外国株式投信が販売を牽引した2020年
2020年は新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、3月に世界的に株式などが一時的に急落したものの、以降はコロナ禍でも金融市場の穏やかなムードとともに株式の上昇基調が続いた。さらに年末にかけてはワクチンの早期普及への期待が高まったこともあり、内外の株式が急落前の水準を回復した。このように2020年は先行きを予測することが極めて難しい市場環境であったが、国内での追加型株式投信(ETFを除く。以下、投信)の販売は総じて堅調であった。投信全体では2兆2100億円の資金流入があり、2019年の5000億円の資金流出から純流入に転じた。
組み入れている資産クラス別に投信の資金動向をみると、国内株式投信や外国債券投信からは、2019年以上に2020年は資金流出があった【図1】。国内株式投信からは2020年に1兆5700億円の資金流出があり、株価が急上昇した11月には4000億円を超える大規模な資金流出があった。株価が上昇する中で利益確定の売却が膨らんだ模様である。外国債券については2020年も2019年と同様に毎月資金流出が続いていたが、特に3月の流出金額が大きかった。3月に世界的に長期金利が低下する中、今後の低収益化を見越して外国債券に見切りをつける投資家が多かった。
その一方で、外国株式投信には2020年に3兆5500億円もの資金流入があり、そのうち2兆5900億円はいわゆるアクティブ型への資金流入であった。個別でみても資金流入が大きかった投信のほとんどがアクティブ型の外国株式投信(図2赤太字)が占め、まさに2020年はアクティブ型の外国株式投信が投信販売を牽引したと言える【図2】。
アクティブ型の外国株式投信の中では、先行きに対して比較的安心感のあった米国株式、特にハイテク株式などが消去法的に選好されたことに加えて、年後半に新設されたESGを考慮したアクティブ型の外国株式投信も投資家の人気を集めた。2020年に8000億円に迫る純流入があった「グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド」がまさにその代表格である。2020年は個人投資家が中心の投信市場でもESGが注目され出したが、この流れが2021年も続くのか、さらには個人投資家の間にもESG投資が定着していくのか注目である。
また、インデックス型の外国株式投信にも2020年は9600億円の資金流入があった。2019年の4200億円の資金流入から2倍以上に膨らみ、集計できる1998年以降で最大の純流入となり、2020年末時点で純資産総額は4兆円に迫った。個人投資家の間にもインデックス型の外国株式投信での資産運用が浸透してきていることがうかがえる。このトレンドも2020年の外国株式投信への資金流入を底上げしていたといえよう。