亡き夫を思い出す三枝子

店員は改めて受付画面の前に立った。

「よろしければ、今こちらで一緒に操作いたします」

「今から受け付けたら、どのくらい待つの?」

「現在ですと、まだ何組かお待ちなので……お席が空き次第のご案内になります」

三枝子は画面に表示された待ち組数を見た。ここからまた椅子に座り、いつ呼ばれるか分からないまま待つのかと思うと、それだけで体が重くなる。一気に空腹感も押し寄せてきた。

「それなら結構です。ありがとう」

「ですが……本当に申し訳ありません」

「大丈夫よ。あなたが悪いわけじゃないから」

そう答えたものの、胸には情けなさがあふれた。

もう少し若ければ、画面を見てすぐに理解できたのだろうか。たとえ分からなくても、夫がいたころなら、2人で画面をのぞき込み、「これじゃないか」「店員さんに聞こう」と言い合えただろう。それなのに、今となっては外で満足に食事をすることさえできない。そう思うと、自分1人が世の中から取り残されたような気がした。

「ごめんなさいね。せっかく教えてくれたのに」

三枝子は店員に軽く頭を下げ、背を向けた。自動ドアの向こうでは、相変わらず真夏の日差しが照り返している。またあの暑さの中を歩かなければならない。それでも、またあの待合席へ戻る気にはなれなかった。

三枝子が自動ドアへ向かって歩き出した、そのときだった。

「あの、私、次呼ばれるので、よかったら一緒に座りませんか?」