finasee Pro(フィナシープロ)
新規登録
ログイン
新着 人気 特集・連載 リテール&ウェルス 有価証券運用 金融機関経営 ビジネス動画 サーベイレポート

金融庁幹部は「相場の結果論では糾弾せず」と断言 それでも円急騰で外貨建て商品販売には重大関心のワケ

川辺 和将
川辺 和将
金融ジャーナリスト
2024.08.09
会員限定
金融庁幹部は「相場の結果論では糾弾せず」と断言 それでも円急騰で外貨建て商品販売には重大関心のワケ

波乱相場下で金融機関の財務健全性に注目が集まる一方、金融庁内では、リテール部門における外貨建て商品などの対応状況についても関心が高まっています。為替変動による外貨建保険の運用環境悪化、仕組預金のノックイン増加の可能性も取り沙汰される中、リスクに関する顧客への説明や、運用状況の検証を通じた商品ラインアップの整備の状況について、今後のモニタリングで重点的に調べることになりそうです。

当局はリスク・リターンの「販売後検証」求める

ここ数年、金融庁は金融機関に対し、商品販売後のリスク・リターンの検証を求める姿勢を強めてきました。

EBなど複雑な仕組債などについてはこれまでも、すでに販売した金融商品の運用状況に関するデータを収集、整備したうえで、運用実績や投資効率を分析し、商品ラインアップの改善に活かすよう業界側に求めていました。

今年7月に金融庁が公表した「リスク性金融商品の販売・組成会社による顧客本位の業務運営に関するモニタリング結果について」(FDレポート)では、仕組債のみならず、外貨建保険など幅広いリスク性商品についてFDの観点から事後検証のための体制を整備するよう促しています。

また、同月に公表したFD原則改定案でも、投資信託などの組成会社において「恣意性が生じない適切な検証期間の下でリスク・リターン・コストの合理性を検証すべき」と記載。そのうえで販売サイドとの情報連携を通じ、製販全体として「顧客の最善の利益の実現」を目指すよう促す内容となっています。

当局が事後検証を求める情報発信を重ねてきた狙いについては、「いつか為替が円高に振れ、金融機関で苦情が増えた場合への布石を打っている」(地銀幹部)との見方もありました。

FDレポートにおける当局の分析では、円安のただ中だった調査時点での外貨建て保険の運用実績を要素分析したところ、リターンの大半を為替効果が占める結果になりました。レポートは、円高によって為替効果が剥落すれば、解約手数料などのコスト、債券価格下落による市場価格調整によって運用成果がマイナスに転じる可能性を示唆しています。また、主要行などで販売が増加傾向にあった仕組預金についても、プットオプションの売りといったデリバティブを組み込んでいるため、円高時の元本割れリスクを指摘していました。

幹部「結果論での商品批判はしない。ただ…」

FD原則とFDレポートはいずれも、顧客本位の業務運営というプリンシプル(法的拘束力のない行動規範)の観点で商品検証などの対応を促しています。とはいえ、近く改正金融サービス提供法が施行され、金融機関に新しく課される「最善利益義務」が創設されれば、法律上のルールの文脈でも同様の対応が奨励される可能性があります。

金融庁監督局がこのほど正式に公表した資料「商品・サービス及び業務のライフサイクル管理に関する基本的な考え方」は、最善利益義務の創設に触れつつ、「商品等の継続的な管理態勢」に関しては、商品導入後において「(環境変化などによって生じる)リスクが顕在化する前に特定し、リスク管理態勢の強化やオペレーションの見直しを行う、あるいは自社の経営戦略と不整合となっているのであれば商品の取り扱いを停止する決断を行うことが、商品等のライフサイクル管理の要である」と記載しています。取扱件数、金額、苦情、事務事故件数などのデータ整備を通じてリスク変化を検知し、効率的に商品リストなどの見直しを行うよう促しています。

ある幹部は「結果論によって商品性を糾弾、批判することはありえない」と前置きしたうえで、「これまでの円安局面において外貨建て商品の販売が集中していた中、仮にリスクに関する説明が不十分だったために足元で苦情が増加しているとなれば、現状の販売体制に問題がなかったのではないかとうい点が関心事となる」と説明します。波乱相場下でいかにして顧客の「最善利益」を追求しつづけるか、官民がコミュニケーションの中で議論を深めるきっかけにもなりそうです。

続きを読むには…
この記事は会員限定です
会員登録がお済みの方ログイン
ご登録いただくと、オリジナルコンテンツを無料でご覧いただけます。
投資信託販売会社様(無料)はこちら
上記以外の企業様(有料)はこちら
※会員登録は、金融業界(銀行、証券、信金、IFA法人、保険代理店)にお勤めの方を対象にしております。
法人会員とは別に、個人で登録する読者モニター会員を募集しています。 読者モニター会員の登録はこちら
※投資信託の販売に携わる会社にお勤めの方に限定しております。
モニター会員は、投資信託の販売に携わる企業にお勤めで、以下にご協力いただける方を対象としております。
・モニター向けアンケートへの回答
・運用会社ブランドインテグレーション評価調査の回答
・その他各種アンケートへの回答協力
1

