世界的な物価上昇、金融引き締めに伴う金利上昇、ロシアによるウクライナ侵攻などによりハイテク株を中心に投資するファンドが軒並み苦戦を強いられる中で、三井住友トラスト・アセットマネジメントの「次世代通信関連 世界株式戦略ファンド《愛称:THE 5G》」も例外ではない。しかし、世界中でデジタル化は不可逆的な流れであり、高い成長性が見込まれている次世代通信関連企業の投資妙味はむしろ高いと見ることもできる。今後の市場見通し、同ファンドが注目する分野、長期積立投資を軸とした提案手法について、2人のキーパーソンに伺った。

 現在、次世代の移動通信規格は「5G(第5 世代移動通信システム)」と呼ばれ、「高速・大容量」「超低遅延」「多数同時接続」という、これまでの移動通信にはない優れた特徴を持つ。5G の普及によって携帯電話やスマホだけでなく、さまざまな機器がインターネットを通じて相互につながる、いわゆるIoT社会の実現が急速に進むと見られている。その実現には従来とは異なる形式の通信基地局やアンテナ、光ファイバー網といった通信インフラを多数設置する必要があり、世界中で整備が進んでいる。

 「日本においても5Gを使えるエリアはまだまだ限られており、通信インフラの普及だけを見ても、大きな期待が持てる分野だと考えています」。三井住友トラスト・アセットマネジメント 投信営業部 投信営業第2チーム長の橋本淳平氏はこう話す。


三井住友トラスト・アセットマネジメント
投信営業部 投信営業第2チーム長 橋本淳平氏
 

5G推進は各国の重点課題
今後も積極的な投資が継続

 2017年12月に設定された「THE5G」は、2021年末までは世界経済の拡大基調を追い風に概ね堅調に推移してきた。特に大きく基準価額が上昇したのが2020年のコロナ禍以降だ。「社会・経済のデジタル化が急速に進んだことで高品質な通信環境への需要が高まり、半導体・電子部品関連企業やインターネット・ソフトウェア関連企業の業績拡大と株価上昇が進み、当ファンドの基準価額も大きく上昇しました」(橋本氏)。

 しかし、2022年に入ると、世界的な物価上昇、金融引き締めに伴う金利上昇、ロシアによるウクライナ侵攻などの影響により、コロナ禍で急騰したグロース株(成長株)が大きく売られる展開となり、「THE 5G」も成長性の高いハイテク株中心のポートフォリオであったことから大きな影響を受け、2022年初来のパフォーマンスは世界株式*対比で劣後している(2022 年6 月末現在)。
*MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース)

 「THE 5G」の実質的な運用を担うニューバーガー・バーマン・グループの日本拠点におけるリテール営業部の藤波新氏は、今後の見通しについて次のように話す。

 「世界的な景気減速やインフレへの警戒感が強まる中でも、5G の推進は各国の重点課題です。また、経済のデジタル化は不可逆的であることから、5G の通信インフラやデータセンターへの投資は今後も継続していくことが期待されます」。
 


ニューバーガー・バーマン株式会社
リテール営業部 シニア ヴァイス プレジデント 藤波新氏

 5Gの推進は、世界の多くの国々にとって政策的な優先課題となっており、今後も各国企業による積極的な投資が継続する見込みだ。2022 年から2025年までの世界の通信事業者による事業投資額は約6200億米ドルに上ると推計されているが、そのうち85%は5G関連の投資が占めると見られている(図1)。
 

 

 「THE 5G」の運用チームは、相対的に収益環境が良好で株価の割安感が強まった5G関連企業に引き続き注目。当面は変動性が高い相場展開が続くと考え、バリュエーションに注目した銘柄選択を重視していくとしている。

5Gの普及により拡大が
見込まれる2つの注目分野

 「THE 5G」は現在、5G の普及によりさらなる拡大が見込まれる2つの分野に注目している。1 つは、「メタバース」だ。昨年10月にフェイスブックが社名を「メタ」に変更し、メタバース関連事業への大規模投資を表明したことを契機に注目度が急速に高まっている。総務省の発表によると、世界のメタバース市場は2030 年には約6800 億米ドルとなり、2021 年比の17 倍超まで拡大する見込みだ。

 「その中でも注目されるのがVR/ AR 体験です(図2)。VR / AR 体験でより高い没入感をもたらすには、高精細の3D 映像やアバター(分身)の複雑な動きを実現するために、膨大な通信容量、高速でのデータ処理、リアルタイム性などが求められ、5Gのような高度な移動通信技術が欠かせません」と橋本氏は説明する。

 

通信高速化のための仕組みの1つにエッジコンピューティングがある。より通信端末に近い距離にエッジサーバーを設置することで、遅延発生を防ぐものだが、こうした5G 通信の普及のためのインフラ整備は、メタバース市場の拡大と5G関連企業のさらなる成長につながる。

 もう1つは、「データセンター需要の拡大」だ。世界のモバイルデータ通信量は、コロナ禍を経て飛躍的に増大しており、2027 年には2021 年時点の4倍超まで拡大すると予想されている。IoT 社会の実現には、こうした膨大なデータを高速で遅延なく伝送・処理することが必要になり、そこで求められるのがインターネットサーバーなどのIT機器を集約設置した「データセンター」である。

 「近年では、クラウドサービスの拡大もあり、クラウド上の特定拠点に高性能サーバーを大量に集約した、ハイパースケール・データセンターと呼ばれる大規模施設の設置が進んでいます。データセンターは5G通信環境が普及していくための重要な基幹インフラの1つであり、データセンターで用いられる最先端・高機能の半導体や電子部品などの高い需要は、今後も長期的に続くと見られます」(橋本氏)。

