デンソー株式にとって2023年は回復の年となりました。大きく売られた前年から立ち直り、9月には上場来高値を更新します。年末にかけトヨタグループの売り出しによる思惑から下落しますが、年間騰落率は30%に達しました。

【デンソーの業績】

  売上高 純利益
 2022年3月期 5兆5515億円 2639億円
 2023年3月期 6兆4013億円 3146億円
 2024年3月期(予想)   7兆0000億円  4700億円

※2024年3月期(予想)は同第2四半期時点における同社の予想

出所:デンソー 決算短信

デンソーは市場評価性の高さから「JPXプライム150指数」に採用されています。また同指数の輸送用機器では最大の時価総額を持つ企業です。

今回はデンソーに焦点を当ててみましょう。同社の概要とトヨタグループとの株式持ち合い解消に向けた動き、また「空飛ぶクルマ」への取り組みについて紹介します。

自動車部品の国内最大手 QRコードも開発

デンソーは自動車部品メーカーの大手です。自動車には数万個の部品が用いられ、その市場規模は自動車そのものを上回っています。デンソーはその中でも主要なプレイヤーに位置しています。

【輸送用機器の市場規模(製造品出荷額、2020年)】
・自動車部品:30兆6694億円
・自動車:21兆9528億円
・自動車車体:7955億円
・輸送用機器
・その他:6兆7603億円

出所:日本自動車部品工業会 日本の自動車部品産業(2023年)

またデンソーは子会社にQRコードを開発したデンソーウェーブを持っており、スキャナやFA(※)機器といった自動車以外の製品も生産しています。

※FA(ファクトリー・オートメーション):工場で製造の自動化を助ける製品。ロボットやコントローラなど。

【製品別の売上高(2022年度)】

  主な製品 売上高
 モビリティエレクトロニクス  エンジンコントロールユニット  1兆6156億円
 サーマルシステム  空調ユニット、コンプレッサ 1兆5850億円
 パワトレインシステム  噴射機器、エンジン機器 1兆4893億円
 エレクトリフィケーションシステム   インバータ、コンバータ 1兆0421億円
 先進デバイス  CASE(※)領域製品、センサ 3617億円
 その他自動車 1305億円
 非車載事業  スキャナ、FA関連製品 1771億円

※CASE(ケース):Connected(通信)、Autonomous(自動運転)、Shared(シェアリング)、Electric(電動化)の略。

出所:デンソー 決算説明会資料有価証券報告書

デンソーのシェアは世界的に見てもトップクラスです。ドイツのボッシュに次いで2番目に大きな売り上げを持ちます。製品を直接見る機会はあまりありませんが、社会にとってなくてはならない企業といえるでしょう。

【自動車部品メーカー売上高上位5社(2022年度)】
・ボッシュ(独):553億ドル
・デンソー:474億ドル
・ZF(独):412億ドル
・現代モービス(韓):365億ドル
・マグナ(加):362億ドル
※自動車事業の売上高

出所:マークラインズ 2022年度サプライヤー自動車事業売上高ランキング