その他のファンドの採用・検討状況と増減予定
■その他のファンドでもっとも高いニーズがあったのが26.7%のESG投資(インパクト投資を含む)だった。これは全資産の中でもトップの採用検討率であり、金融機関のESG投資に対する関心の高さがうかがえる。
■オプション・プレミアム・キャリー戦略にも注目が集まっており、投資環境が不透明になる中で、債券からインカム収益の獲得が困難になっていることが背景として考えられる。
■オルタナティブ資産の中ではJ-REITが突出した採用率を誇り、実に8割に上っており、増額も引き続き検討されている。また、国内私募REITや海外プライベートエクイティ、国内プライベートデット、インフラデットなどの一部の低流動性資産にも増額が予定されていた。
機関投資家の運用トレンドと運用上の関心
弊誌では同種の調査を2021年12月~2022年1月にも実施しており、今回の調査との比較を通してファンド投資に関するさまざまな投資動向を確認できた。
■先述の投資適格社債や準ソブリン、ESG投資やプライベートアセットへの関心は前回から引き続き高く、機関投資家の間でも根強いニーズがあるようだ。
■低金利環境を背景に採用が進んだマルチアセット戦略は、株式・債券同時安が発生した2022年の環境では打撃が大きく、前回調査からの比較では新規採用や増額への意欲が減少していた。
■前回調査では海外株式(パッシブ運用)やJ-REITなど多くの投資家で増額予定があった(それぞれ48.5%、45.5%)。今回調査ではJ-REITの33.3%が最高で、前回調査ほどの大きなニーズがあるものは他に見当たらなく、今後の投資方針を決めあぐねている様子がうかがえた。
■日本銀行の金融政策や人事にかつてないほど注目が集まっており、多くの機関投資家が国内金利の動向を注視しているようだった。
【調査の概要】
調査期間:2022年12月20日(火)~2023年1月31日(火)
調査方法:webフォーム
調査主体:機関投資家向け運用情報誌『ニュー・プロップ』(発行:株式会社想研)
調査対象:国内金融機関
回答件数:30件
金融機関属性:地銀・第二地銀:12、信用金庫:7、生損保:4、信用組合:2、
証券:2、系統中央機関:1、労働金庫:1、ノンバンク:1
調査の詳細はこちらからご覧いただけます。