finasee Pro(フィナシープロ)
新規登録
ログイン
新着 人気 特集・連載 リテール&ウェルス 有価証券運用 金融機関経営 ビジネス動画 サーベイレポート

日本国債市場で存在感増す海外投資家 発行体である財務省国債企画課は市場をどう見ているのか【後編】

finasee Pro 編集部
finasee Pro 編集部
2026.03.27
会員限定
日本国債市場で存在感増す海外投資家 発行体である財務省国債企画課は市場をどう見ているのか【後編】

2025年末から2026年の初めにかけて、日本国債の長期金利が急激に上昇し、話題になった。そんな国債の安定発行に向け、発行計画を策定するのが、財務省の理財局国債企画課だ。現在、個人向け国債の発行や海外投資家へのヒアリングなど、従来よりも幅広い投資家層への訴求を推進している。そんな同課がどのように日本国債市場を見ており、2026年度に国債を発行していくのか。同課の課長である佐野美波氏に話を聞いた。※取材は2月12日に実施。

 
財務省 理財局 国債企画課長 佐野美波氏
 

〇前編:長期金利の急上昇が話題になった日本国債発行体である財務省国債企画課は市場をどう見ているのか【前編】

個人向け国債は定着するか

――個人向け国債の発行額も増え、販売対象は非営利法人等へ拡大を予定しています。個人向け国債のニーズについてはどのように考えていますか?

個人向け国債は取扱金融機関の窓口を通じて募集しているため、財務省では直接お客様と接する金融機関へのヒアリングやアンケート調査など、様々な形でニーズを把握するようにしています。

個人向け国債の大きな特徴は元本割れしないことですが、アンケート結果などをみると、この特徴が個人の方々に思ったほどは知られていないと感じています。最近購入が増えているのは、金利がついてきたことで預金等との比較で魅力を感じていただいているからだと思われます。ただ、金利が上がったタイミングでの注目度は高いものの、利率が上がればそれだけで購入が増えていくかといえば、そうではない場合もあるのが難しいところです。上昇した金利水準にはしばらくすると目が慣れてしまうことや、金利面では他にも魅力的な商品があるため競争度が高いとの声も伺っています。

個人向け国債は安定した資産形成に役立つ商品であると同時に、発行体としても国債保有者層を多様化するとの観点で重要な存在です。国債の個人投資家は短期の投機的な売買をするよりは、長期にわたり安定して保有する傾向があるためです。

――個人向け国債について、今後の課題はどこにありますか。

通常の国債と比べると、個人向けは3年固定、5年固定、10年変動の三種類だけです。もう少し商品のラインアップを拡充しても良いのではないか、また既存の商品についても改善できる部分があるのではないかという声もいただいており、よく検討していく必要があると考えています。

また、これまで個人向け国債は高齢者の方が保有することが多かったのですが、より若い方にも選んでいただけるよう努めていきたいと思っています。近年は好調な株式市場を背景にNISAで投資信託、特に国内外の株に関する投信を買われる方が増えており、投資について関心が高まっています。株式と比べれば日本国債は一見すると利回りで劣っているように見えるかもしれませんが、債券は株式とは異なる性質の商品であり、ポートフォリオ多様化の選択肢になるので、幅広い層に目を向けていただける取り組みを進めていきたいです。

また、確定拠出年金ではデフォルト商品に預金を選ぶ方も一定割合いらっしゃいます。クリアすべき課題は多いですが、将来的にはここに国債という選択肢が増えれば、活用度が高まる余地があるとも考えています。

存在感増す海外投資家

――海外投資家のニーズについて、どう捉えていますか。

統計を見ると、海外の買いが大きく出ている月もあります。超長期の割安感や、為替ヘッジを絡めた取引で魅力が高いと判断し、購入されているようだという話も聞いています。ただし、資金循環統計を見ると、残高ベースでは海外投資家の保有は1割程度とそこまで増えておらず、欧米等と比べてまだプレゼンスは大きくありません。一方、売買シェアで見ると海外投資家の割合は現物で約5割、先物で7割超となっています。短期で売買を繰り返す、アクティブな投資家が増えているのだと捉えています。セカンダリーマーケットや先物、スワップなどのデリバティブでは特に存在感が高まっています。

ヘッジファンドの保有も増えていますが、海外投資家の内訳については統計で細かい実態が捉えきれないのが難しいところです。海外IRなどの場において、金利がついてきたことで日本国債をポートフォリオに組み込む海外のファンドが増えているとの話も伺っており、今後いっそう活発になる可能性はあります。

