交際半年で決めた新生活
休日の午前中、徹は車を走らせ、恋人の早希が暮らすマンションへと向かっていた。
徹と早希は付き合って半年ほどになる。共通の友人を交えた食事会で知り合い、趣味の話などで意気投合したあと、2人で遊ぶようになり、そのまま交際へと発展した。早希はとても落ち着いた雰囲気で、徹にとって一緒にいる時間は心地よいものになっていた。付き合って半年ほどだったが、お互いに32歳ということもあり、自然と結婚を意識した。
そこで徹は結婚を考えてまずは一緒に暮らしてみようと同棲を持ちかけた。早希も同じように将来のことを考えてくれていたようで、その提案はすんなりと受け入れられた。
新居は何度も内見を重ね、話し合いをして、すでに2人が納得した物件に決めてある。2人で暮らすには少し豪華すぎるくらいの2LDKのマンションで、駅から少し距離はあるものの、立地も互いの職場の中間地点だった。買い替える家具や家電を探しに行ったり、荷物を整理したりとバタバタな日々を送っている最中で、忙しいことは確かだったが、2人で同じ方向を見て歩く充実感は何にも替えがたいものだった。
そんなわけで、今日は同棲に向けた荷物整理を手伝うことになっている。
ところがマンションに到着した徹はにわかに緊張していた。部屋の前までは何度も来たことがあったが、散らかっているからと中に入れてもらえたことはなく、家に入るのは初めてだったからだ。
マンションに到着してインターホンを押すと、しばらくして早希が玄関の扉を開けて出迎えた。ふわっとしたフローラルな香りが漂った。
「いらっしゃい。わざわざありがとうね」
「いいよ。俺の荷物はだいたい片付いてるし」
徹は靴を脱いで初めて早希の部屋に足を踏み入れた。廊下にものは全くなく、掃除も行き届いている。散らかっていると言われたので多少は覚悟していたが、そんな様子はまったくなかった。
「リビングがちょっとまだ片付いてないんだ。驚かないでね」
「いや、まあそんなの気にしないよ」
恥ずかしそうに話しながら、早希はリビングのドアを開けた。リビングの光景に徹は足を止めた。
「……すごいな」
