<前編のあらすじ>
水田理恵(仮名、44)さんは都内のアパレル企業で働く女性。
実家は東京都江戸川区。現在は夫の苗字である水田姓となり、1男1女を設け、埼玉県で幸せな家庭を築いていました。
一方、理恵さんの母親は2017年に65歳で死去。1人残された父も、2025年7月の酷暑で体調を崩し、74歳で亡くなりました。
唯一の相続人として、理恵さんは江戸川区にある木造2階建の実家(約2500万円相当)と、父の貯蓄3000万円を相続しました。
理恵さんが「実家には住まないので、賃貸に出せばいい」と思っていたところ、想定外のトラブルに直面することに……。
●前編:「賃貸に出せばいい」甘い考えで実家を相続した40代アパレル女性がハマった「再建築不可物件」という落とし穴
大規模リフォームは不可能
再建築不可物件の場合、大規模なリフォームを行うには「建築確認申請」が必要になり、増築・改築に制約が発生します。
2025年4月に改正された建築基準法では、通称「4号特例」と呼ばれる審査基準の特例が見直され、木造住宅のリフォームに対する規制が大きく強化されました。
「4号特例」の名称に含まれる「4号建築物」とは、都市計画区域内に建てられた「2階建て以下」「延べ面積500㎡以下」「高さ13m・軒高9m以下」の全てを満たす木造建築物、ならびに「平屋で延べ面積200㎡以下」の非木造建築物を指します。
従来の制度ではこの「4号建築物」に該当する建物は建築確認申請が不要でしたが、新制度では建築確認が必要になったほか、一定の省エネ基準を満たす必要も生まれました。これにより再建築不可物件の大規模修繕には大幅な制限が課せられることとなり、当該物件を改修して収益を得るといった施策が難しい状況になりました。
「実家をリフォームして賃貸に出す」という理恵さんの想定が大きく崩れてしまったわけでした。
幸い、実家は理恵さんが生まれる前の1970年に大規模なリフォームを行っていました。その後も小規模な改修を繰り返しており、築年数は経っているものの、外観は綺麗に保たれていました。
「部分的な改修だけで賃貸に出せるかもしれない」そう思った理恵さんは、なんとか予定通りに賃貸に出せると判断し、胸を撫で下ろしました。
ただ、そんな理恵さんに追い打ちをかけるように、さらなる不幸が訪れたのでした。