多様なニーズを持つ投資家が国債取引に参加すると、例えば価格が安くなった際に市場に入っていただけることで、市場が一方向に流れず、需給のバランスが安定化する効果もあると考えられます。そのため、アジア、中東、北米、欧州など幅広く、日本国債に関心を持ってくれている海外の投資家に対して投資商品としての魅力を説明しています。

――海外投資家とのコミュニケーションの中でどのような声が寄せられますか。

日本の政治や経済の状況、経済政策、日銀の対応なども含め、海外投資家は非常に詳しく日本のマーケットを見ていると感じており、厳しい声も含めて、幅広い視点での質問をいただきます。例えば、日銀の金融政策と政府の積極財政が相まってよりインフレが進むのではないかという懸念について質問されることもあります。IRの際には、政府と日銀が連携しつつそれぞれの政策を進めていることや、「責任ある積極財政」ではマーケットの信認をしっかり得ることを心がけていること、債務残高GDP比を着実に引下げていくことなどを説明しています。

市場へのヒアリングを増やす

――2026年度の新たな取り組みとして、市場コミュニケーションの強化を目指し、6月ごろに進行途中の計画を点検するための「年央ヒアリング」を計画されています。

国債発行計画は予算編成に合わせて毎年12月に決定されます。しかし最近、マーケットの動きが大きくなっており、12月に決めた計画をそのまま一年間実行するのでは、市場の変化に的確に対応し切れない状況も考え得る時代になっています。

例えば、去年の6月に超長期債金利が急騰した際に発行計画を変更しましたが、「異例」の扱いとなったことから、当局が発行計画の変更をするのかしないのか、事前に憶測を呼んでしまいました。これまでの計画の見直しのタイミングではなかったために、市場では「当局は計画を変えないだろう」という予想によりバイアスがかかったのではないかとの声も一部で聞かれました。

点検のタイミングを増やし、事前に示しておくことで予見可能性が高まり、マーケット全体としても安定性が高まる効果があるのではないかと期待しています。投資家懇談会やプライマリーディーラー会合でも、参加者の方々からは非常に前向きに、導入を望む声をたくさんいただきましたので、きちんと実施していきたいと考えています。

――金利のある世界での国債管理について、今後の取り組みの展望をお聞かせください。

金利のある世界になった中で、この巨額の国債発行をマネージしていくのは緊張感が高い仕事です。同時に非常にやりがいがあり、新しい取り組みも検討しており、発行当局としてできることがいろいろあると考えています。商品としての国債の魅力が伝わり、いいマーケットになるよう、発行体として努力していきたいと思っています。

続きを読むには…
この記事は会員限定です
会員登録がお済みの方ログイン
ご登録いただくと、オリジナルコンテンツを無料でご覧いただけます。
投資信託販売会社様(無料)はこちら
上記以外の企業様(有料)はこちら
※会員登録は、金融業界(銀行、証券、信金、IFA法人、保険代理店)にお勤めの方を対象にしております。
法人会員とは別に、個人で登録する読者モニター会員を募集しています。 読者モニター会員の登録はこちら
※投資信託の販売に携わる会社にお勤めの方に限定しております。
モニター会員は、投資信託の販売に携わる企業にお勤めで、以下にご協力いただける方を対象としております。
・モニター向けアンケートへの回答
・運用会社ブランドインテグレーション評価調査の回答
・その他各種アンケートへの回答協力
1

おすすめの記事

「一連の治療が完了」――日証協日比野会長が半年ぶり記者会見で新事務年度の方針語る

川辺 和将

速さを支える足場の築き方とは――moomoo証券の行政処分から考える「顧客本位」の土台

文月つむぎ

【連載】藤原延介のアセマネインサイト㉝
パフォーマンスと高成長を背景に新興国株式ファンドに資金流入の兆し

藤原 延介

【プロが解説】人口減のなか注目される私鉄各社の貢献――駅を起点に人を呼び込み、沿線価値を高めるまちづくり

上野 武昭

政府が「地域金融力強化プラン」をブレークダウンした都道府県別“新プラン”を策定へ

川辺 和将

著者情報

finasee Pro 編集部
ふぃなしーぷろへんしゅうぶ
「Finasee」の姉妹メディア「Finasee PRO」は、銀行や証券会社といった金融機関でリテールビジネスに携わるプロフェッショナルに向けたオンライン・コミュニティメディアです。金融行政をめぐる最新動向をはじめ、金融機関のプロフェッショナルにとって役立つ多様なコンテンツを日々配信。投資家の皆さんにも有益な記事を選りすぐり、「Finasee」にも配信中です。
続きを読む
この著者の記事一覧はこちら

