乗り気でなかった夫に変化

ある日の夜、2人で晩ご飯を食べていると、琢也がおもむろに口を開いた。

「今度、会社の同僚と打ちっぱなしに行くことになった」

琢也の報告に実花は目を丸くした。

「へぇ、ゴルフ、始めるんだ」

「……まあとりあえずやってみるよ」

琢也はあまり乗り気ではなさそうに見えた。だが、この機会に乗らないわけにはいかない。

「いいんじゃない? やってみたら案外楽しいかもしれないし」

琢也はその言葉に返事をせず、またスマホを見だした。

 

   ◇

 

そして迎えたゴルフの日、琢也は約束どおり会社の同僚と打ちっぱなしへ出かけていった。

出かける前は面倒くさそうにしていたので、実花の中では続かないだろうなと思っていた。ところが夕方になって帰ってきた琢也は、出かける前と少し様子が違っていた。

「思ってたより面白かったよ。全然まっすぐ飛ばなかったけど、ティーチングプロの人がいて、その人に教わりながらやってたらちょっとずつ当たりがよくなってさ」

しゃべる琢也の言葉には力があった。

「そうなんだ。じゃあ続けていけばまっすぐ飛ぶようになるんじゃない?」

「ああ、そうかもな」

琢也はうなずいた。

この日から琢也は少しずつゴルフに興味を持つようになった。