10年後には、国民の3人に1人が65歳以上になると見通されている日本。“アクティブシニア”という言葉も生まれ、豊かなセカンドライフを送ることが現役世代の指針となりつつあります。しかし、来たるシニア生活を心配する人は後を絶ちません。どうすれば老後を穏やかに迎えられるか、頭を抱える人も見受けられます。
話題の書籍『得する!楽しい!安心!シニアの暮らし便利ブック』では、介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子氏が、自分らしいシニアライフに必須な“お金のコツ”を優しく解説。今回は本書の第6章「日々のお金」の一部を特別に公開します。(全3回)
●第2回:加入は必要? 相続対策になるってホント? 「生命保険」の基本をおさらい
※本稿は、太田差惠子著『得する!楽しい!安心!シニアの暮らし便利ブック』(産業編集センター)の一部を再編集したものです。
余力以上の援助をしない
シニアが孫のためにいくら使っているかの調査があります。年間の平均額は10万5,000円程。内訳ですが、1位「おこづかい・お年玉・お祝い金」、2位「おもちゃ・ゲーム」、3位「一緒に外食」と続きます。2021年はコロナ禍で遠出を避ける傾向が強かったため、「一緒に旅行・レジャー」は減少しています。
孫に対し「できる限りのことをしてあげたい」と考え、財布のひもがゆるくなる人もいます。特に、初めての孫に対して、嬉しさから祝い金を弾む傾向があります。しかし、お祝いをするイベントは、誕生時だけでなく、お宮参り、お食い初め、誕生日、お節句……と、続きます。
また、2人目、3人目の孫が誕生することもあるでしょう。支出は2倍、3倍となります。特に、習い事等への継続的な援助は慎重に。一度出すとやめるのはもちろん、金額を下げることも難しくなります。
それに、高額なお金を出すと、「うちの親は余裕がある」と思われ、子供夫婦から頼られる回数が増えてしまうかもしれません。援助しすぎないように気を付けたいものです。何らかの事情で、負担感が増してきたら、言いにくくても「家計が苦しくなってきた」と伝える勇気を出すことも必要でしょう。
贈与する際には非課税枠を使う
一方で、明らかに経済的なゆとりがあり、子世代、孫世代に多くの援助をしている人も注意が必要です。原則として、資金援助は「贈与」にあたり、税が発生するからです。合法的に非課税で贈与する方法があるので、上手に活用したいものです。
①贈与税の非課税枠年間 110 万円を活用した贈与
②都度贈与
③教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置の活用
①については、1年間に110万円以下であれば贈与税はかかりません。②については、ざっくりとした金額を渡すのではなく、「旅行代」「帰省の交通費」等、必要なお金を都度渡して使い切れば生活に必要な費用と認められます。
③は30歳未満の子や孫に教育資金を贈与する場合に、子・孫1人につき1,500万円まで非課税になるというものです(2026年3月31日までの特例制度)。習い事の場合は(ピアノ教室やスイミング等)、500万円までと制限があるので注意しましょう。