アクセスランキング

24時間
週間
月間
速さを支える足場の築き方とは――moomoo証券の行政処分から考える「顧客本位」の土台
【プロが解説】人口減のなか注目される私鉄各社の貢献――駅を起点に人を呼び込み、沿線価値を高めるまちづくり
「一連の治療が完了」――日証協日比野会長が半年ぶり記者会見で新事務年度の方針語る
【連載】藤原延介のアセマネインサイト㉝
パフォーマンスと高成長を背景に新興国株式ファンドに資金流入の兆し
2026年3月期の地銀・第二地銀「預り資産取扱い動向」を読み解く
政府が「地域金融力強化プラン」をブレークダウンした都道府県別“新プラン”を策定へ
ゆうちょ銀・郵便局の売れ筋で「日経225」と「NASDAQ100」が人気、貯金金利の引き上げで投信の売れ筋に変化?
常陽銀行の売れ筋で「日経225ノーロード」がトップに再浮上、「リスクオン」でバランスファンドより株式ファンドに軸足
「支店長! 接客について、先輩方のように自信が持てません。どうしたら自信が持てるようになりますか」
「体制」から「態勢」へ、改正保険業法に見る金融庁の着眼点の変化
2026年3月期の地銀・第二地銀「預り資産取扱い動向」を読み解く
政府が「地域金融力強化プラン」をブレークダウンした都道府県別“新プラン”を策定へ
仕組商品のリスクは「複雑かつ複合的」なのか?
ゆうちょ銀・郵便局の売れ筋で「日経225」と「NASDAQ100」が人気、貯金金利の引き上げで投信の売れ筋に変化?
【連載】藤原延介のアセマネインサイト㉝
パフォーマンスと高成長を背景に新興国株式ファンドに資金流入の兆し
【プロが解説】人口減のなか注目される私鉄各社の貢献――駅を起点に人を呼び込み、沿線価値を高めるまちづくり
福岡銀行で「半導体」人気が爆発、「日本株」や「純金」の人気は後退
速さを支える足場の築き方とは――moomoo証券の行政処分から考える「顧客本位」の土台
「支店長! 接客について、先輩方のように自信が持てません。どうしたら自信が持てるようになりますか」
SBI証券で「半導体」に強気、日米の半導体インデックスファンドが売れ筋ランクアップ
2026年3月期の地銀・第二地銀「預り資産取扱い動向」を読み解く
「オルカン」「S&P500」「世界のベスト」に続くファンドは? 「スペースX」への関心で購入停止ファンドも=資金流入額上位20ファンド
顧客利益の最善を追求し、人生の質を高めることが IFA業界の発展と社会貢献につながる
信託ならではの専門性をオンラインで実現 独自のハイブリッド型チャネル戦略を推進 case of 三井住友信託銀行
「支店長! 接客について、先輩方のように自信が持てません。どうしたら自信が持てるようになりますか」
投信ビジネスに携わる金融のプロに聞く!「自分が買いたい」ファンド【バランスファンド編】
顧客の「将来」と「今」に価値を提供し、地域に好循環を生み出すのがFFGの使命 case of 福岡銀行/ふくおかフィナンシャルグループ
政府が「地域金融力強化プラン」をブレークダウンした都道府県別“新プラン”を策定へ
福岡銀行で「半導体」人気が爆発、「日本株」や「純金」の人気は後退
仕組商品のリスクは「複雑かつ複合的」なのか?
ランキングをもっと見る
finasee Pro(フィナシープロ) | 法人契約プランのご案内
  • 著者・識者一覧
  • 本サイトについて
  • 個人情報の取扱いについて
  • 当社ウェブサイトのご利用にあたって
  • 運営会社
  • 個人情報保護方針
  • アクセスデータの取扱い
  • 特定商取引に関する法律に基づく表示
  • お問い合わせ
  • 資料請求
© 2026 finasee Pro
有料会員限定機能です
有料会員登録はこちら
会員登録がお済みの方ログイン
有料プランの詳細はこちら