生成AIの普及もあって、ここ数年で半導体産業への成長期待は一気に高まったが、その主役は米国や台湾という印象もある。しかし、日本の半導体関連企業にも実は多様な強みがあり、それが必ずしも広く知られていない分、「投資機会がある」と話すのは、三井住友トラスト・アセットマネジメントのアクティブ運用部の佐相兼呂氏。「日本の半導体関連の銘柄数は多く、しかも、世界的に半導体市場が大きく変化している中で、日本企業の重要性は確実に高まっているのです」

三井住友トラスト ・ アセットマネジメント
アクテ ィブ運用部 シニアファンドマネジャー
佐相 兼呂 氏
その投資機会をいち早く捉えるべく、三井住友トラスト・アセットマネジメントが2024年1月に設定したファンドが「半導体関連 日本株式戦略ファンド(愛称:半導体ジャパン)」であり、ファンドマネジャーを務めるのが佐相氏である。文字通り日本の半導体関連企業を投資対象とし、半導体産業における技術貢献力が高く、その成長により業績拡大が期待できる銘柄を厳選するファンドだ。
「部素材」と「製造装置」で圧倒的なシェアを誇る日本企業
では、佐相氏の言う大きな変化と、日本の半導体関連企業の強みとは何なのか。「主に3つのポイントがあって、1つ目は、半導体市場全体が新たなステージを迎えていること。半導体と言えば従来はスマホやパソコンに対する需要が中心で、消費者が需要の主体でしたが、EV(電気自動車)や蓄電設備などの環境を意識した用途、さらには生成AIのような国家的プロジェクトによる需要が拡大し、主体が国や政府のレベルにまで広がってきています」
スマホやパソコンから家電、自動車、電車、送電網まで、今や多くの製品に半導体が用いられている。しかも、将来の自動運転、脱炭素社会の実現などに向けても半導体は不可欠であり、その需要は今後も拡大し続ける可能性が高い。半導体こそがあらゆる産業を支える「根幹」だと言っても過言ではなく、「より安定的で、高い水準での成長が20年、30年といった長期で期待できる局面に入ったというのが私たちの見通しです」と佐相氏は強調する。
2つ目のポイントは、半導体市場における日本企業の独自のポジションだ。日本の半導体関連企業の特徴として、米国のNVIDIAのような半導体の「開発・設計」を担う企業があまりない点が挙げられる。その半面、半導体のサプライチェーンの中で、「部素材」と「製造装置」の領域で日本は強みを持つ(図参照)。「市場占有率を見てみると、製造装置は世界の3分の1程度、部素材では世界の半分以上のシェアを持っています。半導体の生産では国際的な分業体制が敷かれているため、サプライチェーンとして捉えることが重要になりますが、そのサプライチェーンに日本企業は欠かすことができないわけです」(佐相氏)。
半導体製造装置については、東京エレクトロンやアドバンテストなど投資家にもよく知られた銘柄があるため、比較的イメージしやすいかもしれない。両社は「半導体ジャパン」の組入上位銘柄でもある(2024年11月末時点)。一方の「部素材」はあまり耳慣れない言葉だが、単に材料や素材だけではなく、部品なども含めて指すための言葉だという。
例えば、「シリコンウエハー」という部素材があり、これは半導体の回路を焼き付ける円盤状の板のことだが、その製造における日本企業の市場占有率は55%。「EUV用マスクブランクス」という部素材にいたっては、市場のほぼ全てをカバーしている。かつては半導体関連企業の象徴と言えばインテルだったが、今やNVIDIAがその座を奪った感もある。しかし、日本企業はインテルであれNVIDIAであれ取引相手となり得るため、それがサプライチェーンの一領域を押さえていることの強みであり、「いわば勝ち馬に乗り続けられるのです」と佐相氏は話す。
加えて、半導体の技術進化のトレンドも変化し、かつてはいかに小さな半導体を作るか、つまり微細化の競争だったのが、現在では構造や素材自体の見直し、製造過程の改善などが付加価値になってきているという。微細化は投資額と直結し、企業の体力勝負という面もあったものの、そうした見直し、改善であれば日本企業の得意分野だ。
サプライチェーンの再構築へ 半導体への投資が世界で加速
そして3つ目のポイントは、各国が半導体の重要性を認識する中で、サプライチェーンを再構築する動きが加速している点。前述の通り半導体の生産では国際的な分業が進んでいる一方で、近年は地政学的リスクが高まっているのは言うまでもない。例えば、現在のサプライチェーンには中国企業も多く含まれるが、もし米中摩擦がさらに深刻になれば、サプライチェーンも分断されかねない。