関連キーワード

  • #金融庁

おすすめの記事

プルデンシャル生命の組織に潜む歪み――彼らは「月のウサギ」を見上げなかったのか

文月つむぎ

SBI証券の売れ筋に変調? 純金価格の急落と米株物色の変化が「NASDAQ100ゴールドプラス」と「FANG+」を押し下げ

finasee Pro 編集部

マネックス証券の売れ筋で国内株は「ブル型」が快走、米株に「ゴールドプラス」もパフォーマンスで圧倒

finasee Pro 編集部

楽天証券の売れ筋上位の「オルカン」など主要インデックスファンドは3年連騰、「国内株」や「純金」に分散志向?

finasee Pro 編集部

ファンドモニタリングは、どの指標を参照すればいいか
(6)まとめ

中村 裕己

著者情報

川辺 和将
かわべ かずまさ
金融ジャーナリスト
金融ジャーナリスト、「霞が関文学」評論家。毎日新聞社に入社後、長野支局で警察、経済、政治取材を、東京本社政治部で首相官邸番を担当。金融専門誌の当局取材担当を経て2022年1月に独立し、主に金融業界の「顧客本位」定着に向けた政策動向を追いつつ官民双方の取材を続けている。株式会社ブルーベル代表。東京大院(比較文学比較文化研究室)修了。
続きを読む
この著者の記事一覧はこちら

アクセスランキング

24時間
週間
月間
SBI証券の売れ筋に変調? 純金価格の急落と米株物色の変化が「NASDAQ100ゴールドプラス」と「FANG+」を押し下げ
「支店長! ノルマから解放されたいです!」
マネックス証券の売れ筋で国内株は「ブル型」が快走、米株に「ゴールドプラス」もパフォーマンスで圧倒
【みさき透】高校の試験に「インベストメントチェーン」「顧客本位」の出題が?!こどもNISAで熱を帯びる金融教育と金融機関の関わり方

ドコモショップが「投資の入口」に? マネックス証券と連携、1月29日から一部店舗スタッフがNISA口座開設や積み立てをサポート
プルデンシャル生命の組織に潜む歪み――彼らは「月のウサギ」を見上げなかったのか
楽天証券の売れ筋上位の「オルカン」など主要インデックスファンドは3年連騰、「国内株」や「純金」に分散志向?
経営、本部、販売現場が価値観を共有し「真のコンサルティング営業」の実践へ case of ちゅうぎんフィナンシャルグループ/中国銀行
「投信のパレット」の進化形でコンサルティングのさらなる高度化へ case of ふくおかフィナンシャルグループ
第17回:「高校無償化」で加速する家計教育資金の大移動!影響を受ける意外な業種とは?
「支店長! ノルマから解放されたいです!」
【みさき透】高校の試験に「インベストメントチェーン」「顧客本位」の出題が?!こどもNISAで熱を帯びる金融教育と金融機関の関わり方

楽天証券の売れ筋上位の「オルカン」など主要インデックスファンドは3年連騰、「国内株」や「純金」に分散志向?
マネックス証券の売れ筋で国内株は「ブル型」が快走、米株に「ゴールドプラス」もパフォーマンスで圧倒
第17回:「高校無償化」で加速する家計教育資金の大移動!影響を受ける意外な業種とは?
ファンドモニタリングは、どの指標を参照すればいいか
(6)まとめ
マン・グループの洞察シリーズ⑮
日本株市場にグローバル投資家が回帰している3つの理由
中道改革連合「ジャパン・ファンド構想」の見過ごせないリスクと、実現に向けた論点
ドコモショップが「投資の入口」に? マネックス証券と連携、1月29日から一部店舗スタッフがNISA口座開設や積み立てをサポート
曲がり角のIFAビジネス(3)「我々は“一支店”ではない!」――プラットフォーマーと最適な協力関係を築くには?コンプラ自立化の広がりと広告審査の壁
野村證券の売れ筋にみる2026年の活躍期待ファンド、「宇宙関連株」は「日経225」と「米国テック株」を上回るか?
「支店長! ノルマから解放されたいです!」
第17回:「高校無償化」で加速する家計教育資金の大移動!影響を受ける意外な業種とは?
「IFAエグゼクティブ・サーベイ2025」注目ポイントを一挙解説(1)――ビジネス戦略編
「地域金融力強化プラン」は逆から読むべし(3)高市政権による「運用立国」再解釈と、証券・運用・メガ・システム業界へのメッセージ
2026年、日経平均「6万円」が射程距離となる理由 注目セクターと株価の見通し―マネックス証券 広木隆氏に聞く
中道改革連合「ジャパン・ファンド構想」の見過ごせないリスクと、実現に向けた論点
【みさき透】高校の試験に「インベストメントチェーン」「顧客本位」の出題が?!こどもNISAで熱を帯びる金融教育と金融機関の関わり方

「IFAエグゼクティブ・サーベイ2025」注目ポイントを一挙解説(2)――コンプライアンス・ガバナンス編
ドコモショップが「投資の入口」に? マネックス証券と連携、1月29日から一部店舗スタッフがNISA口座開設や積み立てをサポート
ランキングをもっと見る
finasee Pro(フィナシープロ) | 法人契約プランのご案内
  • 著者・識者一覧
  • 本サイトについて
  • 個人情報の取扱いについて
  • 当社ウェブサイトのご利用にあたって
  • 運営会社
  • 個人情報保護方針
  • アクセスデータの取扱い
  • 特定商取引に関する法律に基づく表示
  • お問い合わせ
  • 資料請求
© 2026 finasee Pro
有料会員限定機能です
有料会員登録はこちら
会員登録がお済みの方ログイン
有料プランの詳細はこちら