近年、お金についての基礎知識を学ぶ「金融教育」が学校の授業で実施され、話題となっています。今や若者の自立に欠かせないとされる金融リテラシー。しかし「なぜ投資するとお金が増えるのか」「効率よくお金を増やす方法とは?」といった疑問に正確に答えられる自信のある“大人”はどのくらいいるでしょうか。

投資についてイチから学びたい!子どもや親からのお金の質問にきちんと答えたい! そんな声に寄り添うのが、投資こそ必須の「生涯保険」という信条のもと、長期資産形成や実体経済に関する執筆を専門とする日野秀規氏。話題の書籍『こどもと一緒に読む投資の話』では、家族三世代全員が理解できるお金の増える仕組みを解説しています。今回は特別に、第3章『お金を「ふやす」ってどういうこと?』の一部を公開します。(全4回)

●第2回:「投資で本当にお金は増える?」の疑問はナンセンスな“これだけの理由”

※本稿は、日野秀規著『こどもと一緒に読む投資の話』(ぱる出版)の一部を再編集したものです。

「安く買って高く売る」のはむずかしい

これまでの説明は、投資は長期でやるものということを前提にお話ししてきました。米国株式の200年の歴史がまさにその例です。

世の中の投資家の全員が、長期投資を前提にしているわけではありません。株価が上がったり下がったりするなら、ずーっと長期で持ち続けるよりも、下がったところで買って上がったら売るのを繰り返したほうがもうかる! と考えるのはまったくふしぎなことではありません。

問題は、「安く買って高く売る」ことが本当にできるかどうかです。株式市場に参加する人がだれでも安く買って高く売ることができるなら、世の中は大金持ちであふれているはずです。ところが、実際にはそうなっていません。むしろ株式投資をしたことがない人からは、投資は損をする可能性があるものと警戒されているのが現実です。

もう1つ問題があります。ある会社の株価が安いか高いかどうかは、本来は、その会社が利益をあげる「実力」に見合っているかどうかで決まります。ということは、ある会社の株価が安いと思ったAさんが買い、高いと思ったBさんが売るというような売買は当たり前に行われていますが、その株式についての判断は、実はどちらかが必ず間違えていることになるわけです。

間違えて高く買った人はもうからないし、間違えて安く売った人は損をします。「その会社が利益をあげる実力」は目に見えないので、「安く買って高く売る」のはなかなかむずかしいのです。