初めてのコースで味わった挫折
夕食になっても暗く沈んだ表情には変化がなかったが、それでも夏希の姿を見ると少し元気を取り戻したのか、笑顔を見せながら雑談をしていた。
食後に夏希がお風呂に向かったので、2人だけの時間ができた。ソファに座る琢也はいつもならスマホでゴルフ動画を見ているのだが、今日はそんな様子は全くなかった。
「何があったの? やけに暗いけど」
琢也は少し間を置いて口を開いた。
「全然ダメだった。練習場ではよくなってたし、先生からも褒めてもらってたからもっとうまくできると思ったんだけど……」
「そんなにダメだったんだ」
琢也は日に日にゴルフに対して自信をつけている感じがしたので、意外だと実花は思った。
「ああ。もう本当にダメだった。自分だけが下手ならまだ良かったんだけど、そのせいで、ほかのみんなにも迷惑をかけたんだ。何度も打ち直したり、ボールを探してもらったりとか。それが申し訳なくて……」
「だったらもう少し落ち着いてやったら?」
「……落ち着いてって何?」
「急にレッスン受けたり、道具にお金かけたりしないで、もう少し節度を持って楽しんだらってこと」
実花としてはこれを機に少し熱を冷ましてほしかった。ゴルフを楽しむこと自体に文句はなかったが、最近の琢也は実花から見れば少しのめり込みすぎていた。
「……そうだな」
しばらく黙っていた琢也は、それだけ言って黙ってしまった。少し言い過ぎたかもしれないが、これでゴルフ熱が少しくらい冷めるだろうと実花は思った。
