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J-FLECがキックオフイベントを開催 投資詐欺防止を重視、「守りの啓発」にじむ

川辺 和将
川辺 和将
金融ジャーナリスト
2024.08.28
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J-FLECがキックオフイベントを開催 投資詐欺防止を重視、「守りの啓発」にじむ

金融経済教育推進機構(J-FLEC)のキックオフイベントが8月26日に都内で開かれ、金融庁の井藤英樹長官、J-FLECの安藤聡理事長らが登壇しました。同日にJ-FLECは全国の企業や学校を対象とした講師派遣の申込受付をスタート。岸田政権が22年に策定した「資産所得倍増プラン」で、NISA拡充策と両輪の位置づけで設置されたJ-FLECですが、今回のイベントからは積極投資の促進より詐欺防止の啓発を重視する「守り優先」の姿勢もにじみました。

リテラシー向上はFDの「近道」

井藤長官はまず「この機構には私自身、あるいは金融庁としても力を入れている」と述べた上で、「NISAについても先般の変動等はあったが、長期・積立・分散投資を旨として、ライフステージに沿ったよりよい資産形成に取り組んでいただければと思う。が、実際にはそれ以前の問題として投資詐欺みたいな話もある」と指摘しました。「金融商品というとなかなか難しく、良い商品と、我々から見ると何故こんなものに投資するのかの違いも、振り返ってみれば私もこういう仕事をしてるからある程度わかるが、なかなか一般にはわかりづらい面もある」と話しました。

そして「基本となる金融リテラシーを身に着けていただくことは非常に重要だと思う」と強調。「金融庁としてはNISAだけではなく、よりよい資産形成をしてもらうために金融機関に対して、顧客本位の最善利益等を考えたよりよい営業をしてくださいと、法律的な規定の導入も含めてお願いをしているわけだが、やはり個々に投資をされる方々が、基本となる知識をつけてもらうのが近道だとつくづく感じる」と述べました。

また、「J-FLECには期待をしている。安藤理事長のリーダーシップのもと、とりあえず順調な滑り出しをしているのかなというふうに思っているが、顧客の立場に立ったアドバイザーの普及という取り組みも『言うは易し』で、実際にはアドバイスにお金を払うっていう文化もあまり浸透していないところがある。国民が安心してアドバイスを受けられる環境の整備は、極めて大事な課題だ。金融庁としては金融行政のメインストリームになるような大事な施策だというふうに考えているし、このJ-FLECの取り組みをしっかりと今後も支えていきたいと考えている」と話しました。

民間連携の第1弾はSMBCと

安藤理事長は、金融リテラシー向上を図るプラットフォーマーとして教育を提供するJ-FLECの方向性について改めて説明。8月2日に電話で開始した「J-FLECはじめてのマネープラン」について、「対面方式の申し込みも今、システムの内容チェックしており、今年の秋には準備が整い次第、開始したい」と説明。電子クーポンを通じた有料相談の補助事業についても今秋ごろスタートさせる考えを示しました。

J-FLECは民間金融機関との初の共同イベントとして、9月26日にSMBCグループとの共催イベント「ファイナンシャルウェルビーイングと金融経済教育」の実施を予定。また、前日の25日には金融庁、厚労省と共同でオンラインイベントの開催も予定しています。安藤理事長は「こうした共催イベントをどんどん進めながら、J-FLEC単独の主催イベントも進めていく」と述べました。

J-FLECの各種事業の基軸は認定アドバイザー制度ですが、8月1日時点で既存業界団体などから先行審査を経て移管した424人が登録されています。この日のイベントでは認定アドバイザーの村松祐子さんがゲストのお笑い芸人、小島よしおさんらに向けてお金に関するクイズを実施しました。

1年後の住宅購入の資金を準備する手段として「株式」「預金」「終身保険」の3つから選ぶ問題では、ゲスト全員が「預金」と答えて正解。村松氏は「大きな買い物なのでお金を増やすために株式でと思われるかもしれないが、(目標が)1年後と近いので、その場合は元本確保型の預金で備えておいた方が安全ということになる。(購入予定が)もっと先であれば、増やすための資産で備える選択肢もある」と説明しました。

J-FLECをめぐっては創設に向けた議論が始まった当初から、資産形成の裾野拡大につながるとの期待論が上がる一方で、過剰なリスクテークや格差拡大の助長、認定資格の悪用などを懸念する声もありました。今回のイベントでは、少なくともスタート時点では投資詐欺防止など「守り重視」の姿勢を示し、投資促進のニュアンスを当面控える方向感をうかがわせました。

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川辺 和将
かわべ かずまさ
金融ジャーナリスト
金融ジャーナリスト、「霞が関文学」評論家。毎日新聞社に入社後、長野支局で警察、経済、政治取材を、東京本社政治部で首相官邸番を担当。金融専門誌の当局取材担当を経て2022年1月に独立し、主に金融業界の「顧客本位」定着に向けた政策動向を追いつつ官民双方の取材を続けている。株式会社ブルーベル代表。東京大院(比較文学比較文化研究室)修了。
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