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新プログレスレポートと金融庁幹部人事の背景を読む、キーワードは「官邸の弱体化」と「尻に火が付いた暗号資産対策」
【オフ座談会vol.6:かやば太郎×本石次郎×財研ナオコ】

finasee Pro 編集部
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2025.06.30
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新プログレスレポートと金融庁幹部人事の背景を読む、キーワードは「官邸の弱体化」と「尻に火が付いた暗号資産対策」<br />【オフ座談会vol.6:かやば太郎×本石次郎×財研ナオコ】

かやば太郎氏 「資産運用サービスの高度化に向けたプログレスレポート」がついに公表されましたね。

本石次郎氏 2023年を最後に発行が途絶えた「資産運用業高度化プログレスレポート」の後継的な位置づけで、投信コストのさらなる透明性向上や新興運用業者の新規参入促進、DCとDBの運用サポート強化、給付水準の見直しといった論点を取り上げています。

財研ナオコ氏 幅広い分野の課題を整理した力作ではあるけれど、論点のほとんどは、これまでも金融庁がたびたび問題提起してきたこととあまり変わらないようにも思える。旧プログレスレポートとの違いは、どこにあるのだろうか。

本石氏 タイトルを「資産運用業」ではなく「資産運用サービス」と改めたのは、投信会社などのいわゆる資産運用会社だけでなく、年金などのアセットオーナーやその運営を支える金融機関などを含め横断的な視点を盛り込む趣旨だそうです。

財研ナオコ氏 その説明はちょっと引っ掛かる。年金などの課題については、すでに2023年公表の旧レポート最終版でも厚めに取り上げていたし、金融庁が直接的な監督権限を持たないはずのシステム会社まわりにも言及していた。今回の新レポートで射程が広がったわけではないのでは。

かやば氏 旧レポートとの明らかな違いで言うと、射程の範囲というよりむしろ、国内投資への傾斜度合いではないでしょうか。

本石氏 旧レポートでは、アセットオーナーの運用高度化のための手段の一つとしてオルタナティブ投資を位置付けつつも、国内投資の促進策との関連については曖昧な書きぶりにとどめていました。今回の新レポートは「国内オルタナティブ投資への投資」という章立てを設け、特に非上場株式を通じたスタートアップ投資を拡大する余地を強調しています。

かやば氏 今回も文面上は、金融庁として推奨するわけでは決してなく、あくまで民間側における国内オルタナ投資の機運の高まりを指摘するだけにとどめています。ただ金融庁幹部は「国内の成長を促進する観点からは、日本のVCに対する投資が進んでほしい」と期待を示しています。

財研氏 投資マネーの出し手にフォーカスしてきた岸田文雄政権による「資産運用立国」の範疇を飛び出し、マネーの受け手に着目しようとしている石破茂政権の「投資大国」、もしくは岸田氏が率いる議連が提唱する「資産運用立国2.0」の姿勢を反映していると言えるね。

かやば太郎氏 「『最善の利益』を勘案して」というような表現がしつこいほど繰り返されているのも印象的でした。「最善の利益を勘案したものとなるよう~」といった文脈で使われており、数えてみると20回以上出てきます。

財研氏 金融サービス提供法の改正によって、金融機関や年金関連の事業者に幅広く適用される、いわゆる「最善利益義務」が導入されて以降、今回が初めてのレポート公表だ。「新レポートに書かれていることを実施しなければルールに抵触するのではないか」と、民間側で懸念が生じても不思議ではない。

本石氏 金融庁幹部は「最善利益の勘案はアセットオーナープリンシプルにも記載があり、一般的な当然の前提として記載している。機械的・形式的に、抵触した場合に法令違反になるという趣旨ではない」と念を押しつつも、「社会に付加価値がないにもかかわらず自身の利益だけを追求することはかなわないということは、義務を課している金サ法の趣旨でもあり、そこは確認してほしい」とクギを刺していました。

かやば氏 振り返れば最善利益義務の創設に向けた議論を含め、旧レポートはその後の制度改正の布石としても機能してきた経緯がある。伊藤豊氏が長官に就く新体制下で、レポートを踏まえどのようにかじ取りをしていくのか気になりますね。

財研氏 霞が関・永田町界隈の事情通によれば、伊藤氏がこれまで長官就任のタイミングを逃してきた一因に、同氏の過去のスキャンダルが再び持ち出されることで責任問題に発展することを避けたい官邸からの押さえつけがあったという。いずれは長官に就くことを織り込んで金融庁に戻った伊藤氏の遅ればせの抜擢を、官邸の弱体化のあらわれと見る向きもある。

本石氏 井藤英樹氏率いるこれまでの体制は「資産運用立国特化型」とも言える布陣でした。政界とのパイプ役である堀本善雄氏が総合政策局長に就き、新体制でも引き続き立国プランの具体化に取り組むことになるでしょうね。

かやば氏 ただ、従前の「立国特化型」からリソース配分は大きく変わりそうです。将来の長官候補と言われ地銀にも顔が広い石田晋也氏を監督局長に、デジタル領域にも強い柳瀬護氏を総括審議官に据えました。これにより、金利ある世界へのスムーズな適応と、与党からの強い働きかけで対応を迫られている暗号資産制度の交通整理に、優秀な人材を集中させようとしているようです。

財研氏 これまで「立国プラン」の理論的・データ的な軸となってきたプログレスレポートが、金融庁全体の重心移動の流れの中で、どのようにその役割を変容していくかも興味深いところだね。

かやば太郎氏 「資産運用サービスの高度化に向けたプログレスレポート」がついに公表されましたね。

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