義母から突然の呼び出し
「ただいま」
玄関の鍵が開く音がして、ほどなく佑輔がリビングへ入ってきた。楓はスマートフォンを伏せ、夕食を温めるためキッチンへ向かう。
「おかえり」
「お、今日ハンバーグ?」
「うん。紬もほとんど完食したよ」
「ほんと? この前まで途中で飽きてたのに」
「そう。陽向が褒めたら、急に張り切ってね。まあ、最後はちょっと遊んでたけど」
佑輔が笑いながら上着を脱ぐ。食卓へ料理を並べている途中で、楓はふと口を開いた。
「そうだ。今日、お義母さんから連絡があったよ」
「何だって?」
「今度の週末、2人で実家に来てほしいって。何か話があるみたい」
佑輔は箸を取る前に少し考え、それからうなずいた。
「じゃあ土曜に行くか」
「うん。子どもたちの支度もあるし、10時くらい?」
「それくらいでいいんじゃない?」
しばらく子どもたちのことを話しているうちに、佑輔は束の間の食事を終え、皿を流しへ運んだ。
「あ、洗い物はいいよ。先、お風呂入っちゃって」
「了解。ありがと」
1人になった楓は、一瞬テーブル上のスマートフォンへ目を向けた。
さきほどまで開いていた家計簿の画面がおのずと頭に浮かんだが、楓はそれ以上考えるのをやめるように蛇口をひねった。
