働き始めた後は障害年金の更新手続きに注意

「そうなのですね。少し安心しました。もし私が障害厚生年金をもらえるようになって、その後働けるようになったら、何か注意しておくべきことはありますか?」

「注意点としては、障害年金の更新の手続きがあります。障害年金が受給できるようになると1年から5年ごとのサイクルで更新の手続きがあります。具体的には更新月の3カ月前に日本年金機構から診断書(障害状態確認届)が郵送されてきます。診断書を主治医に記入してもらい、返信するだけで更新の手続きは完了します」

ただし、と筆者は前置きをしたあと説明を続けました。

「診断書を書いてもらえればそれでよいというわけではありません。診断書には、更新時期の日常生活がどの程度困難なのか? 就労している場合はその状況はどのようなものなのか? といったことを記載する欄があります。ここの記載が軽めだと、いったん障害年金が支給停止されてしまうこともあるのです」

説明を聞いた菜穂さんは軽くうなずきました。

「なるほど。診断書が大事だと。それで私は一体どうすればよいのですか?」

「更新時期の前に、その時の日常生活の困難さや就労の状況を文書にまとめておくとよいでしょう。文書のまとめ方は、これから初回の請求で行う日常生活の困難さをまとめる作業と同じです。何はともあれ、まずは障害厚生年金を受給できるようになることが先決です。もしよろしければ初回の請求に向けて私もご協力することができます」

「それは心強いです。ぜひお願いします」

受給決定から障害者雇用へ。自分らしく働ける環境と安心を手に

面談後、菜穂さんと筆者は障害厚生年金の請求に向けて動き出すことになりました。

筆者の協力もあり、無事に菜穂さんは障害厚生年金の3級を受給することができました。

障害厚生年金が受給できるようになったあと、菜穂さんは就労移行支援を受けるようになりました。そこで菜穂さんは自分に発達障害があることをオープンにし「何が苦手なのか?」「職場ではどのような支援を必要とするのか?」といったことを支援者とともにまとめていきました。

その後、就労移行支援の助けを借りて、菜穂さんは自分の発達障害の特性を理解してくれる会社に障害者雇用で就職することができました。これにより、菜穂さんは障害厚生年金と障害者雇用の収入で生計を立てていく見通しが立ったのです。

菜穂さんからそのような報告を受けた筆者は、理解ある会社で働けるようになってよかったと嬉しく思いました。

※プライバシー保護のため、事例内容に一部変更を加えています。