投資信託を選ぶ際、各販売会社が自社のサイトで公開している「売れ筋ランキング」を確認する個人投資家は多い。そのランキングを定点観測して、トレンドを追う連載。今回は、楽天証券。
楽天証券の投信売れ筋ランキング(買付金額)の2026年10月のトップ2は、前月に続いて「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(愛称:オルカン)、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」が維持した。第3位には前月第7位の「楽天 日本株4.3倍ブル」が4ランクアップした。一方、「楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンド」は第3位から第4位に、「楽天・プラス・S&P500インデックス・ファンド」は第4位から第5位に順位を下げた。前月第6位だった「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)」(愛称:世界のベスト)が第9位に後退し、前月第10位だった「WCM 世界成長株厳選ファンド(予想分配金提示型)」はトップ10圏外となった。一方、「iFreeNEXT FANG+インデックス」と「楽天・プラス・NASDAQ-100インデックス・ファンド」はそれぞれ1ランク上昇し、「eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)」が第10位にランクインした。
※楽天証券サイト「投資信託」「全銘柄ランキング(買付金額)」に基づいて編集部作成。期間:2026年10月1日~10月31日。
https://www.rakuten-sec.co.jp/web/fund/find/ranking/ranking.html?term=m&target=all&age=all&x=50&y=11&type=500001&freqid=3&tget=1&group=all
アクティブファンドが後退、インデックスに人気集中
10月のランキングで特徴的なのは、アクティブファンドの順位低下だ。「世界のベスト」(設定はインベスコ・アセット・マネジメント)が第6位から第9位へ後退し、「WCM世界成長株厳選ファンド(予想分配金提示型)」(朝日ライフ アセットマネジメント)はトップ10圏外となった。興味深いのは、アクティブファンドの順位低下が、必ずしも運用成績の悪化と一致していないことだ。
「世界のベスト」の10月の月間リターンはプラス3.77%だった。これに対し、「オルカン」(三菱UFJアセットマネジメント)はマイナス0.20%、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」(三菱UFJアセット)はプラス0.82%、「eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)」(三菱UFJアセット)はマイナス3.50%だった。「世界のベスト」は主要なインデックスファンドを上回る成績を残したにもかかわらず、販売順位を3ランク下げたことになる。
一方、「WCM 世界成長株厳選ファンド」の月間リターンはマイナス5.13%だった。同ファンドは世界の成長企業を厳選して投資するアクティブファンドだが、10月は成長株に対する警戒感が強まったことが逆風になった可能性がある。
10月の米国株式市場では、AI関連企業への巨額投資が将来の収益に結びつくのかという疑問が浮上した。AI需要の先行きへの警戒感から半導体関連株が売られ、ハイテク株から割安株への資金シフトが広がった。月末にもアマゾンなどの決算を受けて、AI投資の収益化や設備投資負担への懸念が強まった。こうした環境では、特定の成長企業に投資するアクティブファンドよりも、幅広い銘柄に分散するインデックスファンドを選ぶ投資家が増えた可能性がある。
ただ、「iFreeNEXT FANG+インデックス」(大和アセットマネジメント)は10月に5.11%下落したにもかかわらず、第8位から第7位へ上昇した。「楽天・プラス・NASDAQ-100インデックス・ファンド」(楽天投信投資顧問)も2.97%下落しながら順位を上げている。成長株への投資意欲が一様に弱まったわけではない。
今回のランキングからは、アクティブファンドの人気が相対的に後退する一方、低コストの幅広い銘柄に投資する株式インデックスや、ハイテク株に集中投資する指数連動型ファンドが支持されている。9月にインデックスファンドを押しのけてアクティブファンドの人気が高まったこととは逆の動きとなった。このあたりには、市場の先行きを見通すことが難しい環境の中で、投資家の迷いがうかがえる。
日本株急落でも「4.3倍ブル」が大幅ランクアップ
もう一つ注目されるのが、「楽天 日本株4.3倍ブル」(楽天投信)の第3位への浮上だ。前月第7位から4ランクアップし、インデックスファンドの定番である「オルカン」「S&P500」に次ぐ順位となった。
しかし、10月の国内株式市場は大幅に下落した。日経平均株価は月間で5%超下落し、TOPIXも軟調だった。「楽天 日本株4.3倍ブル」の月間リターンはマイナス24.51%と、極めて大きな下落になった。それにもかかわらず販売金額ランキングで大幅に順位を上げたことは、国内株式市場の反発を期待して買い向かう投資家が少なくなかった可能性を示している。
同ファンドは、国内株式市場の値動きに対して日々おおむね4.3倍の投資成果を目指すレバレッジ型ファンドだ。株価が上昇する局面では大きな利益を期待できる半面、下落局面では損失も拡大する。10月の国内株式市場が大幅に下落した背景には、米国のAI・半導体関連株の調整もある。日経平均株価は値がさの半導体関連株などの影響を受けやすく、米国のハイテク株市場の動向に左右される面がある。
10月は米国の長期金利上昇に加え、AI関連企業の設備投資負担への懸念が強まった。さらに、米国とイランの衝突再燃への警戒から原油価格が上昇するなど、株式市場を取り巻く不透明要因も多かった。
こうした環境で「楽天 日本株4.3倍ブル」が大幅に順位を上げたことは、短期的な株価反発を狙う投資行動として興味深い。ただし、株価の下落が続けば、レバレッジ型ファンドでは損失が一段と拡大する可能性がある。
楽天証券の10月のランキングでは、アクティブファンドの人気が後退し、インデックスファンドが上位を占めた。一方、国内株式市場の急落にもかかわらず、レバレッジ型ファンドへの積極的な投資姿勢も見られた。長期の資産形成を意識したインデックス投資と、短期的な相場反発を狙う積極的な投資が併存していることが、今回のランキングの特徴といえそうだ。
執筆/ライター・記者 徳永 浩


