2人の娘の将来を考える楓
娘たちを寝かしつけたあと、楓はリビングのソファに腰かけ、スマートフォンの家計簿アプリを開いた。夫婦共働きではあるものの、楓は最初の産休から復帰して以来、時短勤務を続けている。生活に困っているわけではないが、毎月の貯蓄目標には、今月も届きそうになかった。
「思ったより残らないな……」
楓は小さくつぶやきながら、画面をスワイプした。
今はまだ2人とも幼く、必要な出費は保育料や衣類、おもちゃなどが中心だ。だが、あと数年もすれば、習い事を始めるだろうし、進学にあたっては、さらにまとまったお金が必要になる。今のうちにできるだけ貯めておきたいと思うのに、口座の残高は思うようには増えていかない。
支出一覧を見ていたとき、画面を送る楓の指が止まった。
「義実家 30,000円」
数年前に義母の光代から深刻な顔で相談されて以来、毎月決まって振り込んでいるお金だった。自分も義父も通院の回数が増え、薬代などもかさんで家計が厳しくなったと。その話をされたとき、夫の佑輔は迷いながらも言った。
「俺、一人っ子だしさ。これくらいはしてやりたいかな」
「病院代なら仕方ないよね。体調が悪化して生活できなくなってからじゃ遅いし」
そう答えたのは楓自身だった。
だから援助するという選択を後悔しているわけではない。ただ、家計簿で3万円という数字を見るたび、それを1年で36万円かと考えてしまう。そのお金を子どもたちのために残せたらと思う自分もいて、そんな考えが浮かぶたびに少しだけ後ろめたくなった。
