ここ数年、投信市場の主役となってきたのが米国株式ファンドであるのは言うまでもない。そうした中で、米国株式市場に興味を持ち、そのセクターがどのように分かれ、どんな特徴があるのかを知りたいと思う顧客も増えているのではないか。そこで、「米国株式のセクターを掘り下げ、その特徴や値動き、さらにはポートフォリオの構築にどう活かしていくのかを考えてみたい」と切り出したのは、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメントの金融法人営業部の姜詩揚氏だ。
金融法人営業部 姜 詩揚 氏
同社は米国のボストンを拠点に230年以上の歴史を持つ、世界最古の銀行の1つであるステート・ストリート・コーポレーションの傘下の資産運用会社。その運用残高は1000兆円を超え、ETFプロバイダーとしても世界3位の規模を誇り、セクターETFにも強みがある。「当社のセクターETFシリーズは世界でも最大規模で、流動性の高さ、さらには他社と比較してスプレッドが狭いことから取引コストを抑えやすい点も特徴(注1)です。これらは、例えばセクターETFを活用してポートフォリオを調整する際に、大きなメリットとなるはずです」(姜氏)。
注1)出所: Bloomberg Finance, L.P., State Street Investment Management(2026年3月31日現在)。
S&P500を構成する11のセクターの特徴は?
このセクターETFのベースとなる米国株式のセクターにはどんな種類があるのか、ここではS&P500指数の構成銘柄を例に挙げて見ていきたい。「S&P500というと、単一の投資対象に見えるかもしれませんが、実際の中身はさまざまなセクターに分かれ、その配分も均等ではなくかなりの偏りがあります」。そう説明するのは、同じくステート・ストリート・インベストメント・マネジメントでセクター・スペシャリストを務める山口美帆氏だ。
セクター・スペシャリスト 山口 美帆 氏
具体的には11のセクターに分かれているが、最も構成比率が高いのは「情報技術」で39%。次いで「金融」が12%、「コミュニケーション・サービス」が10%で続く(図1参照)。「とりわけ『情報技術』が大きな割合を占めていますが、これは良い悪いの問題ではありません。まずは自分がどんなセクターにどれくらい投資しているかを理解しておく。そのうえで、どんな成長機会を捉えるべきか、どうリスクを分散するかを考えるのがセクター投資の出発点となります」(山口氏)。
【図1 S&P500は単一の投資対象ではない】
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次にそれぞれの特徴を見てみると、相対的に安定的なセクターとされているのが、「公益事業」「生活必需品」「ヘルスケア」。それに対して「エネルギー」「不動産」は特定の要因に左右されやすく、前者は国際的な資源価格の影響を、後者は資金調達の面で金利や物件需給の影響を受けやすい。
一方で、景気の影響を受けやすいのが「金融」「資本財」「一般消費財」。「コミュニケーション・サービス」もSNSや広告、動画配信などが景気に左右されやすいものの、通信キャリアも含まれるため安定性を併せ持つ。「情報技術」はAI、半導体、クラウドといった独自の成長ドライバーを持つ半面、値動きも大きいという。
では、各セクターにはどんな企業が含まれているのか。構成比率の高い3社は下表の通りだが、「一般消費財」のアマゾン、「情報技術」のエヌビディアなど誰もが知る企業も多いが、上位銘柄であっても馴染みが薄い企業も少なくない。「だからこそ、個別銘柄を選択するのは難しいものの、セクターETFに投資すれば、そのセクターを代表する企業にまとめて投資できるというメリットがあるのです」と山口氏は話す。
【表 どんな企業が入っているの?】
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