株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、都内の喫茶店でコーヒーを飲みながら投資談義を行っています。

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T:ここ最近はゲームセンターやタクシー業界などがコロナ禍で大きな影響を受け、その後回復傾向を辿っている業界を見てきました。コロナ禍の発生から6年が経ち、各業界の動向も大きく変化していますね。

神様:今日お話しする航空機産業も、コロナ禍で大きな影響を受けた分野と言えるでしょう。現在、コロナ禍で落ち込んだ航空機の需要は順調に回復傾向となっています。国際航空運送協会(IATA)によれば、世界の航空需要がコロナ禍前の水準に回復したのは2024年2月。その後も拡大を続けています。

T:一方で、2024年と言えば米国ボーイング社の品質問題がありましたね。コロナ禍による航空機不足も話題となり、大きく報道されていたことを覚えています。

神様:おっしゃる通りです。ボーイング社では2010年代前半から品質問題が相次ぎ、加えて労働組合のストライキもあり混乱が生じました。しかし、最近は生産が正常化し、航空機も増産体制にシフトしています。問題解消に向かっていると言えるでしょう。

T:中東情勢の緊迫化はあるものの、アジアを中心に航空需要には勢いがあります。これは今後も期待できる業界ですね。

神様:日本国内の航空機産業にも注目しましょう。日本の航空機産業における2025年度の売上高も、前年度比で20%増となる2兆4,715億円に拡大しています。航空機業界は米ボーイングと仏エアバスの2社の完成機メーカーを頂点としますが、もちろん、完成機メーカーだけで業界が成り立っているわけではありません。実に300万点に及ぶ部品を多数のメーカーが分担する構造となっています。特に日本企業では、機体胴体、エンジン部品、内装品や素材分野で高い競争力を持つ世界的な企業が存在しています。企業数では1500社以上が関わっています。

 

T:2兆円を超える売上高で1500社以上。まさに巨大産業ですね。機体やエンジンなどは防衛とも密接に関わる重要技術ですし、素材の軽量化、部品の精密加工など、技術的に日本の強みを発揮できる分野が多数あります。政府の成長戦略にも位置付けられていますから、国としても世界的な需要の拡大に伴ってしっかりと力を入れていく必要がありますね。

神様:その通りです。Tさんは「MRO」をご存知ですか?MROとは、整備(Maintenance)、修理(Repair)、オーバーホール(Overhaul)の略です。航空機の整備や修理に関わる事業のことを指します。航空機が飛べば必ず整備や修理が発生します。MROを担う企業にとっては、航空機が多く飛ぶほど需要も多く発生することとなります。

T:なるほど。そう言った企業に着目するのもありですね。

神様:また、素材や部品などの分野においては、新しい開発へのチャレンジが欠かせません。ボーイング社のような完成機メーカーになることも重要ですが、今後は個々の企業が技術力の向上を果たせるかが大きなポイントとなるでしょう。

T:日本の企業が完成機メーカーになれなくとも、技術力を向上させることで完成機メーカーにとって欠かせない企業となることができるということですね。

神様:日本航空機開発協会によれば、2045年の世界のジェット旅客機運用機数は、2025年比で1.5倍の4万312機に達すると予測しています。一方で、二酸化炭素排出量への規制はより厳格化され、中東情勢の悪化に伴う燃料価格の高止まりも続くかもしれません。そうなると、環境性能に優れた新型機の需要が拡大することが見込まれます。

 

T:なるほど。確かにそうですね。

神様:かつて2005年から2014年にかけて、原油価格の高止まりやLCC参入の増加に伴い、世界的に航空機の納入が増加しました。今後はそれら機体の置き換え需要が顕在化すると見込まれています。経済産業省によれば、特に2030年代に導入が見込まれる次期航空機の納入機数は、2030年から10年間で約12,000機以上と見込まれています。各企業がこの需要にどのように対応していくのか、注目しましょう。

T:今後アジアを中心に人口がさらに増加していきますし、新規需要も発生しそうです。航空機産業の長期的な成長が期待される中で、日本の航空機産業が大きなチャンスをつかめるか、注目ですね。