ビジネスの本気度が問われる時代へ、変わる監督行政と業界
7月に発足した金融庁「資産運用課」の課題は  永山玲奈課長に聞く
【文月つむぎ】日証協の「個人投資家意識調査」を熟読すべし 新規投資家層の早期失望に備えよ
野村證券の売れ筋で首位に定着する「グロース・オポチュニティ・ファンド」、さらに「半導体」「ゴールド」も追い上げ
【文月つむぎ】発足はいつ?高市政権下での金融機関の役割
三菱UFJMS証券の売れ筋にランクインした新ファンドと「ゴールド」のインパクト
「支店長!融資が第一とおっしゃいますが、投信販売は重要ではないのでしょうか。担当する私たちの仕事が軽視されているように感じます」
資産運用ビジネスの本気度が問われる時代へ、変わる監督行政と業界
7月に発足した金融庁「資産運用課」の課題は  永山玲奈課長に聞く
佐々木城夛の「バタフライ・エフェクト」
第16回 米価高騰の実態は? 飲食・製造・不動産…多セクターに広がる負担
【地域金融力の現在地-前編】横浜銀行、ひろぎんの目指す地域金融力の形とは?
【文月つむぎ】日証協の「個人投資家意識調査」を熟読すべし 新規投資家層の早期失望に備えよ
【連載】こたえてください森脇さん
⑧ゴールベースアプローチを実践するための具体的な会話例は?
地銀協が合併促進策の強化を要望!「3分の1赤字」の高度化会社も規制緩和へ【金融審地域金融力WGレポート】
SBI証券で「ゴールドファンド」を上回る運用成績の株式ファンドがランクイン、高分配の「WCM」もランクアップ
【文月つむぎ】iDeCoがんばれ、NISAに負けるな! 
現状打破へ「7つの提言」
唐突感ある「地域金融力」の論点化、金融庁の狙いの"ウラのウラ"を探る【オフ座談会vol.8:かやば太郎×本石次郎×財研ナオコ】
ランキングをもっと見る
finasee Pro(フィナシープロ) | 法人契約プランのご案内
  • 著者・識者一覧
  • 本サイトについて
  • 個人情報の取扱いについて
  • 当社ウェブサイトのご利用にあたって
  • 運営会社
  • 個人情報保護方針
  • アクセスデータの取扱い
  • 特定商取引に関する法律に基づく表示
  • お問い合わせ
  • 資料請求
© 2025 finasee Pro
有料会員限定機能です
有料会員登録はこちら
会員登録がお済みの方ログイン
有料プランの詳細はこちら