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関東甲信越100件超、四国16件、北陸は4件のみ……実績の地域差が深刻な「レビキャリ」に金融庁が‟本腰”

川辺 和将
川辺 和将
金融ジャーナリスト
2026.09.08
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関東甲信越100件超、四国16件、北陸は4件のみ……実績の地域差が深刻な「レビキャリ」に金融庁が‟本腰”

金融庁が、地域金融機関を介して大企業人材と地域企業を結ぶ「地域企業経営人材マッチング促進事業」(レビキャリ)の利用促進に向けて本腰を入れる方針を打ち出しました。政府が掲げる地域金融力強化のスローガンの下、特に北陸など実績が低調な地域での活用を強く促していく構えです。他省庁事業との“かぶり感”も指摘される中、「出口戦略」を描き切り政策の存在意義を証明するため、当局から地銀等へのプレッシャーが一段と強まることになりそうです。

レビキャリは、都市部の大企業等で経験を積んだ人材を、人手不足や後継者難に悩む地方の中堅・中小企業へ結びつける事業です。取引先の経営課題を把握しやすい地域金融機関の強みを生かし、人材データベースを活用してマッチングを行います。

実際に採用した企業は、地域経済活性化支援機構(レビック)を通じて上限420万円の給付金を受けとることができます(転籍の場合に年収2年分×30%を給付。たとえば年収700万円の人材を採用した場合は420万円を受け取れる)。実際の財源は金融庁・経済産業省からの補助金・給付金です。

 

21年の事業開始以降、データベースの登録者数、マッチング件数は増加基調が続いています。とはいえ、2025年のマッチング件数は内定ベースで206件。1県あたりの件数にならすと平均4人程度にとどまり、人手不足など地域が抱える深刻な課題の解決に直接結びついているかは疑問符がつきます。

金融機関の所在地別マッチング成約数・勤務地別求人数(2026年3月31日時点)(金融庁公表資料より)

地銀・第二地銀は全て登録済みですが、地域ごとの実績の差も目立ちます。3月31日時点のマッチング成約数は、関東甲信越が117件でトップとなり、北海道・東北74件、近畿64件、東海62件と続いています。一方、中国30件、九州・沖縄17件、四国16件と、「東高西低」の傾向が見て取れます。北陸は、4件にとどまりました。

6月に開かれた行政事業レビュー(旧「事業仕分け」)の公開プロセスでは、参加した有識者委員が地域ごとの実績のバラツキに触れ、「既にある程度需要があるところでマッチングして、もともと需要が少ないところでなかなかマッチングが難しいとすると、地方創生という観点から本事業の成果をどう見ているのか」と金融庁側に迫る場面がありました。担当官は個人的な意見と前置きし、「決して西の地域が地方創生をしてないということではないと思う。地方創生の中の一つのものとして今までできていないところは、よりやっていかなければいけない」と述べました。全国47都道府県のうち、38都道府県で成約実績が生まれているとして、当局として「今後特に、成約無しの県において、活用促進に注力していく」との方針を打ち出しました。

公開プロセスではこの他にも、内閣府が実施する「先導的人材マッチング事業」との給付先企業の重複を指摘する声や、データベース構築に1億円超を費やし1件あたり200万円弱の公費を投じる費用対効果に疑問を呈する意見も上がっていました。

 

金融庁は8月末、来年度予算・機構定員要求に合わせて、レビキャリ事業の活性化に向けた取組方針を公表しました。これまでのデータベース登録数やマッチング件数のみにフォーカスしていたKPIを見直し、紹介人材の定着率や受け入れ企業の業績向上にも注目すべきといった指摘を踏まえて、目標設定を変更するとしています。また、「政府目標である2027年度中の大企業人材1万人の登録達成後を見据えた出口戦略について検討していく」との姿勢を示しました。

今年2月に改正した監督指針では、顧客企業に提案するソリューションの一つとして「人材紹介業務による人材確保支援」が明記されました。今後は、成約実績のない地域の金融機関に対する登録件数拡大などの働きかけが強まるだけでなく、既に取り組みを進めている金融機関においても、紹介人材の定着率など“質”的な改善へのプレッシャーの高まりが予想されます。

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J-FLECの労作「家計見える化報告書」で“先送り”にされた2つの論点

川辺 和将

著者情報

川辺 和将
かわべ かずまさ
金融ジャーナリスト
金融ジャーナリスト、「霞が関文学」評論家。毎日新聞社に入社後、長野支局で警察、経済、政治取材を、東京本社政治部で首相官邸番を担当。金融専門誌の当局取材担当を経て2022年1月に独立し、主に金融業界の「顧客本位」定着に向けた政策動向を追いつつ官民双方の取材を続けている。株式会社ブルーベル代表。東京大院(比較文学比較文化研究室)修了。
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