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事業会社から最も評価が高い運用会社はどこか?Extel社の調査結果に見る日本市場の「360度評価」

finasee Pro 編集部
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2026.03.30
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事業会社から最も評価が高い運用会社はどこか?Extel社の調査結果に見る日本市場の「360度評価」

岸田政権以来の資産運用立国政策、そして現高市政権の成長戦略の後押しで海外投資家からの注目が集まる日本株式市場。金融パーソンの間では個別銘柄だけでなく、証券会社、運用会社を含むインベストメントチェーン上の各プレイヤーに対する個別評価に関する情報のニーズも高まっています。事業会社やセルサイド、バイサイドについて独自調査を行っている国際機関Extelで日本・豪州担当ディレクターを務めるマイケル・クレモンズ氏に、日本市場の現状認識と展望、そして同社が実施する調査の中身について話を聞きました。

──世界的に不確実性が増大する中、日本株式市場は時おりの乱高下を見せながらもバブル期を上回る水準を維持しています。この状況をどう見ていますか。

私が初めて日本にやって来た1989年に日経平均株価は3万5000円近辺で推移していましたが、その頃、グローバルの立場から日本株のトレードに携わっている金融人は100人程度に過ぎませんでした。

その後、7000円まで下落した時でさえ、ポートフォリオに占める日本株の比率を増やすべきだといった声はほとんど聞かれませんでしたが、私は日本に対し一貫して強気の見方を取り続けてきました。仮にニューヨーク市場に万が一のことがあった場合、その流動性を受け止められるのは日本しかないというのがその理由の一つです。

現在では日経平均は5万円を超え、世界中の注目が日本に集まっています。日本市場が数十年単位で経験したこうした変化を、私は「ハッピースマイル」と呼んでいます。大幅下落から回復した推移の曲線が、笑顔のように見えるからです。海外からこの国の市場への注目度が高まると同時に、各セクターに関する高精度の知見がどこに集まっているかについても関心が高まっている状況です。

 

──Extelは、事業会社・証券会社・運用会社が互いにそれぞれをどのように評価しているかについて360度的な調査を行っていると聞きます。事業内容について、詳しく聞かせてください。

1872年にロンドンで創業したエクスチェンジ・テレグラフ・カンパニー(ExTel)を起源とするExtelは、150年以上にわたり金融データ分析を手掛け、50年以上にわたり市場調査を実施してきたグローバル調査機関です(末尾に沿革の詳細)。現在はニューヨーク、ロンドン、東京を拠点として事業を展開しており、日本においては「日本企業エグゼクティブ・チーム」ランキング、「日本株リサーチチーム及びアナリスト」ランキング、そして「日本トップ資産運用会社」ランキング等の調査を実施。それぞれサブスクリプション形式で、参加していただいている方々にデータを提供しています。

このうち、「日本株リサーチチーム及びアナリスト」ランキングでは証券会社のアナリストを運用会社が評価します。2月に公表した最新調査結果では野村證券が首位を獲得しました。「日本企業エグゼクティブ・チーム」ランキングは、事業会社の経営陣やIRの取組み等を運用会社と証券会社が評価します。そして「日本トップ資産運用会社」ランキングは、事業会社が運用会社を評価します。3月5日には最新の調査結果を公表しており、三井住友トラスト・アセットマネジメントが総合首位を獲得、かつ5部門全てで首位となりました(記事末尾に調査結果詳細)。

これらの調査は別々に実施していますが、証券会社・運用会社・事業会社が、それぞれ自分たちが外部からどのように見られているかをデータ化しているため、結果的には循環的な相互関連性が見出せる建てつけとなっているのが特徴です。重要なのは、ランキングが調査プロセスで得られる匿名化された質的かつユニークなフィードバックから生まれた貴重な結果であるということです。このフィードバックは、多くの組織にサービスの最適化や競争力強化のために活用されています。

 

──テクノロジーの発展、とりわけAI技術の普及と進化はExtelが身を置くデータビジネスの世界にどのような影響を与えると考えていますか。

データは現代の「金(ゴールド)」だと言われますが、分析を加えなければデータは意味を成しません。したがって高度な分析能力を持つAIは、私たちが持っている一次情報の価値をいっそう高めることになるでしょう。

過去のデータとの比較やインサイトの抽出において、AIは非常に優秀です。とはいえ、日本企業特有のジョブローテーションからくる豊かな知識や経験をAIが再現しきることは出来ないため、AIがIR部門等に完全に代替するとは思っていません。

 

──アセットオーナーを含む日本の読者へのメッセージをお願いします。

私は「失われた数十年」というような言い回しを好みません。というのも、キーエンスや東京エレクトロンのように、その期間中に数千パーセントのリターンを実現した企業も少なからず存在するからです。賢い投資家は市場がどのような状況にあっても、常に「次の機会」を探しています。日本企業による政策保有株の解消が広がり、市場での取引が活発化する中で、「次のキーエンスはどこか」を探すための戦略的なデータのニーズが高まりつつある今こそ、私たちとしても日本の方々との連携を更に強化・拡大できればと考えています。

 

※同社は2018年に北米で同様の調査を実施していた金融専門誌・調査機関であるインスティテューショナル・インベスター(Institutional Investor、当時ユーロマネーの傘下)に買収され、インスティテューショナル・インベスター・リサーチに統合される。2022年、プライベート・エクイティファンドのデリニアンがユーロマネーのポートフォリオを取得し、2024年にインスティテューショナル・インベスター・リサーチはインスティテューショナル・インベスターとは別会社としてExtelブランドに回帰。その後、デリニアンはポートフォリオの大部分を売却し、2026年、別のプライベート・エクイティファンドであるトリプル・プライベート・エクイティによる買収を通じて、ユーロマネー、デリビア・インテリジェンスとともに新たな経営体制のもとで事業を展開している。

 

※Extel社が3/5に発表した「日本トップ資産運用会社」ランキング調査結果概要

総合首位 三井住友トラスト・アセットマネジメント(5部門全てで首位)

総合2位 野村アセットマネジメント

総合3位 アセットマネジメントOne

総合4位 三井住友DSアセットマネジメント

総合5位 キャピタル・グループ

 

(ランキングはExtelが2025年8月~10月に実施したCIV調査で収集した日本企業(IR担当者)の回答に基づく。投資スタイルの透明性、自社業界への理解度、長期事業計画を支援・促進する積極的エンゲージメント、ファンド横断的な効率的なエンゲージメント、継続的なフィードバックの観点でIR担当者が選定した上位5社の回答を集計)

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