日本板硝子が復活を目指した中期経営計画「リバイバル計画24」は、未達のまま終了を迎える見込みです。今期(2024年3月期)までの3ヵ年で300億円の純利益を稼ぐ計画でしたが、前期に計上した最終赤字338億円がひびき、期間の累計でも純損失が予想されています(出所:日本板硝子 中期経営計画(外部リンク)

苦戦の主因は2006年に子会社化した英ピルキントンです。買収に伴い計上していた資産で減損が生じ、巨額の損失につながりました。ピルキントンの取得は、日本板硝子の低迷の原因とよく指摘されています。

今回はガラスの名門、日本板硝子のピルキントン買収を振り返りましょう。

小が大をのむ 板ガラス世界3位を6000億円で買収

日本板硝子はガラスのグローバルリーダーを目指し、2006年にピルキントンを6160億円で完全子会社化します。当時ピルキントンは世界3位のガラスメーカーで、日本板硝子の1.9倍の売り上げを持っていたことから「小が大をのむ」買収として話題を集めました。

【日本板硝子とピルキントンの売上高の比較(2005年3月期)】
・日本板硝子:2650億円
・ピルキントン:4920億円
※日本板硝子は日本基準、ピルキントンは国際会計基準
※ピルキントンは1ポンド=205円換算

出所:日本板硝子 英国ピルキントン社の買収手続き開始について(外部リンク)

ピルキントンを連結したことで日本板硝子の業績は拡大します。海外売上高比率も60%台に達し、グローバル化は一気に進展しました。一方、経常利益は支払利息の増加などから減少しています。なお、純利益は買収資金の調達で譲渡した有価証券の売却益などから増益となりました。

【日本板硝子の当時の業績】

          2006年3月期   2007年3月期 
 売上高 2659億円 6815億円
 経常利益 104億円 80億円
 純利益 78億円 121億円
 海外売上高比率 20.2% 67.9%

出所:日本板硝子 決算短信(外部リンク)

一方、財務への負荷も小さくありませんでした。買収に伴い有利子負債が拡大し、自己資本比率は40%から20%台にまで悪化します。またのれんといった無形固定資産も顕著に増加しています。

【日本板硝子の当時の財務】

         2006年3月期   2007年3月期 
 総資産 5960億円 1兆4090億円
 無形固定資産 70億円 3995億円
 有利子負債 2369億円 5611億円
 自己資本比率 40.0% 22.7%

出所:日本板硝子 決算短信(外部リンク)

有利子負債は一般に金融費用を増加させ、のれんは一般に償却費を増やし利益を圧迫します。日本板硝子は、これらの費用をこなし成長する姿を描いたのかもしれません。しかしピルキントン買収で加速するはずだった成長は暗礁に乗り上げます。