部屋を埋め尽くす大量の本

部屋の壁際には背の高い本棚がいくつも並び、そのすべてにぎっしりと本が詰め込まれていた。それだけでは収まりきらないのか、窓際やテレビ台の横にも本が積まれ、部屋の一角には腰ほどの高さになった本の山まであった。

散らかっているというわけではない。むしろ本以外のものはきちんと整理されているからこそ、図書館か書店と見まがうような圧倒的な物量が余計に目立って見えた。

「……すごいな。本だらけじゃん」

「うん。できるだけ整理しようと思ったんだけど、重いし多いしでなかなかはかどらなくて」

早希の趣味が読書だというのは付き合う前から聞いていた。

徹も小説を読むのは好きで、最初に意気投合したのも好きなミステリー作家が一緒だったからだった。デートのときに本屋に立ち寄ることも少なくはなく、そのたびにたくさん本を買うなと思ったこともあったが、まさかここまでとは思っていなかった。

部屋の中央には引っ越し用の段ボールがいくつも置かれ、そのうちの何箱かにはすでに本が詰められ、別の場所には紐でまとめられた本も置かれていた。

「この紐でまとめているのは捨てるやつ?」

徹が尋ねると、早希はうなずいた。

「うん。さすがに全部は持っていけないから。もう一度読むつもりのない本とか、興味なくなった本は整理したんだ」

「そうか。大変だっただろ。これだけの量があるんだからな」

「まあね。だから徹が手伝ってくれるなら心強いよ」

徹は軽く腕まくりをした。

「まずは処分するやつからまとめようか。時間もないし、どんどんやっちゃおう。俺も部屋に置いてたレコードとかCDとかを結構処分する予定だから。何なら一緒にリサイクルショップに持っていくよ」

徹がそう言うと、早希は困ったような顔をした。

「どうしたの?」

「……実は処分する本はもうまとめてあるんだ。そこにあるので全部」

徹は紐でまとめられて部屋の隅に置かれた本たちを見た。それから、それ以外の部屋中の本に目を向けた。処分するのは全体の50分の1にも満たない数だ。