友人の料理教室を手伝い始めて変わった妻

この20年間で麗美は大きく変わりました。

もともとは良家の子女で、幼稚園から大学まで私立の女子校で過ごしています。私と出会った頃はショールームの受付の仕事をしていました。

結婚して3年目に長女の詩織、翌年、年子で次女の沙織が生まれ、娘2人が幼い頃は、当時、会社で海外不動産の開発を任されていた私が長期の出張に出かけると、「3人だけでは心細いから」と、よく実家の母親や妹を呼び寄せていたものです。

しかし、10年ほど前に学生時代の友人である倉坂さんの料理教室を手伝うようになってから、内向きに閉じていた麗美のライフスタイルが次第に解放され、本来はこういう性格だったのかと驚くほどの社交性や積極性を発揮するようになりました。

倉坂さんは都内でも屈指の高級住宅街で始めた料理教室が近隣のマダムから人気を呼び、イベントを開催したり、物品を販売したりとサロン化を進めています。麗美は学生時代から花嫁修業で複数の料理教室に通っていたこともあり、最初はアシスタント的な立場で招かれたようですが、そのうち、事業を拡大する倉坂さんの右腕としてなくてはならない存在になっていったのです。

倉坂さんからどれくらい給料をもらっているのか知りませんが、ここ数年はサロンの顧客であるマダムたちと食事や歌舞伎などの観劇、国内外の旅行に頻繁に出かけています。

私が解せないのは、そうやって年中家を空けている母親を、娘たちが「ママらしくていい!」と応援していることです。

倉坂さんのサロンに通うようになってから麗美は身に着ける服や化粧も大きく変わり、娘たちと話も合うようです。ファッションやグルメ、SNS、推し活あたりの話になると、とても3人にはついていけません。