 なお、最近では5Gに次ぐ新しい移動通信規格として「6G(Beyond5G)」の開発に向けた動きも活発化しており、日米欧の各国政府・企業が主導権争いを繰り広げているが、「THE 5G」は5G 以降も続く次世代移動通信の発展により活躍が期待される企業にも注目していることを付記しておく。

 5G の普及は始まったばかり。新しいサービス、体験、IoT 社会の実現に不可欠なインフラとして、これからが本番と言える。

 「5Gのような次世代通信規格は、私たちの生活やビジネスがより便利になっていくときに根幹となる技術です。『THE 5G』が設定された当時は、メタバースもありませんでしたし、DXもあまり認知されていませんでしたが、5G の推進段階に応じた成長産業分野にフォーカスし、それらの領域もカバーする形で、ファンドは進化を遂げています。そういった意味でも、中長期的に高い成長性が見込まれるテーマであり、変化の真ん中でお客さまに投資機会を提供し続けたいと思います」。藤波氏はこう意気込みを話す。

 「先行き不透明な今だからこそ、原点に立ち返って考えることが大切です」と橋本氏は強調する。「資産運用で大切なことは、短期的な値動きに一喜一憂することなく、市場に参加し続け、長期で運用を継続することです。これこそが最後に花開く資産運用・資産形成の秘訣だと考えています。その中で、5G 関連企業への投資の魅力に、改めてご注目をいただければ幸いです」と訴えている。

「THE 5G」と長期積立投資

 足元のように変動性が大きく、また先行き不透明感が強い投資環境においては、「何に、どのタイミングで投資を始めたらよいのか分からない」という投資家、販売員も多いだろう。そこで紹介したいのが、「THE5G」への長期的な視点での積立投資だ。

 長期にわたる積立投資において、重要だと考えられるのが、「短期的な価格変動はあっても、長期的に見た時に成長が期待される資産に継続して投資を行うことだ」と橋本氏は言う。「IoT社会の実現に向けては、5G関連企業が有する優れた技術力は不可欠であり、今後も関連企業の成長は長期的に続くとわれわれは考えています。5G関連企業への投資は、長期の積立投資の観点からも有効だと言えます」(橋本氏)。

 また、「値動きの大きなものほど、積立投資の効果は大きい」と橋本氏は付け加える。価格が下がった時にたくさん口数を買い付けることができ、回復局面でその回復力や成長力を実感することができるからだという。
 図3の通り、長期の積立投資であれば、安定した運用成果が期待でき、幅広い投資家層にお勧めできるとしている。

 

 

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【次世代通信関連 世界株式戦略ファンド 愛称:THE 5G】ファンド詳細ページ

ファンドの費用

購入時手数料:購入申込受付日の翌営業日の基準価額に上限3.3%(税抜3.0%)を乗じて得た額とします。
信託財産留保額ありません。
実質的な運用管理費用(信託報酬):純資産総額に対して年率1.848%程度(税抜1.74%程度)当ファンドは他のファンドを投資対象としています。したがって当ファンドの運用管理費用(年率1.188%(税抜1.08%))に当ファンドの投資対象ファンドの運用管理費用(年率0.66%程度)を加えた、お客様が実質的に負担する運用管理費用を算出しています。ただし、この値は目安であり、投資対象ファンドの実際の組入れ状況等により変動します。
その他の費用・手数料:監査費用、有価証券の売買・保管、信託事務に係る諸費用等をその都度(監査費用は日々)、ファンドが負担します。この他、投資対象とする投資信託証券においては、当該投資信託証券の信託報酬とは別に、投資信託財産に関する租税や、投資信託の運営・運用等に要する諸費用が発生します。これらの費用は、運用状況等により変動するなどの理由により、事前に料率・上限額等を示すことができません。
※上記の手数料の合計額については、保有期間等に応じて異なりますので、上限額等を事前に示すことができません。

ファンドの投資リスク

ファンドは、値動きのある有価証券等に投資しますので、基準価額は変動します。したがって、投資者の皆様の投資元本は保証されているものではなく、基準価額の下落により、損失を被り、投資元本を割り込むことがあります。信託財産に生じた利益および損失は、全て投資者の皆様に帰属します。投資信託は預貯金と異なります。
株価変動リスク/為替変動リスク/信用リスク/テーマ型運用に係るリスク/カントリーリスク/流動性リスク/金利変動リスク
※基準価額の変動要因は上記に限定されるものではありません。

その他の留意点

●分配金は、預貯金の利息とは異なり、投資信託の純資産から支払われますので、分配金が支払われると、その金額相当分、基準価額は下がります。分配金は、計算期間中に発生した収益(経費控除後の配当等収益および評価益を含む売買益)を超えて支払われる場合があります。その場合、当期決算日の基準価額は前期決算日と比べて下落することになります。また、分配金の水準は、必ずしも計算期間におけるファンドの収益率を示すものではありません。投資者のファンドの購入価額によっては、分配金の一部または全部が、実質的には元本の一部払戻しに相当する場合があります。ファンド購入後の運用状況により、分配金額より基準価額の値上がりが小さかった場合も同様です。

●ファンドのお取引に関しては、金融商品取引法第37条の6の規定(いわゆるクーリング・オフ)の適用はありません。

●ファンドは、大量の換金申込が発生し短期間で換金代金を手当てする必要が生じた場合や組入資産の主たる取引市場において市場環境が急変した場合等に、一時的に組入資産の流動性が低下し、市場実勢から期待できる価格で取引できないリスク、取引量が限られてしまうリスクがあります。これにより、基準価額にマイナスの影響を及ぼす可能性や、換金の申込みの受付が中止、取り消しとなる可能性、換金代金のお支払が遅延する可能性があります。

ご留意事項

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金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第347号
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