だからこそ、自国への回帰、あるいは安定的な関係を築ける国同士でのサプライチェーンの再構築が図られていて、各国が巨額の補助金を支給するなど支援も行っている。サプライチェーンに対する投資が増えれば、欠かせない部素材、製造装置のシェアを握る日本企業への恩恵も大きい。もちろん日本政府も、2030年までに官民合わせて12兆円規模の投資を半導体産業に行う方針を打ち出している。「実際に半導体関連の工場が地元に誘致されたりもしていますから、勉強会などでそんなケースをご紹介すると、当初は意外に思われていた日本の強みを実感していただきやすいようですね」。そう話すのは、販売会社の勉強会や顧客向けセミナーの講師などを担当する三井住友トラスト・アセットマネジメントの投信営業部の磯辺桃子氏だ。

磯辺 桃子 氏
「当ファンドを一言で言えば『半導体市場における日本の強みにフォーカスし、成長機会を捉えるファンド』で、まさにこのフレーズが特徴を端的に表しているのではないでしょうか」と磯辺氏は続ける。「それが実現できるのは、佐相をはじめとする当社の運用チーム、さらには企業リサーチユニットが地道に企業を訪問するなど調査を重ね、情報を共有しながら銘柄を厳選しているからです」
佐相氏も冒頭に話していた通り、日本の半導体関連企業の数は多く、東京エレクトロンのような大型株もあるものの、特に部素材の領域には中小型株が少なくない。その点、同社の企業リサーチユニットは22人の陣容を抱え、カバーする企業数は約800社。企業訪問などのリサーチ数も年間で7771件(2023年度)という実績を持ち、その情報に基づいて運用チームが銘柄を絞り込む。日々技術革新が進む半導体産業なだけに、この充実した運用、リサーチ体制が「半導体ジャパン」の原動力になっているわけだ。
海外株式ファンドが台頭する中 併せ持ちにも適した特性に注目
組入銘柄の一例を挙げると、最上位(2024年11月末時点)であるMARUWAは、半導体の土台となるセラミック基板に強みを持ち、「高熱伝導基板と呼ばれる製品で、6割以上のグローバルシェアを持っている企業です」と佐相氏。「その特徴は丈夫で、熱を逃がしやすい点にあります。最近、EVに使われるパワー半導体や生成AI関連の市場では、高熱の発生が課題となっているため、放熱性に優れた基板への需要が非常に高まっているのです」
佐相氏自身、実際に足を運んで工場などを見学したこともあるそうだが、MARUWAの本社があるのは愛知県の尾張旭市。「半導体ジャパン」の組入銘柄には、同社のような地方の企業も多く、「販売会社の皆さまにお話を伺うと、やはりそうした日本企業に投資したいというお客さまは相当数いらっしゃるようです」と磯辺氏も話す。「特に最近は海外株式ファンドを保有されている方が増えていますが、異なる商品でも組入銘柄にNVIDIAやGAFAMが重なっているケースもあります。その点、『半導体ジャパン』であれば銘柄が重なることもなく、実際にNISAのつみたて投資枠で海外株式型のインデックスファンドを積み立てながら、成長投資枠で『半導体ジャパン』を購入するといった併せ持ちをする方も増えていると伺っています」
しかも、そうした企業が地元の知られざる世界的な企業だったりするわけだから、顧客との会話のきっかけとなり、そのまま成約につながった事例が地方銀行などにあるという。「そうした企業を自ら発掘し、投資するのはおそらく難しいでしょうが、『半導体ジャパン』なら有力企業にまとめて投資できる。投資信託らしい商品でもあり、自信を持ってご紹介できるファンドです」(磯辺氏)。
佐相氏も、最後に次のように話してくれた。「最近の技術の進化、サプライチェーンの再構築といった変化は一過性のものではなく、構造的な変化だと捉えています。だからこそ、それは長期で続くはずで、その恩恵を受けて成長する日本の半導体関連企業というのは、確信度の高いストーリーなのです」。まさに「半導体ジャパン」はそうした成長ストーリーを体現できるファンドであり、その投資機会を顧客に提供するためにも、ラインアップへの追加を検討してみてはいかがだろうか。
◆設定・運用は
三井住友トラスト・アセットマネジメント
商号 三井住友トラスト・アセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第347号
加入協会 一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会
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※上記は特定の有価証券への投資を推奨しているものではありません。また、今後当ファンドが当該有価証券に投資することを保証するものではありません。
●投資信託は値動きのある有価証券等(外貨建資産には為替変動リスクを伴います。)に投資しますの基準価額は変動します。したがって投資元本や利回りが保証されるものではありません。
●ファンドの詳細については、最新の投資信託説明書(交付目論見書)の内容をご確認ください。
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