iDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)は税制メリットが大きい、お得な制度です。でも、制度創設の2002年からしばらくは利用者も少なく、「知る人ぞ知る」制度でした。しかし、2016年9月に「iDeCo」という愛称が決まり、2017年には加入できる対象者が拡大されたこともあり、今や181万人* の人が老後資金を準備するために利用しています。2022年には加入できる年齢が延長され、企業型DCとの併用もやりやすくなるので、iDeCoを利用する人はますます増えると思います。
*出所:国民年金基金連合会「iDeCo(個人型確定拠出年金)の加入等の概況(2020年12月時点)」
税制メリットが大きいお得な制度としてiDeCo以上に有名なのが、ふるさと納税ですね。しかしこちらも、制度ができた2008年からの数年間は、年末が近付くと少し話題になる程度でした。それが、2015年に確定申告不要で利用できるワンストップ特例制度が導入されて以降、自治体の返礼品競争も相まって利用者が急増し、実に406万人** の人がふるさと納税を利用しています。いっとき過熱した返礼品競争は落ち着きましたが、いまや季節を問わずネットやテレビCMなどで見聞きするようになり、ふるさと納税は誰もが知る制度になったのだなと感じます。
**出所:総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和2年度実施)」
iDeCoもふるさと納税もお得な制度ですが、どちらも税控除に絡む話なので両者の関係は微妙です。おそらく、ふるさと納税を利用されている人が多いからだと思うのですが、セミナーでもiDeCoとふるさと納税の関係についての質問をよくお受けします。
結論から申し上げれば、iDeCoを始めるとふるさと納税の“利用枠”とも言える「控除上限額」が下がります。今回はその理由と影響度合いについてご説明しましょう。
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セミナー参加者(以下、参加者)
iDeCoを始めたいと思っているのですが、「ふるさと納税をやっている人は要注意!」なんて記事をネットで見かけました。iDeCoを始めると、ふるさと納税ができなくなるのですか……?
講師
いやいや、できなくなるわけではありませんよ。要注意というのはおそらく、自己負担額の2000円を除いた「ふるさと納税の控除上限額が下がる」ことに注意せよ、ということだと思います。
参加者
「控除」って、前回の「そもそも『控除』とは?iDeCo(イデコ)の税金メリットをざっくり解説」でも聞いた言葉ですね……。どういうことなんでしょうか?