<前編のあらすじ>

実花は休日に家でダラダラ過ごす夫・琢也に息苦しさを感じていた。娘が就職して家を出てから夫婦2人の時間が増えたこともあり、実花は琢也に「何か趣味でも見つけたら?」と勧める。

ある日、ゴルフの打ちっぱなしへ行った琢也は、予想以上に楽しさを感じる。ゴルフ中継を見るようになり、やがて1人でも練習へ出かけるように。生き生きする夫を見て、実花も定年後まで続けられるいい趣味ができたと喜んでいた。

しかし琢也の熱は加速し、平日の仕事後にも練習し、プロのレッスンまで受け始める。さらに、実花へ相談せずクラブ一式やウェアなどに約15万円を使ったことが判明。初ラウンドを楽しみにする夫を前に、実花は文句を飲み込んだものの、心には小さな引っかかりが残った。

●前編【「何か見つけたら?」ダラダラしてた夫が突然ゴルフに熱中…妻を絶句させた“15万円の買い物”】

家族の予定よりゴルフを優先?

ゴルフクラブを購入してから、ますます琢也はゴルフに熱中するようになった。家でもスマホでレッスン動画を見たり、クラブを持たずに素振りをしたりしていた。そんな日々が続いていたある夜、夕食後にソファで実花がくつろいでいると、お風呂上がりの琢也が声をかけてきた。

「そういえば、再来週の土曜にゴルフのラウンドに行くことになったから」

実花はテレビから視線を琢也に向けた。

「え? 再来週?」

「ああ。時間が合うのがその日しかなくてさ」

「待ってよ。その日は夏希が帰ってくるから、久しぶりに3人で晩ご飯食べようって話してたじゃない」

琢也は頭をかいた。

「日にちがそこしか合わなかったんだ。それに夕方には帰ってくるからさ」

「車はどうするのよ? 私、夏希を駅まで迎えに行くんだけど」

「タクシーでも使えばいいだろ」

琢也は面倒くさそうに答えた。投げやりな言葉に実花は怒りを覚えた。

「そもそも久しぶりに夏希が帰ってくるっていうのに、どうして約束を入れるのよ? 先に決まってたのはこっちでしょ?」

「だから仕方ないって言ってるだろ? その日しか予定が合わなかったんだよ」

実花は鋭い視線を琢也に向けた。

「家族よりもゴルフを優先するの?」

「今回だけだ。夏希だって別に休みの日にはいつでも帰ってこれるんだ」

「ゴルフだっていつでもできるでしょ?」

「なんだよ。実花だって何か趣味でも見つけろって言ってただろ。いいじゃないか、ようやく楽しみが見つかったんだから」

「それとこれとは別よ」

「俺が家にいるのが邪魔だったんだろ? なのにいざ趣味を見つけて楽しもうとしたら今度は行くなって言うのか? それはめちゃくちゃだって」